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「三美神」の女神がムッチリ太っている理由とは?/山田五郎オトナの教養講座⑱

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記事の要約
  1. なぜ太っている?
    →当時の美の基準
  2. セルライトまで描かれている
    →ルーベンスの嗜好

 

この記事は
山田五郎さんのYoutubeチャンネルである
「山田五郎オトナの教養講座」より、
動画の内容を文字に起こして
解説していくものです。

第18回目のタイトルは
【「三美神」の女神がムッチリ太っている理由とは?

今回はルーベンスの作品についてです。

まだ動画をみてない方は
是非ご覧になって下さい。
(年齢制限が設けられています)

 

 

文字の方が理解しやすい方は
ぜひ最後までお付き合いください。


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「三美神」の女神がムッチリ太っている理由とは?

 

The Three Graces

今作は1635年頃に
ピーテル・パウル・ルーベンスが
描いた「三美神」です。

そして今回のテーマは
「なぜ女神が太っているのか」です。

テーマに入る前に、
今作の元ネタであるギリシャ神話を
簡単に確認をしていきましょう。

 

Eris
不和の女神エリス

叙事詩「キュプリア」によると、
不和の女神であるエリスは
女神テティスとペーレウスの結婚式に
招かれませんでした。

エリスはその腹いせに、
「最も美しい女神に」と記した黄金の林檎を
宴の場に投げ入れます。

それをきっかけに
ヘラ、アテネ、アフロディテヴィーナスの3女神は
争いを始めてしまいます。

その際、誰が美しいかを決める審判員として
白羽の矢が立ったのはトロイヤ王の
息子のパリスでした。

 

Judgment of Paris
ルーベンス「パリスの審判」1636年

これが有名な「パリスの審判」です。

この時、女神たちは様々な賄賂によって
パリスを買収しようとします。

それぞれが提示した賄賂は↓

  • ヘラ⇒アジアの君主の座
  • アテナ⇒戦いにおける勝利
  • アフロディテ⇒最も美しい女

そしてパリスは
「最も美しい女」を選びました。

しかしここで差し出された女性が
敵国スパルタの王のヘレネ―だったことから、
トロイア戦争の原因となった…
というエピソードです。

 

The Three Graces
ルーベンス「三美神」1620‐1624年

このテーマは非常に人気がありました。

人気の理由は、
女性の美を3方向から描けるからで、
画家として非常に腕が鳴るテーマ
だったそうです。

 

The Three Graces

話を戻します。

この三美神は女神の中でも
選りすぐりの美女だったにも関わらず、
なぜぽっちゃりに描いたのか?

その理由には以下のものがあります。

  1. 当時の美の基準
  2. 画家の好み

当時の美の基準

 

まず山田さんは、
スリムな女性が美しいとなったのは
1920年代以降になってからだと話します。

それまでの歴史において
女性は豊満な方が美しいとされていたと。

 

Henry VIII

それは男性でも同じで、
太っているということは

  • 食うに困らない(富裕層)
  • 身体が大きくて強い(男性)
  • 子供をたくさん産む(女性)

という象徴でした。

ですので逆にいえば、
痩せた女神を描くことはなかった
ともいえます。

 

Landing in Marseille
ルーベンス「マルセイユ上陸」

ルーベンス最大の代表作である
マリー・ド・メディシスの生涯でも
そのポイントが押さえられています。

 

この作品はフランス王妃直々に
依頼された全24作品に及ぶ
王妃の生涯を描いたものですが、
王妃も豊満に描かれてますね。

現代では写真なんかでも
痩せているように補正しますが、
昔はむしろ太っているように補正
することもありました。

画家の好み

 

The Three Graces

次に山田さんは今作について、
太っているように描くのはいいが
にしてもブヨブヨし過ぎじゃないか?
と話します。

 

たしかに、セルライトまで描きこんだ
今作の女神はかなりブヨブヨしてますね。

これに関しては当時としても、
描いてるのはルーベンスだけでした。

つまり個人的な嗜好の可能性があるわけです。

 

peter paul rubens
ピーテル・パウル・ルーベンス

そしてどうやらルーベンスは
ポチャロリ好きの画家だったそうです。

 

Hélène Fourment in fur
毛皮をまとったエレーヌ・フールマン

ルーベンスは49歳の時に
最初の妻に先立たれますが、
53歳で16歳のエレーヌと再婚します。
(自分の息子と同い年だった)

ルーベンスはエレーヌを溺愛し、
最初の妻とは17年で3人の子供を
つくったのに対し、
エレーヌとは10年で子供5人を
つくったそうです。

 

そんなエレーヌの肖像画でも
しっかりセルライトを描いています。

最愛の人の肖像画にも描くほどですから、
ルーベンスはとにかくぽっちゃり好きだった
と言っていいでしょうね。

ちなみに↑の作品を描いた時の
エレーヌは24~25歳。

本当にセルライトがあったのかは
定かではありません。
(画家が盛った可能性もあります)

 

ぽちゃ女神の理由

当時の美の基準×ルーベンスの趣味

まとめ

 

The Three Graces
まとめ

✓三美神は女性を3方向から描ける
人気のテーマ

✓昔は豊満な女性が美しいとされ、
痩せている女性が美しいとされたのは
1920年代以降

✓ルーベンスの嗜好も入っている

次回はボッティチェリの作品についてです。