飛鳥時代の美術の特徴を解説【日本美術史②】

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記事の要約
  1. 仏教美術の誕生
    →6世紀に百済から伝えられた
    →百済から技術者が派遣された
  2. 止利様式
    →止利仏師によって作られた
    →アルカイック・スマイル
  3. 高句麗からの僧
    →工芸や絵画の技術も発展した
    →玉虫厨子

 

飛鳥時代は百済から仏教が伝来し、
仏教美術が誕生した時代です。

初期の仏像は奥行きがなく、
正面観照性が重視された
などの特徴があります。

まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。

玉虫厨子 玉虫厨子


美術史年表

古墳時代⇒300年頃~

飛鳥時代⇒592年~

白鳳時代⇒645年~



飛鳥時代の美術

 

飛鳥寺 山門

飛鳥時代は初めて日本に仏教が伝わり、
仏教美術が誕生した時代です。

6世紀半ばに朝鮮半島の百済から
伝えられたとされています。

このことは日本で仏教信仰が
始まったことを意味すると共に、
仏像などそれまでの日本にはなかった
高度な制作物や制作・建築方法が
伝来したことも意味します。

 

日本書紀

「日本書紀」によれば欽明天皇が
百済の聖明王から送られた仏像を見た際、

西蕃(にしのとなりのくに)の
献(たてまつ)れる仏(ほとけ)の
相貌端厳(かおきらぎら)し

*かおきらぎらし
→輝いている、すごいイケメンである

と称賛したそうです。

 

飛鳥寺

また蘇我馬子が日本で最初の
本格寺院である飛鳥寺を建立する際
百済から仏舎利ぶっしゃりや僧侶が送られました。

更には

  • 寺工てらたくみ
    →寺を建てる技術者
  • 露盤博士ろばんのはかせ
    →仏塔の相輪部をつくる技術者
  • 瓦博士かわらのはかせ
    →瓦を焼く技術者
  • 画工えのたくみ
    →絵師
  • 造仏工ほとけのつくりのたくみ
    →仏像や仏具を造る技術者

なども派遣されたといいます。

このことは飛鳥時代の仏教美術を
形成する上でとても重要です。

 

飛鳥大仏

飛鳥寺の本尊は渡来系工人である
止利仏師とりぶっし鞍作止利くらつくりのとり)が制作しました。

現在の飛鳥大仏は鎌倉時代の火災後に
修復されたものですが、
頭部と右指の一部分は飛鳥時代のものです。

法隆寺金堂と止利様式

 

釈迦三尊像(法隆寺金堂)

7世紀に聖徳太子が建てた法隆寺金堂にある
釈迦三尊像も止利仏師とりぶっし鞍作止利くらつくりのとり)によって
制作されました。

止利は止利様式と呼ばれる
仏像様式を作り上げ、
以下のような特徴があります。

  • 面長の頭部
  • 発際線はっさいせん(髪の生え際)
    直線的
  • 杏仁形の目
  • 仰月系ぎょうげつけいの口
    アルカイック・スマイル

また本尊像には奥行きがなく、
脇侍像は背面が鋳造されていません。

このことは正面からの礼拝を強く意識した
正面観照性が重視されたことを意味します。

止利様式の特徴の1つである
アルカイック・スマイルは
ギリシャ彫刻でも採用されていた
表現の1つです。

 

ギリシャ美術とは?代表作・特徴を解説

止利仏師
  • 生きた年代
    →飛鳥時代(生没年不詳)
  • 代表作
    →釈迦三尊像など
  • なにをした人?
    →飛鳥時代の渡来系仏師。止利様式と呼ばれる仏像様式を作り上げた

観音菩薩立像

 

観音菩薩立像

観音菩薩立像は
東院伽藍夢殿の本尊です。

この地にはかつて聖徳太子の
斑鳩宮いかるがのみやがありましたが、
聖徳太子の死の20年後である634年に
蘇我入鹿の軍勢により
焼き払われてしまいました。

そして739年に
行信僧都ぎょうしんそうずによって夢殿が建てられ、
太子の御影(肖像)として
観音菩薩立像を安置し、
太子の御霊を弔ったと伝えられています。

 

観音菩薩立像

全体的には止利様式の特徴が見られますが、
やわらかな肉付きや曲線を用いており、
法隆寺金堂にある釈迦三尊像より
丸みがあって優しさを感じられる
造りになっています。

また、両手で如意宝珠にょいほうじゅを掲げ持つポーズは
中国や朝鮮とのつながりを伝えています。

 

如意宝珠

仏教において霊験を表すとされる宝の珠のこと

工芸と絵画

 

玉虫厨子
玉虫厨子

この時代は高句麗の僧、雲徴どんちょうによって
紙や墨、絵具の作り方も伝えられ、
工芸や絵画の技術も飛躍しました。

法隆寺にある代表作の1つに
玉虫厨子たまむしのずしがあります。

厨子とは仏像などを納めて安置する、
屋根付きの工作物のことです。

上部の浮彫り金具の下に
玉虫の羽を敷き詰めたことが
名前の由来になっています。

 

玉虫厨子
捨身飼虎図

下層部には捨身飼虎図しゃしんしこずといった
釈迦の前世の物語が異時同図法などで
描かれています。

まとめ

 

まとめ

✓百済から仏教が伝えられ、
日本で初めて仏教美術が誕生した

✓止利仏師は止利様式と呼ばれる
仏像様式を作り上げた

✓止利様式誕生後、
柔らかさや優しさを持ち合わせた
仏像も制作された

次回は白鳳時代の美術を解説します。

 

 

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