19世紀中頃、
イギリス・アカデミーに反発し、
ラファエロ以前の美術に回帰することを
掲げた美術グループが誕生しました。
彼らをラファエル前派といい、
当初はロセッティ、ハント、ミレイ
の3人で構成されていました。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。
![ベアタ・ベアトリクス](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/375px-Dante_Gabriel_Rossetti_-_Beata_Beatrix_1864-1870-1-234x300.jpg)
![雇われ羊飼い](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/640px-William_Holman_Hunt_001-1-300x209.jpg)
![オフィーリア](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/640px-Sir_John_Everett_Millais_003-1-300x205.jpg)
![ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/390px-Dante_Gabriel_Rossetti_by_George_Frederic_Watts-1-243x300.jpg)
![ウィリアム・ホルマン・ハント](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/338px-William_Holman_Hunt_-_Selfportrait-1-211x300.jpg)
![ジョン・エヴァレット・ミレー](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/342px-Millais_-_Self-Portrait-1-214x300.jpg)
✓写実主義
⇒1830年頃~
✓バルビゾン派
⇒1830年頃~
✓ラファエル前派
⇒1850年頃~
ラファエル前派の特徴
![アテナイの学堂](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/09/621px-Raffael_058-300x232.jpg)
この時期のイギリス・アカデミーでは
盛期ルネサンスのラファエロを模範とし、
それ以外の新たな表現を認めない方針でした。
そんなアカデミーに不満を抱いた
ロセッティ、ハント、ミレイの
3人はラファエル前派を結成しました。
ラファエル前派とは、
盛期ルネサンス以前の中世や初期ルネサンス
の美術を模範とし、古典偏重の美術教育に
異を唱える意味が込められています。
そして彼らの作品の特徴は
細部まで丁寧に描かれていることと
鮮やかな色使いにあります。
ロセッティ「ベアタ・ベアトリクス」
![ベアタ・ベアトリクス](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/375px-Dante_Gabriel_Rossetti_-_Beata_Beatrix_1864-1870-1-234x300.jpg)
こちらはラファエル前派の1人である
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
(1828~1882)の作品です。
モデルを務めた女性は妻の
エリザベス・シダルで
ミレイの「オフィーリア」でも
モデルを務めた人物です。
彼の作品は
不思議な美しさを感じさせる
ものが多いですが、
ラファエル前派の3人の中では
最も細密描写が得意ではなかった
といわれています。
![受胎告知](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/345px-Rossetti_Annunciation-1-173x300.jpg)
こちらはロセッティの受胎告知。
アカデミーの型からは程遠い
作風であることがよくわかります。
![ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/390px-Dante_Gabriel_Rossetti_by_George_Frederic_Watts-1-243x300.jpg)
ホルマン・ハント「雇われ羊飼い」
![雇われ羊飼い](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/640px-William_Holman_Hunt_001-1-300x209.jpg)
こちらはウィリアム・ホルマン・ハント
(1827~1910)の「雇われ羊飼い」です。
ロセッティなどはラファエル前派を結成後、
芸術的方向性をかえたのに対し、
ハントはいつまでも特色を
変えなかったといわれています。
その特色とは
聖書、伝説などに主題を求めることと、
隅々まで徹底的に描き込んだ細密描写です。
彼の細密描写の技術は
作品をみれば明らかですね。
![我が英国の海岸](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/Hunt_english_coasts-1-300x220.jpg)
![贖罪の山羊](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/William_Holman_Hunt_-_The_Scapegoat-1-300x184.jpg)
![ウィリアム・ホルマン・ハント](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/338px-William_Holman_Hunt_-_Selfportrait-1-211x300.jpg)
ミレー「オフィーリア」
![オフィーリア](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/640px-Sir_John_Everett_Millais_003-1-300x205.jpg)
ラファエル前派で最も有名な作品といえば
ジョン・エヴァレット・ミレー
(1829~1896)のオフィーリアでしょうか。
シェイクスピアのハムレットのヒロイン、
オフィーリアを題材にしたこの作品は
ミレー及びヴィクトリア朝の最高傑作として
名高い作品です。
夏目漱石の「草枕」にも
この作品に言及した箇所があります。
![マリアナ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/626px-John_Everett_Millais_-_Mariana_-_Google_Art_Project-1-245x300.jpg)
![過ぎ去りし夢](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/ISUMBRAS-1-300x219.jpg)
![ジョン・エヴァレット・ミレー](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/342px-Millais_-_Self-Portrait-1-214x300.jpg)
まとめ
![オフィーリア](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/640px-Sir_John_Everett_Millais_003-1-300x205.jpg)
✓イギリス・アカデミーに対抗するようにラファエル前派は結成された
✓ラファエロ以前の中世や初期ルネサンスを模範とする
✓細密描写や鮮やかな色使いが特徴
次回は印象主義の美術を解説します。
✓イギリス・アカデミーへの反抗
✓古典偏重の美術教育に異を唱えた
✓鮮やかな色使いと細密描写