「夜警」不気味な少女の正体を追え!/山田五郎オトナの教養講座⑥

 

記事の要約

✓オランダの国宝

✓愛妻サスキアへの想い

✓画家自身の明暗対比

 

この記事は
山田五郎さんのYoutubeチャンネルである
「山田五郎オトナの教養講座」より、
動画の内容を文字に起こして
解説していくものです。

第6回目のタイトルは
【「夜警」不気味な少女の正体を追え!】

今回はレンブラントの
作品に迫ります。

まだ動画をみてない方は
是非ご覧になって下さい。

 

 

文字の方が理解しやすい方は
ぜひ最後までお付き合いください。


「夜警」不気味な少女の正体を追え!(1:48~)

 

夜警

オランダの画家、
レンブラント・ファン・レインの
代表作である「夜警」。

いまやオランダでは国宝とされ、
「オランダで1番大事な絵はなんですか?」
とオランダ人に質問すれば
この夜警と答えるといわれています。

今回はそんな夜警に描かれている
ある少女に対する疑問です。

 

ある少女とは
作品印部分の人物のことです。

 

この夜警にはもともと
「フランス・バニング・コック隊長と
ウィレム・ファン・ライテンブルフ副隊長
の市民隊」という題名がありました。

中央左側(黒っぽい服)がコック隊長で
その右にいるのが副隊長です。

そして2人の周りを囲んでいるのが火縄銃組合
のメンバー達で、街を見回る自警団的な役割
がありました。

この作品は当時のオランダで流行した
集団肖像画とよばれるジャンルの作品です。
(今でいう記念写真のようなもの)

 

サムネ

バロック美術とレンブラント(3:59~)

 

真珠

バロックとはゆがんだ真珠を意味する
ポルトガル語です。

ここで山田さんはルネサンスを丸だと
すれば、バロックは楕円だと表現します。

ルネサンスの作風が調和のとれた
安定した構図、つまりは静とするならば
バロックの作風は動きのある対比的な
構図、動であると。

また、バロック美術のもう1つの
大きな特徴に明暗強調があります。

 

聖マタイの召命
「聖マタイの召命」
カラヴァッジョ
カラヴァッジョ

 

これはイタリアの画家カラヴァッジョが
生んだ技法で、当時大流行したスタイルです。

レンブラントもイタリアに渡り、
カラヴァッジョのスタイルを学んでいます。

ちなみにこの明暗を強調する技法を
専門用語でキアロスクーロといいます。

キアロスクーロ

キアロは光、スクーロは影の意味

 

夜警

夜警にもキアロスクーロが
存分に使われています。

ところがここで1つ疑問が
でてきます。

キアロスクーロにより
なぜ少女が目立つように
描かれているのでしょうか?

中央の隊長・副隊長に関しては
他のメンバーより身分も高く、
出資額も多いので目立つように
描かれるのは普通のことです。

ところが少女に関しては
肖像画のパトロンでもないでしょうし、
そもそも自警団と一緒にいるのも謎です。

これに関しては当時から疑問視する声が
あったといいます。

 

結論を先にいうとこの少女は
実在する人物ではありません。

以前の話と同様、この少女は女神です。

サムネ

 

少女の体には鶏が下げられています。

ここに少女が女神だと判断する
ポイントがあります。

実は鶏の爪は火縄銃組合の象徴
されているからです。

しかし疑問はまだ残ります。

なぜ集団肖像画で実在しない女神に
スポットが当たっているのか
ということです。

少女に対する考察(8:00~)

 

レンブラント
レンブラント

レンブラントはこの作品を描いている
期間に最愛の妻を亡くしています。

そこで夜警に描かれている少女は
その妻ではないかといわれています。

 

サスキア・ファン・オイレンブルフ
サスキア・ファン・オイレンブルフ

こちらがその妻の肖像画。
たしかに面影があります。

妻のサスキアは裕福な家庭に生まれ、
早くに両親を亡くしたため多くの遺産を
継いでいました。

レンブラントはそんなサスキアと
結婚することで、以下のものを得たと
いいます。

サスキアとの結婚で得たもの
  1. 持参金
    →遺産
  2. 市民権
    →アムステルダムの市民権
  3. セレブ人脈
    →サスキアの叔父が有力な画商だった

レンブラントにとってサスキアとの
結婚こそ出世のキッカケでした。

また、レンブラントはそんなサスキアを
溺愛したそうです。

 

フローラとしてのサスキア
「フローラとしてのサスキア」

こちらはサスキアに
ギリシャ神話の花の女神フローラの
コスプレをさせて描いた肖像画。

山田さんは昔の画家で、
妻にコスプレをさせて描いたものは
ラブラブな証拠と語っています(笑)。

理由はこの時代の肖像画は
注文を受けて描くのが普通なのに、
(仕事でもないのに)妻の肖像画を
何枚も描いているからだとか。

 

放蕩息子に扮したレンブラントとサスキア
「放蕩息子に扮したレンブラントとサスキア」

こちらは夫婦揃っての肖像画です。
まさにイケイケですね。

 

サスキアとレンブラント
「サスキアとレンブラント」

しかしそんな2人にも不幸なことが
ありました。

それは長男、長女、次女と
子どもを授かっても生後間もなく
亡くなったことです。

そして夜警の制作中に次男を
出産しますが、今度はサスキア自身が
返らぬ人となります。

そんなこともあり、
レンブラントは作中にサスキアの面影ある
女神を描いたのではないかと
考えられています。

 

不気味な少女は

愛する人の面影を託した姿

転落の始まり(13:52~)

 

夜警

今作品はオランダの宝であると同時に
当時、レンブラントの人生を転落させる
きっかけとなった作品でもあるのを
ご存知でしょうか?

転落させた理由の1つ目が
「やりすぎた」ことです。

 

ハールレムの聖ゲオルギウス市民隊幹部の宴会

そもそも集団肖像画は描かれる人
全員から出資してもらう作品なので、
身分による目立ち度合いの強弱はあれど
各々の顔ははっきり描くのが普通です。

ところが夜警では
街を警備しているシチュエーションと
キアロスクーロのやりすぎによって
全く顔が見えない人物がいます。

出資者側からすれば納得いかないのも
無理はありません。

 

2つ目の理由は
赤ん坊(次男)を残し
サスキアが亡くなったことです。

そこでレンブラントは
乳母を雇いますが、
彼はその乳母とデキてしまいます。
これが3つ目の理由です。

 

しかも彼は別のお手伝いの女性とも
デキてしまい、乳母の方から
婚約不履行で訴えられます。

一連の騒動は裁判に発展し、
レンブラントは敗訴。
多額の慰謝料を支払うことになりました。

そこに追い打ちをかけるかのように
オランダの景気が悪くなり、
仕事自体も減っていきました。

 

レンブラントハイス美術館
レンブラントハイス美術館(元は自宅)

レンブラントはサスキアと共に
ローンで豪邸を建てていたのですが、
そのローンも支払えなくなり差し押さえ、
破産宣告も受け、貧民街へと引っ越すことに
なりました。

 

夜警

よって、まさにこの夜警は
レンブラント絶頂期の作品であり、
転落のはじまりでもあった作品でした。

動画終盤、山田さんは
バロック美術の特徴にふさわしく
画家自身も明暗対比したと語っていました。

 

レンブラントにとっての「夜警」

最高傑作であり、転落のきっかけ

まとめ

 

レンブラント
まとめ

✓夜警の制作中に愛妻のサスキアが亡くなった

✓作中の少女はその妻を描いたものと考えられている

✓最高傑作であり、転落のきっかけとなった作品

今回はレンブラントについてのお話でした。

有名な作品でしたが、
知らない背景がたくさん語られていましたね。

次回はモネの作品についてです。