アートに詳しくない人でも
ほとんど知っているくらい
有名なパブロ・ピカソ。
彼の代表作の多くはいわゆる
「よくわからない絵」が多いですよね。
そこでこの記事では
ピカソのなにがすごいのかを
わかりやすく解説します。
ピカソについて
![パブロ・ピカソ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/07/411px-Pablo_picasso_1-1-257x300.jpg)
ピカソのすごさを説明する前に
知っておいてほしい基礎知識が
2つあります。
以下の2つです↓
- ピカソの子供の頃の絵
- キュビスムについて
順に説明します。
ピカソの子供の頃の絵
![科学と慈愛](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/12/science-and-charity-1-300x235.jpg)
↑の作品はピカソが16歳の頃に
制作したものです。
「え、上手くない!?」
ってなりませんか?
ピカソは幼いころから
芸術家で美術教師でもある父ホセの
英才教育を受けていました。
ですのでピカソは
めちゃくちゃ絵が上手いんです。
![長いひげの裸体男性像](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/12/31-1-165x300.jpg)
これはピカソが14~15歳の頃の絵です。
こちらもすごいですね。
ちなみにピカソが13歳~14歳の頃に
父ホセは絵の道具をピカソに譲り、
自らが絵を描くことを辞めたそうです。
その理由が一説によると
自分を凌駕している息子の才能への賞賛
だともいわれており、
ピカソは子供の頃から絵の才能を
認められていたのです。
キュビスムについて
![アビニヨンの娘たち](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/07/463px-Les_Demoiselles_dAvignon-1-289x300.jpg)
そしてピカソは1907年に
後のキュビスム革命の発端となる
「アビニョンの娘たち」を制作します。
キュビスムを簡単に説明すると
3次元的なものの見方を2次元(絵)に
落とし込んだ作品です。
ですので↑の作品でも
ある部分は正面から見たものだけど、
ある部分は横から見たものといった感じで
ある対象を取り巻く空間を再構成して
描いていることがわかります。
![モナ・リザ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/322px-Mona_Lisa_by_Leonardo_da_Vinci_from_C2RMF_retouched-1-201x300.jpg)
それまでの絵画では
絵という2次元のものの中に
いかに対象をリアルに描くかが
重視されていました。
しかし普段私たちが見ている
世界は全て3次元のものです。
よって捉え方によっては
3次元で対象を捉えようとした
キュビスムの方がリアルである
とも言えますね。
![ピカソの肖像](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/12/566px-Juan_Gris_-_Portrait_of_Pablo_Picasso_-_Google_Art_Project-1-236x300.jpg)
キュビスムに関する話を
深掘りすると難しくなるので、
今回はこのくらいにしておきます。
そしてとりあえずここまでが
ピカソの基礎知識を
超ざっくりまとめたものになります。
- ピカソの子供の頃の絵
→幼い頃から父の英才教育を受けて超上手かった - キュビスムについて
→3次元的なものの見方を2次元(絵)に落とし込んだ作品
ピカソ以前の美術史をざっくりと
![ラス・メニーナス](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2021/05/名称未設定のデザイン-16-1-300x200.png)
次にピカソに至るまでの
美術史についても軽く触れておきます。
先ほどキュビスム以前は
対象をいかにリアルに描くかが
重視されていたと説明しました。
ではその絵は誰のために
描かれていたのでしょうか?
![偶像擁護派](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/07/church-windows-2217785_640-1-300x175.jpg)
答えは教会、もしくは貴族です。
その当時の画家にとっては
大事なパトロンである教会(教皇など)や
貴族に認められるような上手い絵を
描くことが成功のための第一歩でした。
そして見事に認められてお抱え画家とも
なれれば一生食うに困らないといっても
過言ではないでしょう。
![サロン](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/640px-Salon_de_Madame_Geoffrin-1-300x197.jpg)
ですので当時の画家たちは
絵の技術を向上させることの他に、
パトロンが気に入るような絵を描く
ことにも注意を払いました。
「あの伯爵はこんな色合いが好きだ」
「あの夫人が気に入るのはこんな構図だ」
てな感じです。
つまり、ある程度は注文主の好みに
寄せていったわけですね。
今でこそ絵とか美術、芸術とかって
「自己探求や自己表現」のような
高貴で難解なイメージを持っている方も
いるかもしれませんが、
至極ビジネスライクな部分もあったんですよ。
(年代によって捉え方が違いますが)
![民衆を導く自由の女神](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/606px-Eugene_Delacroix_-_La_liberte_guidant_le_peuple-1-300x237.jpg)
ところが時代が進むと
革命などによって教会・貴族が
失墜したりします。
すると絵の買い手はだんだんと
教会、貴族ではなくマーケットに
変わっていくのです。
これは画家たちにとって
かなり大きな変化でした。
ちなみにこの時代に前後して
写真の発明もありました。
画家たちはこの時代から
「絵を描くということ」を根本から
見つめ直す必要があったわけですね。
- 教会や貴族がパトロン
→注文主が好むような絵を描く戦略が使える - マーケット
→自分の絵を誰が買うかわからない。誰かの好みに寄せる戦略が使えない
マーケットといえど…
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/10/exhibition-gc7a1ff4ad_1280-1-300x201.jpg)
一般的にマーケットとは画商と呼ばれる
美術の仲介人が絵を仕入れて
ギャラリーで顧客に販売するもの。
もしくはオークションのような
形式を指します。
誰が絵を購入してくれるかが
わからなくなったので、
画家の中にはどのような絵を描くべきか
苦悩した者も少なくありません。
ところがここにも1つ、
画家として食べていくための
隠されたポイントがありました。
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/12/hand-gea83a9677_640-1-300x199.jpg)
それは画商に気に入られる
絵を描くことです。
顧客が誰かはわかりませんが、
顧客の手に渡る前には
画商が絵を評価し、
それを顧客にプレゼンしてくれます。
画商にとって画家は投資先です。
画家を育て、宣伝し、商品としての
価値が高くなると利益が出てくる。
ですので画家は画商と上手く結託し、
互いにWin&Winになることが
望ましいことでもありました。
ピカソってなにがすごいの?
![パブロ・ピカソ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/12/picasso-1.jpg)
お待たせしました。
ここからが私の伝えたい本題です。
ピカソのすごさを説明するのに、
キュビスムの衝撃だったり
アートに革命を起こした!といった
解説もできるのですが、
私は少し違う角度からいきます。
それは、
キュビスムに方向転換したのが
すごいということ。
どういうことかと言うと、
冒頭で説明した通りピカソは
上手く描こうとすれば
いくらでも上手く描ける人でした。
![科学と慈愛](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/12/science-and-charity-1-300x235.jpg)
先ほど紹介したこの絵も
スペインの国立美術展で入選、
佳作を受賞したりと
立派に評価されていたんです。
ピカソを評価していた画商も
たくさんいたことでしょう。
![アビニヨンの娘たち](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/07/463px-Les_Demoiselles_dAvignon-1-289x300.jpg)
ところがピカソは
方向転換するわけですね。
2次元的に上手な絵に
興味がなくなったといわんばかりに。
で、ピカソのこの行動って
画商からすればとんでもない
奇行だったりするわけです。
![考える](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/05/man-thinking-g61b9175f4_1280-1-300x200.jpg)
なんせ画商はそれまでの
ピカソの絵を評価し、
宣伝していたわけですから。
それがいくら芸術上の主張が
正しいとしても、
それまで手塩にかけて育てた画家が
画風を変えてしまうのは
許されることではありません。
現代風に考えると
それまで事務所が大事に育てて、
ブレイクしていたタレントが
いきなり大幅なキャラ変更をしたいと
言い出してきた感じですね。
きっと私が画商でも
「おいおい勘弁してくれ…」
と言いたくなります。
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2021/06/picture-6241105_1280-1-300x200.jpg)
大抵の画家はそういった
画商の評価や芸術界での立ち位置を
考慮して大幅な方向転換はしません。
よってピカソは
- 当初は上手な絵を描いていた
- その絵が評価されていた
- それでもなおキュビスムを開始
- 画商の評価など、社会的な制約がありながらもそれを貫き通した
- そして革命を起こした
という点ですごいのです。
まさに一般的に考えられている
真のアーティストと言えるかもしれません。
アート思考
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2021/06/hands-1868562_1280-1-300x200.jpg)
近年ではアーティストが作品を
創造するときと同じプロセスを用いた
思考法をアート思考と呼んだりします。
自分の内側の感情や感覚を起点に
物事を捉えることです。
「自分だけの答え」とも言われたりします。
そしてその成功例として
よくiPhoneの話が出てきます。
![社会](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/09/mobile-phone-1917737_640-1-300x200.jpg)
少し前までは携帯電話といえば
ガラケーでしたね。
あの時代はどこもこぞって
ガラケータイプの携帯を
売り出していました。
ところがスティーブ・ジョブズは
携帯電話の機能ではなく、
デザインや美しさを重視して
iPhoneを作りました。
私はピカソにもこれと通ずるものを
感じます。
それは当時の社会的評価ではなく
自分がどうしたいかを優先した姿勢、
そしてそれを貫き通す強い意志です。
絵の解説はあまりしませんでしたが、
ピカソのすごさが伝われば嬉しいです。
まとめ
![パブロ・ピカソ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/07/411px-Pablo_picasso_1-1-257x300.jpg)
✓幼い頃から絵が上手かった
✓評価を得ていたのにキュビスムに方向転換した
✓社会的評価を顧みず、成功させた点ですごい芸術家
今回は少し違う角度で
ピカソのすごさを解説しました。
美術史はこの他にも
色んな切り取り方ができます。
ですので切り取り方によって
見え方や学べることもさまざまです。
是非、あなたもアートの世界を
自分なりに切り取ってみて下さい。
✓英才教育を受けていたピカソ
✓きちんと評価されていた
✓それでもキュビスムを描いた