今回はゴシックからルネサンスへ
移行する時代の美術を解説します。
平面的な作品から少しずつ脱して、
3次元的、人間性の増した作品が
生まれ出すのが特徴です。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。
![Cavallini Last Judgement](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/527px-Cavallini_Judgment-300x273.jpg)
![christ on the cross](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/3-1-245x300.jpg)
![Kiss of Judas by Giotto](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/492px-Giotto_-_Scrovegni_-_-31-_-_Kiss_of_Judas-300x293.jpg)
![infant massacre](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/515px-Massacre_of_the_Innocents_-_Capella_dei_Scrovegni_-_Padua_2016-300x280.jpg)
![Maesta](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/640px-Duccio_Maesta-300x151.jpg)
![Cimabue](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/519px-Ritratto_di_Cimabue-1-216x300.jpg)
![Giotto di Bondone](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/350px-15th-century_unknown_painters_-_Five_Famous_Men_detail_-_WGA23920-1-219x300.jpg)
プロトルネサンス美術の特徴
![トスカーナ地方](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/434px-Map_of_region_of_Tuscany_Italy_with_provinces-it.svg-1.png)
イタリアでは11世紀頃から
各地で都市国家が独立し始めました。
ピサやフィレンツェ、シエナなどです。
14世紀にはフィレンツェが近隣の都市国家を
併合して一大領域国家の首都となります。
そこからルネサンスへと発展するわけですが、
今回はそこに至るまでの軌跡を解説します。
ピエトロ・カヴァリーニ
![Cavallini Last Judgement](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/527px-Cavallini_Judgment-300x273.jpg)
ローマでは1300年の聖年祭を前に、
初期キリスト教時代にさかのぼる
聖堂の再整備が進められました。
そしてこの事業で古いモザイクや壁画の修復に
あたったのがピエトロ・カヴァッリーニです。
カヴァッリーニは初期キリスト教美術から
古代ローマの伝統を学び、
立体感ある人物やドレイパリー、
空間表現など写実的な画風を追求しました。
そして彼の作品は同時期の
ジョット・ディ・ボンドーネに継承されます。
- 生きた年代
→1250~1330年頃 - 代表作
→最後の審判など - なにをした人?
→古代ローマや初期キリスト教美術を学び、同時代のジョットなどに影響を与えた
チマブーエ
![christ on the cross](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/3-1-245x300.jpg)
絵画におけるルネサンスの最初の一歩を
踏み出したのがチマブーエです。
↑の作品では体を反らせて、
苦痛にゆがんだキリストが写実的に
表現されています。
チマブーエはフィレンツェで活躍した画家で、
ジョットの師匠とされています。
![Cimabue](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/519px-Ritratto_di_Cimabue-1-216x300.jpg)
- 生きた年代
→1240~1302年頃 - 代表作
→荘厳の聖母
→サンタ・トリニタの聖母など - なにをした人?
→写実的な作品を手掛け、ルネサンスへの橋渡しの位置にいる1人
ジョット・ディ・ボンドーネ
![Kiss of Judas by Giotto](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/492px-Giotto_-_Scrovegni_-_-31-_-_Kiss_of_Judas-300x293.jpg)
神と教会を中心とする中世の時代には
自然や人間性は重視されませんでした。
しかしルネサンスに先駆けて芸術の分野で
人間性を追求したのがフィレンツェ出身の
ジョット・ディ・ボンドーネです。
![infant massacre](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/515px-Massacre_of_the_Innocents_-_Capella_dei_Scrovegni_-_Padua_2016-300x280.jpg)
聖なる世界を象徴的に描いた
中世の伝統に対してジョットは
人間の姿や感覚、3次元的な空間を
捉えようとしました。
そして彼の活動は
フィレンツェ美術の基盤となり、
イタリア各地に伝播していきました。
![Giotto di Bondone](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/350px-15th-century_unknown_painters_-_Five_Famous_Men_detail_-_WGA23920-1-219x300.jpg)
- 生きた年代
→1267~1337年 - 代表作
→ユダの接吻
→荘厳の聖母など - なにをした人?
→中世の伝統とは違う、人間性や3次元的な空間を表現した。ルネサンスの先駆的存在
フランチェスコ修道会
![francesco basilica](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/640px-Assisi_San_Francesco_BW_2-1-300x200.jpg)
チマブーエやジョットは
中世の伝統とは違う写実的な絵画を
制作しました。
そしてその背景には13世紀初頭に認可された
フランチェスコ修道会の影響があります。
フランチェスコ修道会は、
キリストの教えを人間的な共感により
理解する宗教革命を推進していました。
宗教の人間化・民衆化のなかで、
美術も抽象的・超越的な表現ではなく
写実的・情動的な表現へと変化したのです。
ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ
![Siena](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/639px-Piazza_del_Campo_Siena-1-300x225.jpg)
都市国家の発展に伴って各都市は
競合しながら独自の文化を築いていきます。
中でも商業と金融業で発展したシエナは、
経済面や文化でフィレンツェと競いました。
そのシエナで活躍したのが、
ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャです。
![マエスタ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/640px-Duccio_Maesta.jpg)
ドゥッチョのマエスタは
ビザンティンの形式は残しつつも
優美な彩色や装飾性が感じられます。
ドゥッチョもジョット同様、
ルネサンスの橋渡し的存在として
有名な画家です。
- 生きた年代
→1260~1319年 - 代表作
→マエスタなど - なにをした人?
→ビザンティン絵画を基盤としながらも、現実感が増した作品を描いた。シエナ派の祖。
まとめ
![ジョット ユダの接吻](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/492px-Giotto_-_Scrovegni_-_-31-_-_Kiss_of_Judas.jpg)
✓チマブーエやジョットによって
人間性の増した作品が描かれた
✓写実的な表現の背景には
フランチェスコ修道会の影響があった
✓ドゥッチョはシエナの画家で、
ルネサンスへの橋渡り的存在の1人
次回は初期ルネサンスを解説します。
→13世紀~
→チマブーエやジョットが活躍
→中世の伝統からの脱却
→フランチェスコ修道会の影響