スペイン・バロック美術の特徴を解説/バロック美術その③【西洋美術史⑲】

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記事の要約

宮廷美術の発展

カラヴァッジョの影響

ヴァニタス画

 

バロック時代のスペインは
宮廷美術が発展したことが特徴です。

有名なハプスブルク王家は、
王宮装飾をヨーロッパ最高水準のもの
にしようと努めました。

また、イタリアの画家カラヴァッジョ
影響を受けた作品も多いです。

まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。

聖ヨハネの幻視 「聖ベルナルドゥスを抱擁するキリスト」 無原罪の御宿り 世の栄光の終り ラス・メニーナス エル・エスコリアル修道院

エル・グレコ
エル・グレコ
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
ファン・デ・バルデス・レアール
ファン・デ・バルデス・レアール
ディエゴ・ベラスケス
ディエゴ・ベラスケス


美術史年表

マニエリスム
⇒16世紀半ば~
✓バロック
⇒16世紀末~18世紀初頭


スペイン・バロックの特徴

 

スペイン

それまでのスペインはルネサンスの影響を
あまり受けず、美術面での大きな発展は
みられていませんでした。

そんな中、スペイン美術に多大な影響を
もたらしたのがエル・グレコです。

また、17世紀に入ると宗教画宮廷美術
2つの方面で発展をみせます。

エル・グレコの活躍

 

エル・グレコ
エル・グレコ

エル・グレコ(1541~1614)は
マニエリスムの画家として有名です。

イタリアに10年ほど滞在し、
ヴェネツィア派の色彩や
ミケランジェロの造形性を学んだ後、
マニエリスムの幻想的で引き伸ばされた
人体表現を習得しました。

その後スペインに渡り、
対抗宗教革命の拠点だったトレドで
神秘的な宗教画を制作しました。

 

聖ヨハネの幻視
「聖ヨハネの幻視」1608‐1614年

美術面で大きな発展のなかったスペインに、
新たな美術の可能性を伝達しました。

リバルタ「聖ベルナルドゥスを抱擁するキリスト」

 

「聖ベルナルドゥスを抱擁するキリスト」
「聖ベルナルドゥスを抱擁するキリスト」1625‐1627年

17世紀に入るとスペイン美術は
バレンシア、セビーリャ、マドリード
という歴史や文化が異なる都市で
展開していきます。

バレンシア派

活躍した都市によってバレンシア派、セビーリャ派などに分類される。ちなみにリバルタはバレンシア派

スペイン・バロックの出発点ともなったのが
カラヴァッジョがイタリアで完成させた
明暗法でした。

フランシスコ・リバルタ(1565~1628)は
そんなカラヴァッジョの明暗法を
スペインで確立した画家の一人です。

徹底した写実性と明暗効果を用いて、
スペイン・バロックの迫真性を示しています。

 

リバルタの像

ムリーリョ「無原罪の御宿り」

 

無原罪の御宿り
「無原罪の御宿り」1678年頃

リバルタなどのバレンシア派は
17世紀後半になると衰退しますが、
セビーリャ派は17世紀全般を通して活躍し、
特に宗教画において優れた作品を残しました。

17世紀半ばから後半にかけて、
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
(1617~1682)がセビーリャの画壇に
君臨しました。

彼の大きな功績の1つは、
マリア信仰の強かったスペインで
「無原罪の御宿り」の図像を
完成させたことです。

当時のスペインはペストの流行により
人口の半分が失われていました。

そんな社会状況の中で民衆が求めたのは、
カトリックの教義(対抗宗教革命)に
忠実な作品ではなく、癒しを与えてくれる
慈愛の表現でした。

そのこともムリーリョの作品が支持を得た
理由の一つでしょう。

カトリックとプロテスタントの美術を解説

 

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ

レアール「世の栄光の終り」

 

世の栄光の終り
「世の栄光の終り」1671年頃

セビーリャには貧しい病人たちが
介護される聖堂がありました。

そこにはファン・デ・バルデス・レアール
(1622~1690)のヴァニタス画あります。

ヴァニタス画

静物画の1つで、人生の空しさを表現している絵のこと

この図像は中世以降、
現世の富と名誉のはかなさを示すために
盛んに描かれたものの1つです。

レアールのヴァニタス画は徹底された写実性と
明暗の対比により劇的に描かれており、
バロック美術の特徴をみることができます。

 

フアン・デ・バルデス・レアル
ファン・デ・バルデス・レアール

ベラスケス「ラス・メニーナス」

 

ラス・メニーナス
「ラス・メニーナス」1656年

レアールのヴァニタス画がある一方で、
首都マドリードでは宮廷美術が発展し、
セビーリャ出身の
ディエゴ・ベラスケス(1599~1660)は
宮廷画家として君臨します。

「ラス・メニーナス」には
マルガリータ王女や女官たちが
描かれており、宮廷の人々が
鑑賞者の方を見ているかのような
感覚に陥ります。

ベラスケスの卓越した着想が生んだ
イリュージョンです。

ちなみにこの絵は制作から200年後、
近代絵画の父マネを魅了することになります。

ラス・メニーナスを解説

 

ディエゴ・ベラスケス
ディエゴ・ベラスケス

エレーラ様式

 

エル・エスコリアル修道院

最後にエレーラ様式という
スペイン絶頂期の建築様式を紹介します。

16世紀から17世紀にかけてスペインは
大規模な建築物を各地に建築しました。

エスコリアル修道院はフェリペ2世の注文で
建てられたもので、聖堂を中心として
4つの中庭、周囲に王宮、修道院、学校など、
スペイン最大規模の複合建築物となっています。

長方形の四方には塔があり、
簡素な古典主義的形式は建築家の名をとって
エレーラ様式と称されました。

まとめ

 

ラス・メニーナス
まとめ

✓マニエリスムの画家エル・グレコがスペイン美術の発展に貢献した

✓カラヴァッジョの明暗法や劇的な構図スペイン・バロックにも影響を与えた

✓スペインでは宮廷美術が発展し、ベラスケスのような宮廷画家が登場した

次回はフランスでのバロック美術を解説します。

 

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