ロマネスクとはローマ風という意味で、
石造りの重厚な修道院建築などが特徴的です。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。




この美術が栄えた11~12世紀は封建社会が
成立した時代でした。
封建社会とは、
君主の下にいる諸侯たちが土地を所有し、
所有する土地の人民を統治する政治制度の
ことをいいます。
出典:マナペディア
また、11世紀から全7回行われた
キリスト教の聖地エルサレムを
イスラム教から奪還するための
十字軍の遠征が起こるのも
この時代です。

✓ロマネスク
⇒10世紀末~12世紀
✓ゴシック
⇒12世紀~15世紀
ロマネスク美術の特徴

かつてキリスト教の教えを守るために
祈り・生活する空間だった修道院は
ロマネスク時代に最盛期を迎えます。
人里離れた場所で発展した修道院は
重厚な石壁をもった外観と
暗い内部空間が特徴です。
平面図は東西を向いた長十字型で、
屋根は石で円筒形に造られました。
その結果、それを受ける壁や柱に
重みがかかるため柱が太く、
壁が厚くなり、窓は小さくなりました。

列柱廊

ピサ大聖堂のファサード(正面)の
上部のほうには等間隔に並んだ柱
があります。
あれを列柱廊といい、
柱と柱を繋ぐアーチと共に
壁の外側にかかる荷重を
減らす効果があります。
これは後のゴシック建築にも
みられる特徴の1つです。
ファサードのアーチ部分には
細かな装飾がみえます。
また、ローマ時代から用いられている
コリント式の柱頭も確認できます。
タンパンの彫刻

次にタンパンの彫刻についてです。
タンパンとは扉口を構成する
半円形の壁面のことです。
教会の内部を神の国とするなら
正面扉はまさに天国への入り口でした。
そこでタンパンにも、
キリストや聖書の物語をテーマにした彫刻が
造られました。
タンパンのようなキリストを題材とした
彫刻は、偶像崇拝の禁止などで
古代末期以来失われていましたが、
ロマネスク時代に復活を遂げました。
まとめ

✓修道院の建設はロマネスク時代に最盛期を迎えた
✓ロマネスク様式の修道院は重厚な石壁をもつ外観と暗い内部空間が特徴
✓列柱廊やアーチで外壁にかかる荷重を減らしたり、タンパンにはキリストや聖書の物語をテーマにした彫刻が造られた
次回はゴシック美術を解説します。
✓ローマ風という意味
✓重厚な修道院建築
✓キリスト彫刻の復活