この記事は
山田五郎さんのYoutubeチャンネルである
「山田五郎オトナの教養講座」より、
動画の内容を文字に起こして
解説していくものです。
第1回目のタイトルは
【ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」はなぜ怖い?】
記念すべき第1回目に相応しく、
世界一有名な絵画をテーマにされていました。
作品のことだけでなく、
ダヴィンチの知られざる裏側についても
たくさん語られていましたので、
まだみてない方は
是非ご覧になって下さい。
文字の方が理解しやすい方は
ぜひ最後までお付き合いください。
目次
モナ・リザはなぜ怖い?
![絵画鑑賞](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/06/mona-lisa-690203_640-1-300x200.jpg)
あなたはモナ・リザの顔が怖いと
思ったことはありませんか?
笑っているのか、
それとも怒っているのか…
掴みどころがないというか、
無表情というか。
山田さんはそんなモナ・リザの顔を
誰でもあるし、誰でもない顔。
個性がない、普遍的な顔
と表現されています。
普遍的であるが故に
鑑賞者の心情が反映されて
色んな表情に見えたりするわけですね。
モナ・リザのモデルって?
![Mona Lisa](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/322px-Mona_Lisa_by_Leonardo_da_Vinci_from_C2RMF_retouched-1-201x300.jpg)
モナ・リザは言うまでもなく
肖像画です。
そして画家が肖像画を描くということは、
誰かから注文を受けたということです。
誰の注文を受けたのか
謎だった時代もありましたが、
今ではイタリア・フィレンツェにいた
絹商人の妻リザ・デル・ジョコンドが
発注したとされています。
ですのでモナ・リザのモデルは
リザ・デル・ジョコンドです。
では、そのモデルが個性のない、
普遍的な顔をしていたのでしょうか?
モデルがいなくなった?
ここから1度話は
ダヴィンチ本人に移ります。
ダヴィンチといえば美術に詳しくない人も
名前くらいは知っていて、
代表作といえばモナ・リザくらい
はでてきますよね。
では、他の代表作と聞かれれば?
多少詳しい人でも
最後の晩餐くらいしか出てこない
のではないでしょうか。
![Last Supper](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/640px-Leonardo_da_Vinci_1452-1519_-_The_Last_Supper_1495-1498-300x156.jpg)
山田さんはその理由を
「ダヴィンチは一発屋だから」
と説明します。
ダヴィンチは現存する作品数が
とても少ないことでも有名で、
67年の生涯で14~15点程度しか
作品を残していないといわれています。
同時代の画家、
ラファエロが37年で120点以上の
作品を残していることから、
ダヴィンチの作品数がいかに
少ないかがわかりますね。
ではなぜそんなに少ないのでしょうか?
ダヴィンチの困った性格?
ダヴィンチの作品数が
少ない原因に以下のものがあります。
- 注文通りに描かない
- 納期を守らない
ダヴィンチは当時から絵の才能を
認められてはいたものの、
超完璧主義者なのが原因で
受けた仕事を終わらせることが
できなかったようです。
その頑固っぷりは
裁判沙汰にもなったほど。
そんな困った性格のダヴィンチに
仕事の依頼がくることは少なく、
それが作品数に繋がっているようです。
ちなみにモナ・リザも納期を守らず、
依頼主は途中から去ってしまいました。
モナ・リザを描き続けた
依頼主が去った後も
モナ・リザを持ち続けたダヴィンチは、
仕事を求め当時イタリアにとって
敵国だったフランスに入ります。
フランスでダヴィンチはモナ・リザを、
彼の考える理想的・普遍的な人物像に
すべく何度も描き直しました。
ですのでモナ・リザは
最初はモデルがいたものの、
途中からはダヴィンチの考える
理想的・普遍的人物の顔になったわけです。
納期を守らずモデルがいなくなったことで、誰でもない人物像になった
異常なほどの塗り重ね
![Mona Lisa](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/322px-Mona_Lisa_by_Leonardo_da_Vinci_from_C2RMF_retouched-1-201x300.jpg)
モナ・リザの表情のもう1つの理由が
異常なまでに塗り重ねたことです。
薄い色を塗り重ねることで
グラデーションを作り、
陰影のある凹凸を作り出しました。
専門用語でスフマートといいますが、
この技法は西洋絵画特有のものです。
また、スフマートはダヴィンチが
追求し続けた技法で、
モナ・リザは究極のスフマートであると
山田さんは語ります。
何度も薄く塗り重ねられた境目のない煙のようなグラデーションのこと
ダヴィンチだからできた技?
スフマートは一度塗料をぬり、
乾いたらまた塗るという工程を
何度も繰り返します。
1回1回乾くまでに時間が掛かるので、
モナ・リザのスフマートは
納期を守らなくてもよくなった
ダヴィンチだからこそ
成し遂げられた技といえます。
(場所によってはミクロン単位の
塗り重ねを20回以上行っているそうです)
そんな究極のスフマートによって
できあがった境目のない顔が、
独特の表情を作り上げたんですね。
究極のスフマートが謎の表情を実現
職業画家としてはダメ?
![leonardo_da_vinci](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/308px-Leonardo_da_Vinci_-_presumed_self-portrait_-_WGA12798-1-193x300.jpg)
そんな卓越した技術をもつ
ダヴィンチでしたが、
やはりその性格が原因で
非難されることもありました。
3大巨匠の1人、
ミケランジェロはダヴィンチのことを
「口だけで作品を作らない奴」
のように言っていたそうです。
たしかにダヴィンチは、
職業画家としてはダメだったかも
しれませんね。
一方で山田さんは
妥協を決して許さない姿勢を、
- アーティストとしては完璧
- やればできる子
とユーモラスに評価していました。
まとめ
![Mona Lisa](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/322px-Mona_Lisa_by_Leonardo_da_Vinci_from_C2RMF_retouched-1-201x300.jpg)
✓モナ・リザは個性がない、
普遍的な人物像を目指して描かれた
✓究極のスフマートが
謎の表情を実現した
モナ・リザを生涯持ち続けた
ダヴィンチはフランス国内で死去します。
それが理由でイタリアの画家なのに
モナ・リザはフランスのルーブル美術館に
所蔵されています。
なんとも知られざる、
面白いダヴィンチの話が
盛りだくさんでした。
次回はゴッホのヒマワリについてです。
→個性のない普遍的な顔
→ダヴィンチの理想
→職業画家としてはダメだった?