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プロトルネサンスとは?特徴や代表作を解説【西洋美術史⑨】

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記事の要約
  1. ゴシックからルネサンスへ
    →13世紀~
    →チマブーエやジョットが活躍
  2. 人間味を増した表現
    →中世の伝統からの脱却
    →フランチェスコ修道会の影響

 

今回はゴシックからルネサンスへ
移行する時代13世紀~の美術を解説します。

平面的な作品から少しずつ脱して、
3次元的、人間性の増した作品
生まれ出すのが特徴です。

まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。

Cavallini Last Judgement christ on the cross Kiss of Judas by Giotto infant massacre Maesta
Cimabue
チマブーエ
Giotto di Bondone
ジョット・ディ・ボンドーネ


美術史年表

ゴシック⇒12世紀~

・プロト・ルネサンス⇒13世紀~

初期ルネサンス⇒15世紀

プロトルネサンス美術の特徴

 

トスカーナ地方
トスカーナ地方

イタリアでは11世紀頃から
各地で都市国家が独立し始めました。
ピサやフィレンツェ、シエナなどです。

14世紀にはフィレンツェが近隣の都市国家を
併合して一大領域国家の首都となります。

そこからルネサンスへと発展するわけですが、
今回はそこに至るまでの軌跡を解説します。

ピエトロ・カヴァリーニ

 

Cavallini Last Judgement
「最後の審判」1293年

ローマでは1300年の聖年祭を前に、
初期キリスト教時代にさかのぼる
聖堂の再整備が進められました。

そしてこの事業で古いモザイクや壁画の修復に
あたったのがピエトロ・カヴァッリーニです。

カヴァッリーニは初期キリスト教美術から
古代ローマの伝統を学び、
立体感ある人物やドレイパリー、
空間表現など写実的な画風を追求しました。

そして彼の作品は同時期の
ジョット・ディ・ボンドーネに継承されます。

 

ピエトロ・カヴァリーニ
  • 生きた年代
    →1250~1330年頃
  • 代表作
    →最後の審判など
  • なにをした人?
    →古代ローマや初期キリスト教美術を学び、同時代のジョットなどに影響を与えた

チマブーエ

 

christ on the cross
「十字架のキリスト」1280‐1285年

絵画におけるルネサンスの最初の一歩を
踏み出したのがチマブーエです。

↑の作品では体を反らせて、
苦痛にゆがんだキリストが写実的に
表現されています。

チマブーエはフィレンツェで活躍した画家で、
ジョットの師匠とされています。

 

Cimabue
チマブーエ
チマブーエ
  • 生きた年代
    →1240~1302年頃
  • 代表作
    →荘厳の聖母
    →サンタ・トリニタの聖母など
  • なにをした人?
    →写実的な作品を手掛け、ルネサンスへの橋渡しの位置にいる1人

ジョット・ディ・ボンドーネ

 

Kiss of Judas by Giotto
「ユダの接吻」1305年

神と教会を中心とする中世の時代には
自然や人間性は重視されませんでした。

しかしルネサンスに先駆けて芸術の分野で
人間性を追求したのがフィレンツェ出身の
ジョット・ディ・ボンドーネです。

 

infant massacre
「幼児虐殺」1304年

聖なる世界を象徴的に描いた
中世の伝統に対してジョットは
人間の姿や感覚、3次元的な空間を
捉えようとしました。

そして彼の活動は
フィレンツェ美術の基盤となり、
イタリア各地に伝播していきました。

 

Giotto di Bondone
ジョット・ディ・ボンドーネ
ジョット
  • 生きた年代
    →1267~1337年
  • 代表作
    →ユダの接吻
    →荘厳の聖母など
  • なにをした人?
    →中世の伝統とは違う、人間性や3次元的な空間を表現した。ルネサンスの先駆的存在

フランチェスコ修道会

 

francesco basilica
サン・フランチェスコ聖堂

チマブーエやジョットは
中世の伝統とは違う写実的な絵画を
制作しました。

そしてその背景には13世紀初頭に認可された
フランチェスコ修道会の影響があります。

フランチェスコ修道会は、
キリストの教えを人間的な共感により
理解する宗教革命を推進していました。

宗教の人間化・民衆化のなかで、
美術も抽象的・超越的な表現ではなく
写実的・情動的な表現へと変化したのです。

ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ

 

Siena
シエナ

都市国家の発展に伴って各都市は
競合しながら独自の文化を築いていきます。
中でも商業と金融業で発展したシエナは、
経済面や文化でフィレンツェと競いました。

そのシエナで活躍したのが、
ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャです。

 

マエスタ
「マエスタ」1308‐1311年

ドゥッチョのマエスタ荘厳の聖母
ビザンティンの形式は残しつつも
優美な彩色や装飾性が感じられます。

ドゥッチョもジョット同様、
ルネサンスの橋渡し的存在として
有名な画家です。

 

ドゥッチョ
  • 生きた年代
    →1260~1319年
  • 代表作
    →マエスタなど
  • なにをした人?
    →ビザンティン絵画を基盤としながらも、現実感が増した作品を描いた。シエナ派の祖。

まとめ

 

ジョット ユダの接吻
まとめ

✓チマブーエやジョットによって
人間性の増した作品が描かれた

✓写実的な表現の背景には
フランチェスコ修道会の影響があった

✓ドゥッチョはシエナの画家で、
ルネサンスへの橋渡り的存在の1人

次回は初期ルネサンスを解説します。

 

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