ラファエル前派の特徴を解説/鮮やかな色使いと細密描写【西洋美術史㉖】

サムネ

 

記事の要約

✓イギリス・アカデミーへの反抗

✓古典偏重の美術教育に異を唱えた

✓鮮やかな色使いと細密描写

 

19世紀中頃、
イギリス・アカデミーに反発し、
ラファエロ以前の美術に回帰すること
掲げた美術グループが誕生しました。

彼らをラファエル前派といい、
当初はロセッティ、ホルマン・ハント、
ミレイの3人で構成されていました。

まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。

ベアタ・ベアトリクス 雇われ羊飼い オフィーリア

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ウィリアム・ホルマン・ハント
ウィリアム・ホルマン・ハント
ジョン・エヴァレット・ミレー
ジョン・エヴァレット・ミレー


美術史年表
写実主義(1830年頃~)
⇒クールベ、ミレーetc…
✓バルビゾン派(1830年頃~)
⇒ルソー、ミレー、コローetc…
✓ラファエル前派(1850年頃~)
⇒ロセッティ、ミレイetc…

ラファエル前派の美術

 

アテナイの学堂

この時代のイギリス・アカデミーでは
盛期ルネサンスのラファエロを模範とし、
それ以外の新たな表現を認めない方針でした。

そんなアカデミーに不満を抱いた
ロセッティ、ホルマン・ハント、ミレイの
3人はラファエル前派を結成しました。

ラファエル前派とは、
盛期ルネサンス以前の中世初期ルネサンス
の美術を模範とし、古典偏重の美術教育に
異を唱える意味が込められています。

そして彼らの作品の特徴は
細部まで丁寧に描かれていること
鮮やかな色使いにあります。

ロセッティ「ベアタ・ベアトリクス」

 

ベアタ・ベアトリクス
「ベアタ・ベアトリクス」(1863年)

こちらはラファエル前派の1人である
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
(1828~1882)の作品です。

モデルを務めた女性は妻の
エリザベス・シダルで
ミレイの「オフィーリア」でも
モデルを務めた人物です。

彼の作品は
不思議な美しさを感じさせる
ものが多いですが、
ラファエル前派の3人の中では
最も細密描写が得意では
なかったといわれています。

受胎告知
「受胎告知」(1850年)

こちらはロセッティの受胎告知
アカデミーの型からは程遠い
作風であることがよくわかります。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ

ホルマン・ハント「雇われ羊飼い」

 

雇われ羊飼い
「雇われ羊飼い」(1851‐1852年)

こちらはウィリアム・ホルマン・ハント
(1827~1910)の「雇われ羊飼い」です。

ロセッティやミレイはラファエル前派を
結成後、芸術的方向性をかえたのに対し、
ハントはいつまでも特色を変えなかったと
いわれています。

その特色とは
聖書、伝説などに主題を求めることと、
隅々まで徹底的に描き込んだ細密描写です。

彼の細密描写の技術は
作品をみれば明らかですね。

我が英国の海岸
「我が英国の海岸」(1852年)
贖罪の山羊
「贖罪の山羊」(1854‐1856年)
ウィリアム・ホルマン・ハント
ウィリアム・ホルマン・ハント

ミレー「オフィーリア」

 

オフィーリア
「オフィーリア」(1852年)

ラファエル前派で最も有名な作品
といえばジョン・エヴァレット・ミレー
(1829~1896)のオフィーリアだと
個人的に思っています。

シェイクスピアのハムレットのヒロイン、
オフィーリアを題材にしたこの作品は
ミレー及びヴィクトリア朝の最高傑作として
名高い作品です。

夏目漱石の「草枕」にも
この作品に言及した箇所があります。

マリアナ
「マリアナ」(1850‐1851年)
過ぎ去りし夢
「過ぎ去りし夢」(1857年)
ジョン・エヴァレット・ミレー
ジョン・エヴァレット・ミレー

まとめ

 

オフィーリア
まとめ
✓イギリス・アカデミーに対抗するようにラファエル前派は結成された

✓ラファエロ以前の中世や初期ルネサンスを模範とする

✓細密描写や鮮やかな色使いが特徴

次回は印象主義の美術を解説します。

 

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