この記事は
山田五郎さんのYoutubeチャンネルである
「山田五郎オトナの教養講座」より、
動画の内容を文字に起こして
解説していくものです。
第1回目のタイトルは
【ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」はなぜ怖い?】
記念すべき第1回目に相応しく、
世界一有名な絵画をテーマにされていました。
作品のことだけでなく、
ダヴィンチの知られざる裏側についても
たくさん語られていましたので、
まだみてない方は
是非ご覧になって下さい。
文字の方が理解しやすい方は
ぜひ最後までお付き合いください。
目次
モナ・リザはなぜ怖い?
あなたはモナ・リザの顔が怖いと
思ったことはありませんか?
笑っているのか、
それとも怒っているのか…
掴みどころがないというか、
無表情というか。
山田さんはそんなモナ・リザの顔を
誰でもあるし、誰でもない顔。
個性がない、普遍的な顔
と表現されています。
普遍的であるが故に
鑑賞者の心情が反映されて
色んな表情に見えたりするわけですね。
モナ・リザのモデルって?
モナ・リザは言うまでもなく
肖像画です。
そして画家が肖像画を描くということは、
誰かから注文を受けたということです。
誰の注文を受けたのか
謎だった時代もありましたが、
今ではイタリア・フィレンツェにいた
絹商人の妻リザ・デル・ジョコンドが
発注したとされています。
ですのでモナ・リザのモデルは
リザ・デル・ジョコンドです。
では、そのモデルが個性のない、
普遍的な顔をしていたのでしょうか?
モデルがいなくなった?
ここから1度話は
ダヴィンチ本人に移ります。
ダヴィンチといえば美術に詳しくない人も
名前くらいは知っていて、
代表作といえばモナ・リザくらい
はでてきますよね。
では、他の代表作と聞かれれば?
多少詳しい人でも
最後の晩餐くらいしか出てこない
のではないでしょうか。
山田さんはその理由を
「ダヴィンチは一発屋だから」
と説明します。
ダヴィンチは現存する作品数が
とても少ないことでも有名で、
67年の生涯で14~15点程度しか
作品を残していないといわれています。
同時代の画家、
ラファエロが37年で120点以上の
作品を残していることから、
ダヴィンチの作品数がいかに
少ないかがわかりますね。
ではなぜそんなに少ないのでしょうか?
ダヴィンチの困った性格?
ダヴィンチの作品数が
少ない原因に以下のものがあります。
- 注文通りに描かない
- 納期を守らない
ダヴィンチは当時から絵の才能を
認められてはいたものの、
超完璧主義者なのが原因で
受けた仕事を終わらせることが
できなかったようです。
その頑固っぷりは
裁判沙汰にもなったほど。
そんな困った性格のダヴィンチに
仕事の依頼がくることは少なく、
それが作品数に繋がっているようです。
ちなみにモナ・リザも納期を守らず、
依頼主は途中から去ってしまいました。
モナ・リザを描き続けた
依頼主が去った後も
モナ・リザを持ち続けたダヴィンチは、
仕事を求め当時イタリアにとって
敵国だったフランスに入ります。
フランスでダヴィンチはモナ・リザを、
彼の考える理想的・普遍的な人物像に
すべく何度も描き直しました。
ですのでモナ・リザは
最初はモデルがいたものの、
途中からはダヴィンチの考える
理想的・普遍的人物の顔になったわけです。
納期を守らずモデルがいなくなったことで、誰でもない人物像になった
異常なほどの塗り重ね
モナ・リザの表情のもう1つの理由が
異常なまでに塗り重ねたことです。
薄い色を塗り重ねることで
グラデーションを作り、
陰影のある凹凸を作り出しました。
専門用語でスフマートといいますが、
この技法は西洋絵画特有のものです。
また、スフマートはダヴィンチが
追求し続けた技法で、
モナ・リザは究極のスフマートであると
山田さんは語ります。
何度も薄く塗り重ねられた境目のない煙のようなグラデーションのこと
ダヴィンチだからできた技?
スフマートは一度塗料をぬり、
乾いたらまた塗るという工程を
何度も繰り返します。
1回1回乾くまでに時間が掛かるので、
モナ・リザのスフマートは
納期を守らなくてもよくなった
ダヴィンチだからこそ
成し遂げられた技といえます。
(場所によってはミクロン単位の
塗り重ねを20回以上行っているそうです)
そんな究極のスフマートによって
できあがった境目のない顔が、
独特の表情を作り上げたんですね。
究極のスフマートが謎の表情を実現
職業画家としてはダメ?
そんな卓越した技術をもつ
ダヴィンチでしたが、
やはりその性格が原因で
非難されることもありました。
3大巨匠の1人、
ミケランジェロはダヴィンチのことを
「口だけで作品を作らない奴」
のように言っていたそうです。
たしかにダヴィンチは、
職業画家としてはダメだったかも
しれませんね。
一方で山田さんは
妥協を決して許さない姿勢を、
- アーティストとしては完璧
- やればできる子
とユーモラスに評価していました。
まとめ
✓モナ・リザは個性がない、
普遍的な人物像を目指して描かれた
✓究極のスフマートが
謎の表情を実現した
モナ・リザを生涯持ち続けた
ダヴィンチはフランス国内で死去します。
それが理由でイタリアの画家なのに
モナ・リザはフランスのルーブル美術館に
所蔵されています。
なんとも知られざる、
面白いダヴィンチの話が
盛りだくさんでした。
次回はゴッホのヒマワリについてです。
→個性のない普遍的な顔
→ダヴィンチの理想
→職業画家としてはダメだった?