この記事は
山田五郎さんのYoutubeチャンネルである
「山田五郎オトナの教養講座」より、
動画の内容を文字に起こして
解説していくものです。
第9回目のタイトルは
【あふれるキモさの訳とは!?14歳の踊り子】
前回に続き、エドガー・ドガの作品
についてです。
まだ動画をみてない方は
是非ご覧になって下さい。
文字の方が理解しやすい方は
ぜひ最後までお付き合いください。
「14歳の踊り子」滲み出るキモさの訳
![14歳の小さな踊り子](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/587px-Glyptoteket_Degas1-1-163x300.jpg)
印象派で有名なエドガー・ドガは
彫刻作品を作っていたことでも
知られています。
「14歳の踊り子」はドガが
生前に発表した唯一の彫刻作品で、
現在は28点ほど複製が作られており、
世界中に展示してあります。
![14歳の踊り子](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/518px-Edgar_Degas_La_Petite_Danseuse_de_Quatorze_Ans_cast_in_1997-1-216x300.jpg)
複製はブロンズで制作されていますが、
オリジナルは蜜蝋で作られており、
山田さん曰く「オリジナルがキモい」
そうです(笑)。
ドガの歪んだ性癖などを
まだ知らない方は前回の記事からどうぞ↓
作品には布製のチュチュ(衣装)を
使用し、トゥーシューズ(靴)も用意して
彫刻に履かせています。
この作品はモデルになった少女の
2/3スケールで制作されており、
衣装や靴もモデルの少女をもとにドガが
制作しました。
つまりはこの作品を制作するにあたり、
寸法などを取るためドガはモデルの少女を
一度脱がしたりしているわけです。
![14歳の踊り子](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/520px-The_Little_Fourteen-Year-Old_Dancer_MET_DP-14939-005-1-217x300.jpg)
さらにオリジナルの作品は、
後頭部の蝋が少し溶けた部分から
(本物の)髪の毛まで出てきているそうです。
その理由は、オリジナルにはドガが
人毛で作ったカツラを被せ、
その上から蝋で固めているから。
(制作段階を想像するとなんとも
気持ちが悪い感じがしますね)
![14歳の小さな踊り子](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/587px-Glyptoteket_Degas1-1-163x300.jpg)
ドガはこの作品を
第6回印象派展に出品しており、
当時の鑑賞者もこの作品を見て
ドン引きしたそうです。
少女をモデルにした彫刻に
カツラや衣類を着せ、上から更に
蝋で固めた今作は生身の人間を
蝋で固めたかのような雰囲気を
醸し出していたからです。
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/La_Petite_Danseuse_de_Quatorze_Ans_by_Edgard_Degas_1881_-_Ny_Carlsberg_Glyptotek_-_Copenhagen_-_DSC09283-225x300.jpg)
ドガは「14歳の踊り子」を制作する前、
全裸の少女の彫刻を作っていたことも
わかっています。
つまり今作品を発表する前にドガは↓
- 全裸の少女の彫刻を制作
- それをもとにカツラや衣装を制作
- 彫刻に着せる
- 上から蝋で固める
という順序を踏んでいることになります。
山田さんは全裸の少女の彫刻を
「着せ替え可能な全裸美少女フィギュア」
と呼び、ドガは現代のオタク文化を
100年先取りした存在だと言っています。
ちょっとまずいぞ14歳は
![エドガー・ドガ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/Edgar_Degas_self_portrait_1855-1-238x300.jpeg)
今作品のモデルになったのは
オペラ座で踊り子をしていた少女で、
名前をマリー・ヴァン・ゴーテムといいます。
作品名にもなっているように
マリーがモデルを務めたのは14歳の時です。
つまりドガは14歳の少女を全裸にし、
いろいろしたわけですね。
これは当時のコンプライアンス的にも
結構ヤバかったそうです。
また、それ以上にそれを行おうとする
ドガの性癖がヤバいです(汗)。
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/640px-Henri_Fantin-Latour_-_A_Studio_at_Les_Batignolles_-_Google_Art_Project-1-300x222.jpg)
実際、他の印象派の仲間からも
この作品はあまり認められなかったそうで、
ドガがこれ以降、彫刻作品を発表する
ことはありませんでした。
しかし、ドガの変態魂は
これで終わったわけではありません。
それはドガの死後に判明します。
変態魂の再発見
ドガは60歳代半ばから目が見えなくなり、
83歳で亡くなるまで生涯独身でした。
晩年は作品を発表することもなく
ドガの名も忘れ去られていたといいます。
そして彼の死後、
遺族が遺品を整理していると
アトリエからたくさんの
美少女フィギュアが出てきたそうです…!!
それらはやはりコンプライアンス的に
際どいものばかりで、遺族はギリギリ発表
してもよいものだけを複製して売ろうと
考えました。
以下のような作品(複製)です。
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/81306024017147-1-300x226.jpg)
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/20101219213609998-1-229x300.jpg)
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/img_2175-300x242-1.jpg)
ドガはなんと、目が見えなくなってからも
手の感触を頼りに一人で彫刻を
作っていたそうです。
(この事実にはさすがに
遺族も引いていたそうです…)
ギリギリ発表できると判断されたもので
上画像のようなものですから、
発表できなかったものはどんなだったか、
見たいような、見たくないような…
![14歳の小さな踊り子](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/587px-Glyptoteket_Degas1-1-163x300.jpg)
ドガの本性を知れば
今作品がどこか気持ちが悪いのも
わかる気がします。
更に山田さんは、ドガは現代の
フィギュア趣味の先駆けでもある
と説明されていました。
作った人が生粋の変態だから
彫刻でも目線は外している?
![14歳の踊り子](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/09/520px-The_Little_Fourteen-Year-Old_Dancer_MET_DP-14939-005-1-217x300.jpg)
前回の絵画の回では、
ドガは女性と目が合わせられないので
彼の描く女性たちは皆視線が合っていない
という話をしました。
それは彫刻でも同じです。
さらにドガは目が悪くなってきたあたりから
写真をよく使うようになったそうです。
理由は目線を合わせられないのに加え、
写真に1度撮ってしまえばキツいポーズを
モデルにとらせても一瞬で済んでしまうし、
モデルの機嫌を伺う必要もないからでは
ないかと山田さんは考察していました。
まとめ
![エドガー・ドガ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/06/Edgar_Degas_self_portrait_1855-1-238x300.jpeg)
✓14歳の踊り子はドガが生前に発表した唯一の彫刻作品
✓14歳を裸にすることは当時のコンプラ的にもNG
✓晩年は目が悪くなり、1人になっても彫刻を作っていた
今回はドガの彫刻作品についてでした。
今回も画家や作品の裏話が
たくさん聞けてとても面白かったです。
次回はミケランジェロについてです。
✓ドガの変態魂再び
✓制作過程を知るとキモい
✓晩年はもっとキモい