ギリシャ美術は
紀元前1000年頃から始まります。
ギリシャ美術の特徴は、
生きている人間を
いきいきと表現したことです。
その背景には神人同形説と呼ばれる
考え方がありました。
神は人間と同じ姿で、同じ感情を持っているとする考え方
この考えをベースに、
理想的な人間を表現することで
神を称えようとしました。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。





画像を見て、
彫刻が多いなと思った方は
いませんか?
実はギリシャ時代は
神人同形説の影響もあり、
平面より立体的な作品の方が
より理想的な神を表現できると
考えられていました。
ですので絵よりも彫刻の方が
多いのもギリシャ美術の特徴です。
✓幾何学様式の時代
⇒紀元前1000年頃~
✓アルカイック時代
⇒~紀元前500年頃
✓クラシック時代
⇒~紀元前330年頃
✓ヘレニズム時代
⇒紀元前323~31年
目次
ギリシャ美術の特徴

紀元前1000年中頃、エーゲ海一帯で
ギリシャ美術が生まれました。
ギリシャ美術では
神は人間の姿をしているという思想のもと、
理想的な人間を模した作品が作られました。
ギリシャ美術は以下の
4つの時代に分けられます。
- 幾何学様式の時代
- アルカイック時代
- クラシック時代
- ヘレニズム時代
順に確認していきます。
幾何学様式の時代(紀元前1000年頃~)

この時代はコンパスや定規を用いて、
円や曲線を陶器に合わせて配置した
作品が生まれます。
こうした特徴を原幾何学様式といいます。
ギリシャ人は美しいものが好きで、
幾何学様式を多用したのも、
美しさに魅了されたからともいわれています。
また、シンプルで倫理的な体系を美しいと
感じるギリシャ人の感性は
哲学などにも影響しました。
アルカイック時代(~紀元前500年頃)

アルカイック時代初期、
ギリシャに現れたのが
大型の大理石立像です。
裸体男性立像をクーロス、
着衣女性立像をコレーと呼び、
それぞれ青年、少女を意味します。
ポーズは男女共に正面を向いており、
男性像は片脚を前に出した自然なものです。

一方女性像は両脚を揃えたものが多く、
腕の動きにバリエーションがあります。
男性像は解剖学的な正確さが求められ、
女性は衣服や衣服のシワ(ドレーパリー)
の表現が重要視されました。
着衣にみられる「ひだ」のこと

こちらはアルカイック・スマイルという
アルカイック期彫刻の特徴の1つです。
唇の両端を軽くあげて微笑むような表情
のことをさしています。
石像をより人間らしくする要素の1つです。

アルカイック時代は
神殿建築が大型化したことも
特徴の1つです。
画像のゴルゴンはギリシャ神話に
登場する3人の怪物姉妹です。

絵画は陶器に描かれたものが残っています。
紀元前7世紀頃の黒絵式と呼ばれる
壺絵の技法もアルカイック時代の特徴です。
クラシック時代(~紀元前330年頃)

この時代の石像はアルカイック期のような
直立したものではなく、
動きを感じさせるものが多くなります。
片方の脚に体重をかけて
もう片方を脱力させ、
動きを感じさせるポーズのことを
コントラポストといいます。
この表現は正確な人体表現を
追求するだけでなく、
身体の動きやしぐさによって
内面や意志を表現する手段でもありました。

このコントラポストは
古典彫刻の最重要な特徴とされ、
後世まで引き継がれます。

ギリシャの都市国家アテネは、
クラシック時代に外敵ペルシアを破って
政治的に最盛期を迎えます。
有名なパルテノン神殿は、
ペルシア戦争で1度廃墟になっていますが、
彫刻家のフェイディアスが総監督となり、
15年の年月をかけて再建されました。
ヘレニズム時代(紀元前323~31年)

クラシック時代までの作品が
人間の理想美を表現したとするならば、
ヘレニズム時代からは
より人間らしく、時には荒々しい作風の
ものがでてきます。
画像のラオコーン像は
ヘレニズムを代表する作品の1つです。

こちらのペルガモンの大祭壇には
オリュンポスの神々と巨人族が戦う場面が
彫られています。

ミロのヴィーナスはギリシャ神話に出てくる
愛と美の女神アフロディテ(ヴィーナス)
をかたどった作品です。
螺旋状に身体を捻って、
どの角度からも美しく見えるように
造形されています。

ヘレニズム時代には絵画技法の1つ、
モザイク画も大きな発展を遂げました。
モザイク画とは、
色石やガラスを並べて
作る画のことです。
アレクサンダー・モザイクは
アレクサンドロス大王とペルシア人との戦い
が写実的に表現されています。
まとめ

✓神人同形説のもと、理想的・解剖学的に正しい身体表現が用いられた
✓動きのない石像にアルカイック・スマイルやコントラポストで生命感や内心を表現させた
✓アルカイック時代から神殿造りが盛んになり、クラシック時代にはパルテノン神殿が再建された
✓ヘレニズム時代にはダイナミックな表現やモザイク画が発展した
次回はローマ美術を解説します。
✓初めて生きてる人間がモチーフに
✓後世に多大な影響を与えた
✓4つの時代に分けて解説