「夜警」不気味な少女の正体を追え!/山田五郎オトナの教養講座⑥

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記事の要約
  1. レンブラントの夜警
    →オランダの国宝
  2. 不気味な少女
    →実在しない
    →亡き妻の面影
  3. 画家自身の明暗対比
    →絶頂と転落

 

この記事は
山田五郎さんのYoutubeチャンネルである
「山田五郎オトナの教養講座」より、
動画の内容を文字に起こして
解説していくものです。

第6回目のタイトルは
【「夜警」不気味な少女の正体を追え!】

今回はレンブラントの
作品に迫ります。

まだ動画をみてない方は
是非ご覧になって下さい。

 

 

文字の方が理解しやすい方は
ぜひ最後までお付き合いください。





「夜警」不気味な少女の正体を追え!

 

nightwatch

オランダの画家、
レンブラント・ファン・レインの
代表作である「夜警」。

いまやオランダでは国宝とされ、
「オランダで1番大事な絵はなんですか?」
と現地の人に質問すれば
この夜警と答えるといわれています。

今回はそんな夜警に描かれている
ある少女に対する疑問です。

 

Night-watchman state

ある少女とは
作品印部分の人物のことです。

 

この夜警にはもともと
フランス・バニング・コック隊長と
ウィレム・ファン・ライテンブルフ副隊長
の市民隊という題名がありました。

中央左側黒っぽい服がコック隊長で、
その右にいるのが副隊長です。

そして2人の周りを囲んでいるのが
火縄銃組合のメンバー達で、
街を見回る自警団的な役割がありました。

この作品は当時のオランダで流行した
集団肖像画とよばれるジャンルの作品です。
(今でいう記念写真のようなもの)

 

パトロンで振り返る西洋美術史

バロック美術とレンブラント

 

バロックとはゆがんだ真珠
意味するポルトガル語です。

山田さんはルネサンスを丸だとすれば、
バロックは楕円だと表現します。

ルネサンスが調和のとれた安定した構図、
つまりは静とするならば
バロックは動きのある対比的な構図、
動であると。

また、バロック美術の
大きな特徴に明暗強調があります。

 

Calling of St. Matthew
「聖マタイの召命」

これはカラヴァッジョが生んだ技法で、
当時大流行したスタイルです。

レンブラントもイタリアに渡り、
カラヴァッジョのスタイルを学んでいます。

ちなみにこの明暗を強調する技法を
専門用語でキアロスクーロといいます。

キアロは光で、スクーロは影という意味です。

 

nightwatch

今作にもキアロスクーロが存分に
使われています。

ところがここで1つ
疑問がでてきます。

キアロスクーロにより
なぜ少女が目立つように
描かれているのでしょうか?

中央の隊長・副隊長に関しては
他のメンバーより身分も高く、
出資額も多いので目立つように
描かれるのは普通のことです。

ところが少女に関しては
肖像画のパトロンでもないでしょうし、
そもそも自警団と一緒にいるのも謎です。

これに関しては当時から
疑問視する声があったといいます。

 

結論を先にいうとこの少女は
実在する人物ではありません。

以前の話と同様、この少女は女神です。

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少女の体には鶏が下げられています。
ここに少女が女神だと
判断するポイントがあります。

実は鶏の爪は火縄銃組合の象徴
されているからです。

しかし疑問はまだ残ります。

なぜ集団肖像画で実在しない女神に
スポットが当たっているのかということです。

少女に対する考察

 

Rembrandt
レンブラント

レンブラントは今作を描いている期間に
最愛の妻を亡くしています。

そこで夜警に描かれている少女は
その妻ではないかといわれています。

 

Saskia van Eulenburg
サスキア・ファン・オイレンブルフ

こちらがその妻の肖像画。
たしかに面影があります。

妻のサスキアは裕福な家庭に生まれ、
早くに両親を亡くしたため
多くの遺産を継いでいました。

レンブラントはそんなサスキアと
結婚することで、
以下のものを得たといいます。

サスキアとの結婚で得たもの
  1. 持参金
    →遺産
  2. 市民権
    →アムステルダムの市民権
  3. セレブ人脈
    →サスキアの叔父が有力な画商だった

レンブラントにとってサスキアとの
結婚こそ出世のキッカケでした。

また、レンブラントは
そんなサスキアを溺愛したそうです。

 

Saskia as Flora
「フローラとしてのサスキア」

こちらはサスキアに
ギリシャ神話の花の女神フローラの
コスプレをさせて描いた肖像画。

山田さんは昔の画家で、
妻にコスプレをさせて描いたものは
ラブラブな証拠と語っています。

理由はこの時代の肖像画は
注文を受けて描くのが普通なのに、
(仕事でもないのに)妻の肖像画を
何枚も描いているからだとか。

 

Rembrandt and Saskia as the Prodigal Son
「放蕩息子に扮したレンブラントとサスキア」

こちらは夫婦揃っての肖像画です。
まさにイケイケですね。

しかしそんな2人にも
不幸なことがありました。

それは長男、長女、次女と
子どもを授かっても
生後間もなく亡くなったことです。

そして夜警の制作中に次男を出産しますが、
今度はサスキア自身が返らぬ人となります。

そんなこともあり、
レンブラントは作中に
サスキアの面影ある女神を
描いたのではないかと考えられています。

 

不気味な少女は

愛する人の面影を託した姿

転落の始まり

 

nightwatch

今作はオランダの宝であると同時に、
レンブラントの人生を転落させる
きっかけとなった作品でもあるのを
ご存知でしょうか?

転落させた理由の1つ目が
「やりすぎた」ことです。

 

Banquet of the Citizens of St. George in Haarlem

そもそも集団肖像画は描かれる人
全員から出資してもらう作品なので、
身分による目立ち度合いの強弱はあれど
各々の顔ははっきり描くのが普通です。

ところが夜警では
キアロスクーロのやりすぎによって
全く顔が見えない人物がいます。

出資者側からすれば
納得いかないのも無理はありません。

 

2つ目の理由は赤ん坊次男を残し、
サスキアが亡くなったことです。

そこでレンブラントは
乳母を雇いますが、
彼はその乳母とデキてしまいます。
これが3つ目の理由です。

しかも彼は別のお手伝いの女性とも
デキてしまい、乳母の方から
婚約不履行で訴えられます。

一連の騒動は裁判に発展し、
レンブラントは敗訴。
多額の慰謝料を支払うことになりました。

そこに追い打ちをかけるかのように
オランダの景気が悪くなり、
仕事自体も減っていきました。

 

Rembrandt Huis Museum
レンブラントハイス美術館(元は自宅)

レンブラントはサスキアと共に
ローンで豪邸を建てていたのですが、
そのローンも支払えなくなり差し押さえ、
破産宣告も受け、貧民街へと
引っ越すことになりました。

 

nightwatch

よってまさにこの夜警は
レンブラント絶頂期の作品であり、
転落のはじまりでもあった作品でした。

山田さんは動画終盤、
バロック美術の特徴にふさわしく
画家自身も明暗対比したと語っていました。

 

レンブラントにとっての「夜警」

最高傑作であり、転落のきっかけ

まとめ

 

Rembrandt
まとめ

✓夜警の制作中に
愛妻のサスキアが亡くなった

✓作中の少女はその妻を
描いたものと考えられている

✓最高傑作であり、
転落のきっかけとなった作品

今回はレンブラントについてのお話でした。

有名な作品でしたが、
知らない背景がたくさん語られていましたね。

次回はモネの作品についてです。

 

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