ロマネスクはローマ風という意味で、
石造りの重厚な修道院建築などが特徴的です。
また、聖遺物崇拝や聖地巡礼が
流行ったのもこの時代です。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。
![Saint Foa's Reliquary](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/o0600084814753979739-1-212x300.jpg)
![pisa cathedral](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/640px-Cathedral_and_Campanary_-_Pisa_2014_2-300x198.jpg)
![pisa-cathedral-construction](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/ピサ-300x226.jpg)
![tympan](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/France_laMadadleineVezelay_tympanum_a-300x201.jpg)
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/4874cvezelay.jpg)
ロマネスクの特徴
![pisa-cathedral-facade](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/640px-Duomo_di_Pisa_facciata-300x225.jpg)
ロマネスクとは主に西ヨーロッパで
興った美術様式のことで、
この時代の建築には
半円アーチやヴォールトなど、
共通した特徴があります。
古代ローマ建築の影響が
色濃く残っていることから、
ロマネスクという呼び名になりました。
聖女フォアの聖遺物容器
![Saint Foa's Reliquary](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/o0600084814753979739-1-212x300.jpg)
11世紀の西ヨーロッパでは
聖遺物崇拝が盛んになりました。
聖遺物とは聖人の遺灰や遺髪、
衣服の断片などをさし、
納められた容器と共にそこには
聖なる力が宿ると信じられました。
![Saint Foa's Reliquary](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/o0465070014753979724-1-199x300.jpg)
↑はサント・フォア修道院にある
聖女フォアの聖遺物容器です。
コンク近郊のアジャンで殉教した
聖女フォアをかたどったものであり、
中には修道士がアジャンから盗み出した
聖女の遺骨が入っています。
聖女の遺骸は次々と奇跡を起こし、
多くの巡礼者を集めました。
その後コンクは巡礼路に組み込まれて
発展を遂げます。
このように、
有名な聖遺物を所有することが
当時の教会にとっては重要でした。
聖人の遺骨などを盗むことはフルタ・サクラと呼ばれ、正当な行為とみなされました
ロマネスク建築の特徴
![pisa cathedral](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/640px-Cathedral_and_Campanary_-_Pisa_2014_2-300x198.jpg)
ロマネスク建築の特徴には
以下のものがあります。
- 石造りのヴォールト
- 列柱
- タンパンの彫刻
- 柱頭彫刻
順に解説していきます。
石造りのヴォールト
![stone vault](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/2021-08-14-1-225x300.jpg)
ロマネスク建築最大の特徴が
石造りのヴォールトです。
ヴォールトとは
アーチ型の天井様式をさします。
![vault](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/446px-Single_vault_001-1-279x300.png)
![cross vault](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/422px-Groined_vault_001-1-263x300.png)
ヴォールトは種類も様々で、
ヴォールトの違いによって
側壁と柱の作り方、光の取り入れ方、
装飾を施す場所などが変わります。
ロマネスク建築の多様性は
ヴォールトに由来しているといっても
過言ではありません。
列柱
![pisa-cathedral-construction](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/ピサ-300x226.jpg)
列柱とは等間隔に並んだ
柱の列のことです。
その間のアーチと共に、
壁外側への荷重を減らす効果があります。
ヴォールトと列柱の技術発展が、
壁を薄く、採光などを更に向上させて
後のゴシック建築に繋がっていきます。
タンパンの彫刻
![タンパン](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/France_laMadadleineVezelay_tympanum_a.jpg)
タンパンとは扉口を構成する
半円形の壁面のことです。
教会の内部を神の国とするなら
正面扉はまさに天国への入口でした。
そこでタンパンにも、
キリストや聖書をテーマにした彫刻が
造られました。
タンパンのようなキリスト彫刻は、
偶像崇拝の禁止などで
古代末期以来失われていましたが、
ロマネスク時代に復活を遂げました。
柱頭彫刻
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/4874cvezelay.jpg)
柱頭に装飾を施すのは
古代からの伝統でした。
しかしロマネスク時代からは
そこに人物像が登場して、
聖なる物語を語るようになります。
これらの柱頭彫刻を見ながら信者たちは
聖書の物語をイメージし、
理解することができました。
ゴシック建築になると、
この役割をステンドグラスが担うようになり、
柱頭彫刻はしだいに失われていきました。
まとめ
![pisa cathedral](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/08/640px-Cathedral_and_Campanary_-_Pisa_2014_2-300x198.jpg)
✓ロマネスクはローマ風という意味
✓聖遺物崇拝や聖地巡礼が流行った
✓石造りのヴォールト、列柱、
タンパン彫刻等がロマネスク建築の特徴
次回はゴシック美術を解説します。
→聖堂建築や聖遺物崇拝
→石造りのヴォールト
→列柱や柱頭彫刻
→古代末期以来の
キリスト彫刻の復活