12世紀から始まるゴシック美術は
都市社会の中で発展しました。
また、ロマネスクが西欧全域で
発展したのに対し、ゴシック美術は
フランスを中心に繁栄します。
ゴシックの語源はマニエラ・ゴティカで
野蛮な様式を意味する蔑称です。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。





文化の担い手が聖職者などに限られていた
ロマネスクとは違い、
ゴシック時代には都市に住む
裕福な町人や知識人、
普通の信徒がそれに加わります。
封建社会の中で、
都市部に力をもった商工業者が出てきました。
✓ロマネスク
⇒10世紀末~12世紀
✓ゴシック
⇒12世紀~15世紀
ゴシック美術の特徴

ゴシック建築がロマネスクと大きく違うのは、
聖堂の壁が薄く、天井が高いことです。
建築技術の向上が成し遂げた特徴です。

上画像はサン=ドニ大聖堂の内部です。
壁を薄く、天井を高くしたので
ステンドグラスを使って明るく豪華に
飾り立てることが可能となりました。
ゴシック建築では
聖堂内を出来るだけ明るく
豪華に飾り立てて、
神の世界を表現しようとします。
そしてより神に近づくために
高さを求めました。
ここからはより具体的な
建築様式について解説していきます。
フライングバットレス

フライング・バットレスとは、
壁の外側からつっかい棒のような梁で、
天井の重みで壁が外に開こうとする力を
受け止めるものです。

尖頭アーチ、交差リブヴォールト
引用:私がミラノに興味をもつ理由
それまでの筒型の屋根では左右の壁に
天井からの荷重が全てかかってしまうため、
大きな窓を造ることが出来ませんでした。

そこを解決するために生みだされたのが、
尖頭アーチと交差リブヴォールトです。
先の尖った尖頭アーチを採用し、
リブ(交差している縦筋)を取り付けることで
天井を補強しました。

人像円柱

シャルトル大聖堂の扉口には、
円柱を背にして建つ人像円柱があります。
それまでの建築彫刻はどちらかというと
壁の浮き彫りのような性質が強いものでした

しかしゴシック時代には
建築的枠組みから独立した彫刻
が造られ始めます。
シャルトル大聖堂の人像円柱から
約1世紀後に制作されたランス大聖堂の
彫刻は背後の円柱から独立して
台座の上に立っています。
引用:ランスの旅行記ブログ
ステンドグラス

ゴシック時代にはステンドグラスが
それまでの壁画に変わる絵画芸術の
中心となりました。
美しいステンド・グラスには
聖書の内容などが記されており、
文字が読めない民衆に教義するための
重要な役割を担っていました。
引用:Amazing TRIP
また、色ガラスを通して
差し込む神秘的な光は神は光なりきと
信じた中世の人々にとって、
信者の心を照らす光でもありました。
まとめ

✓ゴシック美術はフランスの都市部などを中心に発展した
✓フライング・バットレス、尖頭アーチ、交差リブヴォールトなどにより教会内を明るく豪華に装飾することが出来た
✓人像円柱など建築的枠組みから独立した彫刻も生まれた
✓ステンドグラスは字が読めない民衆に聖書の内容を伝える役割があった
次回はプレ(草創期)ルネサンス
を解説します。
✓建築技術の向上
✓天井は高く、壁は薄く
✓ステンドグラスの登場