東京藝大で教わる西洋美術の見かたのレビュー

 

記事の要約

美術を知っている人に向けた本

藝大で学ぶ講義のような内容

✓より深く、具体的な内容

 

バランスよく作品を知るより、
個々の作品に対する
具体的なアプローチを学んだほうが、
実は美術鑑賞のコツを得るには
手っ取り早いのです。
佐藤直樹

この記事では世界文化社出版の
『東京藝大で教わる西洋美術の見かた』を紹介し、レビューしたいと思います。


本書はKindle Unlimitedに登録で
無料で読むことが可能です。


東京藝大で教わる西洋美術の見かた

 

概要

出版社
世界文化社
発売日
2021/1/27
著者
佐藤直樹
本の長さ
264ページ

本書は東京藝大准教授である
佐藤直樹さんによって執筆されたものです。

冒頭には以下の文章があります↓

私が教鞭を取る東京藝術大学は
美術に興味のある学生ばかりですから、
一般的な通史や人気のある印象派を講義
したところで誰も興味を持ってくれません。

本書はこの言葉通りに、
美術史の流れの解説や印象派の画家は
出てきません。

あるのは実際の「藝大で学ぶ美術史講義」
ような全15章からなる実践的な内容です。

大見出しは次のようになっています。

  1. 古典古代と中世の西洋美術
  2. ルネサンス最初の光
  3. ロベルト・カンピンの再発見
  4. ファン・エイク兄弟とその後継者たち
  5. 苦労知らずの美貌の画家
  6. ドイツ・ルネサンスの巨匠
  7. イタリアとドイツで同時に起きていた「美術革命」
  8. バロックを切り開いた天才画家の「リアル」
  9. 中世的な世界観と「新しい風景画」
  10. 英国で花開いた「ファンシー・ピクチャー」
  11. 「ナザレ派」が巻き起こした新しい風
  12. アングルとその仲間たち
  13. 「カワイイ」英国文化のルーツ
  14. 北欧美術の「不安な絵画」
  15. バウハウス前夜のモダニズム

 

古典から始まり、ルネサンスやバロックなど
重要な時代(そこに登場する画家)を
わかりやすく深掘りするような内容です。

美術史を流れにそって解説しないため、
より深く・より立体的な西洋美術史を
学ぶことができます。

この本のポイント

 

本書はまさに藝大生のような
美術をある程度知っている人に向けて
書かれています。

ただし知っているといっても、

  • ルネサンスとはどんな出来事か
  • バロックとはどんな出来事か
  • ラファエロってどんな画家か
  • ダヴィンチってどんな画家か

のようなざっくりとした知識でも
あれば十分楽しめる内容です。

実際の作品画像から、
具体的な鑑賞アプローチを解説したり、
画家の裏情報を知れたりします。

ほんの少しの前提知識が必要なだけで、
書かれている内容は非常にわかりやすい
ものなのでオススメです。

上位のレビュー

 

 

☆4以上のレビュー

何度読んでも退屈しない良書
各期で取り上げられている題材は(日本では)必ずしも有名ではないものも多いため「オーソドックスな美術史」かというとかなり疑問符がつきます。この本、単体で歴史を学べるというわけではないです。しかし、ある程度の西洋の歴史や地理など雑学的な知識を持った上で、絵画的な知識や流れを手っ取り早く習得するにはとても分かりやすかったです。チョイスにクセがあるので、それを分かった上で、この本を起点に自分で勉強できるような人には向いています。

 

☆3以下のレビュー

最近西洋美術に興味を持ったので購入しました。藝大で教わる内容なだけあって他の美術書籍より深い話が書かれていました。西洋美術の歴史がある程度わかっている人は楽しめる本だと思います。

オススメしたい人

 

今回の本を特にオススメしたい人は
以下のような方です。

  1. 藝大の講義を受けてみたい人
  2. 1歩踏み込んだ西洋美術を知りたい人

ざっくりとでも西洋美術史を
齧ったことのある人なら
より深い知識を得るのにとても役立つ本
だと感じました。

一方で今まで1度も西洋美術史に
触れたことがない、全く知らない人には
少し敷居が高く感じられるかもしれません。

ですので完全初学者の人は、
他の本から読むことをオススメします。

まとめ

 

まとめ

藝大で学ぶ美術史講義のような内容

✓美術史の流れや印象派は出てこない

✓少しの知識があればより楽しめる

気になった方は
ぜひ手に取ってみて下さい。

本書はKindle Unlimitedに登録で
無料で読むことが可能です。