初期ルネサンス美術の特徴を解説/フィレンツェの時代です【西洋美術史⑩】

サムネイル12

 

記事の要約

☑フィレンツェの時代

☑遠近法の発見

☑3次元的表現の発展


 

イタリアのルネサンスは
フィレンツェから始まりました。

それまでの美術と大きく異なるのは、
彫刻・絵画で遠近法が使われ始めたことです。

まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。

『聖ゲオルギウス像』 天国への門 サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂 マザッチョ「貢の銭」1427年 受胎告知 死せるキリスト


遠近法により、
3次元的な作品が多くなります。

ドナテッロ
ドナテッロ
ブルネッレスキ
ブルネッレスキ
マザッチョ
マザッチョ
フラ・アンジェリコ
フラ・アンジェリコ


その他のルネサンス解説記事はコチラ

ルネサンス年表
〇プレ・ルネサンス(13‐14世紀)
⇒ジョットetc…
〇初期ルネサンス(15世紀)
⇒ドナテッロ、マザッチョ、ブルネッレスキetc…
〇盛期ルネサンス(1500~1530年)
⇒ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロetc…



初期ルネサンスの美術

 

フィレンツェ

ルネサンス発祥地のフィレンツェは14世紀以降、
近隣の都市国家を吸収して
一大領域国家の都市となります。

都市の支配は貴族から大商人を
中心とする平民の手へと移りました。
その中で市民の現実感覚に根ざした
都市文化が開花します。

この新世紀の美術を率いたのは
革新的な3人の芸術家でした。

☑ドナテッロ(彫刻家)
☑ブルネッレスキ(建築家)
☑マザッチョ(画家)

1人ずつ確認していきます。

ドナテッロの彫刻

 

『聖ゲオルギウス像』
ドナテッロ「聖ゲオルギウス像」1415‐1417年

ドナテッロ(1386~1466年の作品
聖ゲオルギウスでは
両脚に等しく重心を置きながら、
微妙なコントラポストにより
動きを感じる作品になっています。

さらに遠景の形象を薄く浮彫することで
遠近的な空間を演出しています。

ダヴィデ
ドナテッロ「ダヴィデ」1440年

ドナテッロはいち早く古代彫刻と
現実の人間を研究して、
写実的な新様式を発表しました。

ドナテッロ
ドナテッロの肖像

ブルネッレスキとギベルティ

 

天国への門
天国への門

1401年、礼拝堂の東側門扉の制作者を
選ぶ公募が行われます。

古代以来初めて行われたコンクールの
最終選考に残ったのが
ブルネッレスキギベルティでした。

ブルネッレスキ
ブルネッレスキ像
ギベルティ
『天国への門』にあるギベルティの肖像

「イサクの燔祭」を主題とする
試作品を作るよう命じられた二人は
各々の力作を披露します。

ブルネッレスキの作品↓

ブルネッレスキ

ギベルティの作品↓

ギベルティ

この勝負の軍配は
ギベルティにあがりました。

しかし1418年に行われた
大聖堂のドーム設計のコンクールでは
ブルネッレスキがギベルティを破って
雪辱を晴らします。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のドーム

大規模なドームの設計に携わったことで
ブルネッレスキはその名を不滅のものとしました。

ブルネッレスキの貢献

 

ブルネッレスキのもうひとつの貢献は
視覚光学に基づいて、
遠近法を再発見したことです。

ルネサンスの芸術家にとって遠近法は
自然模倣の技でした。

マザッチョ「聖三位一体」
マザッチョ「聖三位一体」1427年

画像の「聖三位一体」は2次元平面に
3次元空間を表現した
絵画史上画期的な作品でした。

マザッチョ「貢の銭」

 

マザッチョ「貢の銭」1427年
「貢の銭」1427年

ブルネッレスキが再発見した
遠近法は多くの画家を引き付けました。

マザッチョ(1401~1428年もその1人です。

マザッチョ
マザッチョと思われる自画像(一部)

「貢の銭」では画面中央の
キリストの頭部周辺に消失点を定め、
周囲の人物達の頭部を1直線に
並べることで統一感が生み出されています。

背後に広がる風景には
色彩遠近法が用いられ、
奥行きが演出されています。

色彩遠近法とは、
暖色は手前、寒色は後方に配置させる
ことで遠近的視覚効果を得る手法です。

フラ・アンジェリコ「受胎告知」

 

受胎告知
フラ・アンジェリコ「受胎告知」1440年代前半

ルネサンスの芸術革命は宗教画にも及びます。

サン・マルコ修道院にある
フラ・アンジェリコが描いた
「受胎告知」は静寂な雰囲気を纏っています。

フラ・アンジェリコ
フラ・アンジェリコと思われる自画像(一部)

作品の下部に
「永遠なる処女の像の前を
通り過ぎるときには必ず
アヴェ・マリアと唱えるように」
という銘文があります。

これは修道士たちが
何度も通りすがりに
祈りをささげたと想像できます。
アンジェリコ自身も修道士であり、
瞑想のための絵画を描いたのかもしれません。

この作品にもドナテッロやマザッチョが
打ち出した遠近法が取り入れられています。

アンドレア・マンテーニャ

 

磔刑図
アンドレア・マンテーニャ「磔刑図」1457‐1460年

15世紀後半になると
イタリア各地の宮廷都市に
ルネサンス的動向が波及します。

北イタリアにあるパドヴァの
アンドレア・マンテーニャ(1431~1506年
の作品は遠近法を用いた厳格で
ゴツゴツした画面構成で、人物は彫刻的です。

死せるキリスト
「死せるキリスト」1490年代

マンテーニャの代表作
「死せるキリスト」
十字架から降ろされたキリストが
短縮法を用いて描かれています。

短縮法とは対象を斜めや交差させて
描く表現のことで、
高度な技術が示されます。

まとめ

 

フィレンツェ
☑市民階級がいち早く台頭したフィレンツェから芸術革新が起こった

☑彫刻ではドナテッロ、建築ではブルネッレスキ、絵画ではマザッチョが活躍した

☑遠近法が再発見され、平面な絵画に3次元的表現が可能になった

次回は盛期ルネサンスを解説します。