ビジネスエリートのための!リベラルアーツ西洋美術のレビュー

 

記事の要約

役に立たないものだからこそ

✓アートの見方がわかる、かわる

アートと社会の関わりを学べる

 

美術教養主義!
この役に立たないものこそ、
大いに楽しむべきだと
ここで宣言させていただきます。
池上英洋

この記事ではすばる舎から出版されている
『ビジネスエリートのための!リベラルアーツ西洋美術』を紹介し、レビューしたいと思います。



ビジネスエリートのための!リベラルアーツ西洋美術

 

ビジネスエリートのための!リベラルアーツ西洋美術
概要

出版社
すばる舎
発売日
2020/12/23
本の長さ
308ページ

本書には監修者と3人の執筆者が
携わっています。

執筆者の1人である池上英洋さんは
東京造形大学の教授で、
イタリアを中心とした西洋美術史・文化史
の専門家です。

他にも西洋美術史を中心とした書籍を
多数執筆されています。

 

大学4年間の西洋美術史が10時間でざっと学べる
こちらも池上さんの本です

そんな池上さんはこの本の冒頭で、
大変興味深い言葉を記されています。

ここで学ぶことは、
あなたがたが社会に出るにあたり、
直接的には何も役に立ちません

これは池上さんが美大の生徒たちに
講義の最初に話すことだそうです。

美術史や文化学の講義の冒頭で
こんなことを言われるとびっくり
しますよね。

池上さん曰く、特に最近の学生は
費用対効果を求める傾向が強いため、
この言葉を聞いてぎょっとした顔を向ける
生徒もいるそうです。

役に立たないもの

 

衣食住のことや科学といった学問は
わたしたちの生活に直接関係してくるものです。

一方、絵画や小説といったものは
「役に立たない」ものの典型とされています。

理由は、なくても生きていけるからです。

しかし、そんな役に立たないものを発展
させてきたのが人類だけなのも事実です。

池上さんはそこに、
私たちが人間である所以があるのではないか
と問いかけます。

アートが本当の意味で役に立たないもの
だったとしたら、紀元前から現代に至るまでの
長い年月を存続することはできなかったはず。

アートが役にたたないというのは
あくまで表面的な見方に
過ぎないのかもしれません。

また、そのようなものを学んでみた先に
本当の教養があるのかもしれませんね。

 

教養を学ぶことは、
たとえ直接的に役に立たなくとも、

自分たちの引き出しを増やし、
奥行きと広がりを加えること

本のポイント①

 

前置きが少し長くなりましたが、
ここからはこの本のポイントを
紹介します。

この本の1つ目のポイントは、
西洋美術の歴史的・文化的背景
その流れを網羅的に解説してくれる点です。

もう少し具体的にいうと、

 

モナ・リザ

モナ・リザに関して

  • 盛期ルネサンス期の作品
  • 作者はレオナルド・ダヴィンチ
  • モデルはリザ・デル・ジョコンド
  • フスマートという技法が使われている

みたいな内容を書いているのではなく、

  • なぜこの作品が評価されているのか
  • なんでこんな描き方をしたのか
  • この時代、どんな絵が流行っていたのか
  • 当時の政治的・文化的背景はどうか

など、作品の背景や社会との繋がりに焦点
あてています。

点々とした知識を勉強するというより、
知識を線にして体系的に理解できる
イメージです。

ですので、
アートを学んだことがない人でも
あれ、アートって面白いな
みたいにアートに対して興味が
わくような内容になっています。

本のポイント②

 

この本の大見出しは以下のとおりです。

  1. 一枚の絵からわかること
  2. アートとお金
  3. アートと社会
  4. 私たちの暮らしとアート
  5. 鑑賞のための手引き
  6. 知っておきたいテーマ
  7. アートの歴史を駆け足で

見出しのようにこの本は、
アートと社会がどのように関わっているか
を前半でわかりやすく学び、
大枠を捉えたところで具体的な
西洋美術に関する内容を学ぶという
設計になっています。

これが2つ目のポイントです。

アートに詳しくない人にとって、
まずアートの存在そのものが
未知だったりしますよね。

アートや美術がそもそもなんで
存在しているのかわからない。
どんな価値があるのかわからない。

そんな状態でルネサンス期の~~
なんて専門用語を言われても
小難しく感じるだけです。

その点をこの本は
お金や社会、暮らしといったテーマで
わかりやすく理解できます。

異文化や宗教に関しても
理解を深めることができるので、
いわゆるグローバルな人になる
手助けにもなるはずです。

 

国際的な軋轢のほとんどは相手国への
無知から生じていますから、
大げさに言えば、異文化理解は
紛争などを減らすための
道の一つともなるはずです。

上位のレビュー

 

☆4以上のレビュー

単純な美術史や画家の説明という感じではありません。その背景にある歴史や文化、絵に携わる仕事、そもそも芸術とは?といったことが裏付けとともに書かれています。だいたいの西洋絵画の歴史を知っているけどさらに勉強したい人向けの本です。
美術の歴史とともに、絵画に描かれているモチーフなども合わせて教えてもらえると、さらに深く絵画を楽しむことが出来ますね。

 

☆3以下のレビュー

西洋美術の歴史から絵画に描かれている意味を理解できるようになる本だと思う。一度読むだけでは、忘れてしまいそう。情報が多い本です。

オススメしたい人

 

今回の本を特にオススメしたい人は
以下のような方です。

  1. アートに全く詳しくない方
  2. アートと社会の関わりを知りたい方
  3. 異文化や宗教について知りたい方
  4. お金や暮らしなど、美術史をテーマ別に知りたい方
  5. 教養を身につけたい方

アートのことを大枠から
学ぶことができるので、
今まで全くアートに触れたことが
ない方にもオススメです。

反対に、
特定の画家や時代を勉強したい方、
個々の作品を詳細に学びたい方などは
他の本にしておきましょう。

まとめ

 

ビジネスエリートのための!リベラルアーツ西洋美術
まとめ

グローバルな教養が身につく

✓アートの存在をもっと身近に感じることができる

✓アートに全く詳しくない人にもオススメ

気になった方は
ぜひ手に取ってみて下さい。