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象徴主義の特徴や画家、代表作を解説【西洋美術史㉙】

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記事の要約

目に見えない世界を描いた

死や愛、幻想がテーマ

内面の世界を探求した

 

象徴主義の特徴は
印象派のように風景や人物など
目にみえるものを描くのではなく、
「死」や「愛」など
目にみえない世界を描いたことです。

アカデミックな美術への反発として
印象派が誕生し、一方では象徴主義の
ような傾向も見られていました。

まずは象徴主義の代表作の
画像を確認していきましょう。

オルフェウス 眼=気球 死の島 接吻 自画像 叫び

ギュスターヴ・モロー
ギュスターヴ・モロー
オディロン・ルドン
オディロン・ルドン
アルノルト・ベックリン
アルノルト・ベックリン
グスタフ・クリムト
グスタフ・クリムト
エゴン・シーレ
エドヴァルド・ムンク
エドヴァルド・ムンク


美術史年表

象徴主義
⇒1850年~
印象派
⇒1860年~
✓ポスト印象派
⇒1890年頃~

象徴主義の特徴

 

エトワール凱旋門界隈

19世紀のヨーロッパは資本経済が生まれ、
近代化が進んだ時代でした。

一方、街のインフラが整い
経済・物質的に豊かになった街で、
物質主義のような人々が
増えた時代でもありました。

物質主義

お金や物品などを他のものごとより優先させる態度のこと

象徴主義はそんな物質主義への
反発から生まれ、
目にみえない精神的なものを
おいかけました。

ちなみに象徴主義には
イギリスのラファエル前派
ポスト印象派のゴーギャン
クリムトなども含まれます。

ギュスターヴ・モロー

 

オルフェウス
「オルフェウス」1865年

象徴主義の代表的な画家として
ギュスターヴ・モロー(1826~1898)
がいます。

印象派の画家らと同時期に活躍した
モローは、聖書や神話を題材にした
想像と幻想の世界を描き続けました。

また、官立美術学校で教授をしていた
モローは後のフォーヴィスムの芸術家である
マティスアンドレ・ドランに指導を
行いました。

 

ギュスターヴ・モロー
ギュスターヴ・モロー

オディロン・ルドン

 

眼=気球
「眼=気球」1878年

オディロン・ルドン(1840~1916)は
モローと同じフランスの画家です。

彼ももっぱら幻想の世界を
描き続けました。

「眼=気球」はモノクロの作品と
いうこともあり、どこか怖いイメージが
ありますが、ルドンはその他にも
人の顔をした蜘蛛など、
ユーモラスな作品も描いています。

眼=気球を解説

 

蜘蛛
「蜘蛛」1887年
オディロン・ルドン
オディロン・ルドン

アルノルト・ベックリン

 

死の島
「死の島」1880年

アルノルト・ベックリン(1827~1901)は
スイス出身の象徴主義の画家です。

スイス出身ですが
主にイタリアやドイツで活動しました。

「死の島」は代表作の1つであり、
彼自身このモチーフに魅了されていたようで
同じ題材で5作品描いています。

死の島は第一次世界大戦後のドイツで
非常に人気があったようで、
あのヒトラーもベックリンの作品を
収集していたことがわかっています。

 

アルノルト・ベックリン
アルノルト・ベックリン

グスタフ・クリムト

 

接吻
「接吻」1908年

グスタフ・クリムト(1862~1918)は
オーストリアの画家です。

彼はウィーン分離派と呼ばれる
新進芸術家グループの中心的人物でした。

彼の作品は女性の裸体や妊婦など、
官能的なテーマである一方で
常に死の香りを感じさせます。

日本美術にも関心があり、
浮世絵や琳派の影響を受けた
作品もあります。

 

アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I
「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」1907年
グスタフ・クリムト
グスタフ・クリムト

エゴン・シーレ

 

自画像
「自画像」1915年

エゴン・シーレ(1890~1918年)は
クリムトやウィーン分離派、表現主義の
芸術家たちの影響を受け、
個性的な作品を多く手掛けた画家です。

28年という短い生涯でしたが、
死や性行為などのタブー視されていた
テーマを作品にするなど、
常識にとらわれない制作活動で
後世に影響を与えました。

エゴン・シーレとはどんな画家?

 

死と乙女
「死と乙女」1915年
エゴン・シーレ
エゴン・シーレ

エドヴァルド・ムンク

 

叫び
「叫び」1893年

エドヴァルド・ムンク(1863~1944)は
ノルウェー出身の画家です。

代表作に有名な「叫び」があり、
ノルウェーでは国民的画家となっています。

ムンクは他の象徴主義の画家同様、
「内部の世界」を追求しましたが、
彼にとってのそれは不安に満ちた
夜の世界であったと言います。

病的なまでに敏感な感受性に
恵まれていたムンクは、
内面の表現という点に関して
ゴッホよりはるかに先まで進んだ
画家の一人だと評されています。

ムンクの「叫び」は何を叫んでいるの?

 

エドヴァルド・ムンク
エドヴァルド・ムンク

まとめ

 

死の島
まとめ

目にみえない世界、内面の世界を探求したのが象徴主義の特徴

物質主義への反発だった

夢、死、幻想、愛などがテーマとして多い

次回はフォービスムを解説します。

 

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