ロココ美術とは18世紀に
ヨーロッパで流行した様式をさします。
ロココの語源であるロカイユは
装飾用語で、小石や貝殻をちりばめた
装飾をさす言葉です。
それまでのフランス美術の主流だった
古典主義とは違う美術が
生まれていきます。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。







✓ロココ美術
⇒1730年頃~
✓新古典主義
⇒18世紀中頃~19世紀初頭
✓ロマン主義
⇒18世紀後半~19世紀中頃
ロココ美術の特徴

ルイ14世が1715年に亡くなると、
フィリップ2世がまだ幼いルイ15世の
摂政となり、時代は享楽的な貴族文化へと
変化していきました。
その後ルイ16世の時代には
王権と教会の権威は後退し、
貴族と上流市民による軽快なサロン
文化が台頭しました。
ロココの室内装飾
出典:空の旅
ロココ美術を知るために
まず、室内装飾をみていきましょう。
古典主義の美術では安定した構造、
左右対称性や直線が好まれました。
しかしロココでは
連続するアーチや曲線などが多用され、
画像でも確認できるように
ザ・ヨーロッパ貴族のような
雰囲気を感じます。
絵画と装飾が融合したロココ的内装は
ヨーロッパで熱狂的な流行を生みました。
アントワーヌ=ヴァトーと雅宴画

初期のロココ絵画を代表する画家が、
アントワーヌ=ヴァトー(1684~1721)
です。
ヴァトーは「シテール島への巡礼」で
人物たちの優雅な身ぶりと衣装の軽やかさを
表現し、屋外での男女の語らいを描きました。

この作品でヴァトーは
アカデミーへの入会を果たします。
また、ヴァトー入会に際して、
雅宴画という新しいジャンルが
新設されました。
雅宴画とはヴァトーの作品のような
屋外で談笑する当世風の衣装で着飾った男女の
集いを描いたものです。
フラゴナール「ブランコ」

ロココを代表するもう1人の画家が
ジャン=オノレ=フラゴナール
(1732~1806)です。
彼の代表作「ブランコ」は
18世紀フランスの軽薄で非道徳的な
貴族社会を映し出しています。

この作品ではブランコに乗る貴婦人の
スカートの中を男性が下から覗き込むという
場面が描かれています。
ヴァトーの雅宴画がより
奔放的で官能的に描かれています。
ちなみに右奥に描かれているのは
貴婦人の夫で、
若い男性は愛人だとされています。
今の日本人の感覚からは
理解しがたい作品かもしれませんね。
静物画と風俗画

18世紀のフランスでは
上流市民の中に
美術愛好家が増えていきました。
バロック時代のオランダでもそうでしたが、
上流市民(=貴族や宗教関係者ではない)が
顧客になってくると、
知識が必要な絵ではなく、静物画や風俗画など
日常生活を映し出したものや、わかりやすい絵
が求められるようになりました。
その需要に応えた代表的な画家が
ジャン=シメオン=シャルダン
(1699~1779)です。
彼はフランスの中流家庭の日常を
描き出しました。

画面前景で祈りを唱えている子供は
女の子の格好をしていますが、男の子です。
当時、男児の死亡率が高かったので
魔除けのような意味合いを込めて
男児に女の子の格好をさせることがありました。

まとめ

✓18世紀のフランスでは享楽的な貴族文化が栄えた
✓ヴァトーは新たな絵画のジャンル、雅宴画を生んだ
✓上流市民層には静物画や風俗画が好まれた
次回は新古典主義の美術を解説します。
✓18世紀のフランス
✓装飾的で曲線を多用
✓繊細で軽快な美術