見ようとしなければ、
見えないものばかり。
見える目を手に入れられるかどうかは
皆さんの努力次第なのです。
前崎信也
この記事ではIBCパブリッシング出版の
『アートがわかると世の中が見えてくる』を紹介し、レビューしたいと思います。
アートがわかると世の中が見えてくる
![book cover](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/07/514oQ7TTxkL._SX339_BO1204203200_-205x300.jpg)
出版社
IBCパブリッシング
発売日
2021/1/28
著者
前崎信也
本の長さ
207ページ
著者である前崎信也さんは
京都女子大学生活造形学科の准教授で、
工芸文化史や文化情報学を専門にしています。
キャッチーなタイトルですが、その内容は
現代で芸術を知りたい人がぶつかる壁や、
その壁の存在理由をさまざまな歴史と共に
解説してくれるものになっています。
幅広く活躍されている前崎さんが語る
日本美術の歴史や現状はどれも教育機関では
伝えることができないものばかりで、
大変興味深い内容です。
美術がわかるということは感じることではない
![美術を学ぶ](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2021/06/art-2981726_1280-1-300x200.jpg)
「私には感性がないので美術のことが
全然わからないんです」
本の冒頭は上の言葉から始まります。
前崎さんが授業で生徒から
よく耳にする言葉だそうです。
また、前崎さんが授業の中で
文化財は未来に遺すべきですかと生徒に
聞くとYESと答える人が大半なのに対し、
自分は文化財を遺すため何かしてますかと
問うと大半がNOと答えるそうです。
続けて、
なぜ大切なのに何もしないのですかの
問いには興味がない、高価すぎるといった
答えが目立つそうです。
私もそうですが、
きっとこの記事を読んで下さっている方も
生徒たちに共感できるのではないでしょうか?
このように考える日本人が多いのは
現代まで続くさまざまな美術界の壁や、
芸術文化の伝え方に問題があるから
だと前崎さんは語ります。
印象に残ったこと
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/07/smart-g996464344_640-1-300x198.jpg)
本書の大見出しは以下のとおりです。
- 美術は誰のものか
- 作られた日本美術史
- 美術を支える科学技術とエリート
- 日本文化としてのお茶の話
- 美術館が建った理由
- 一般人に厳しい美術館・博物館
- 美術の見方
本書は日本が独自の美術・文化を強化し、
文化大国日本を造り上げるに至った経緯と、
それらは時代と共にどう変化したのかを
解説してくれます。
日本の美術界の歴史を知れば
なぜ美術を学ぼうとする人が少ないのか、
なぜ美術館は一般人にとって難解であるか
などもわかります。
言葉として適切でないかもしれませんが、
「日本の美術界の闇」が多く
語られているようにも感じました。
- 日本の美術の歴史や現状がわかる
→感性ではなく、理解ができる
理解ができれば見方が大きく変わる - 印象に残った章
→一般人に厳しい美術館、博物館
オススメしたい人
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/07/good-g09885c7a9_640-1-300x186.jpg)
本書を特にオススメしたいのは
以下の方です。
- 日本美術や伝統の歴史を知りたい方
- なぜ芸術が大切なのかを知りたい方
- 美術界の裏側を知りたい方
前崎さんは本の中で
「伝えたいのは感性を磨くことでは
ありません」と明言しています。
その内容通り、この本は多くの人が
感じている「美術には感性が必要」という
想いに寄り添うものではなく、
まずは日本の美術ってどんなものか理解しよう
という想いが込められています。
ですので、
感性を磨きたいという人は
他の本にしておきましょう。
レビュー
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/10/board-g4c2aa0a1e_640-1-300x200.jpg)
【書籍紹介】前崎信也著『アートがわかると世の中が見えてくる』。キャッチーなタイトルですが、「文化大国ニッポン」という虚構を、歴史・美術館・教育など豊富な事例で冷静に分析。しかもその複雑な内容を読みやすくまとめており、日本美術を知る入門書としても最適です。https://t.co/62bSPejSyl
— 太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (@ukiyoeota) February 7, 2021
#読了
『アートがわかると世の中が見えてくる』前﨑信也 IBCパブリッシング
・今の日本の伝統文化は福沢諭吉が決めた
・美術館のおかげで金持ちしか見ることのなかったアートを庶民も見られるようになった
・やはりアートは金持ちのもの
もっとアートに金が流れてアートが身近になればいいなと思った pic.twitter.com/v18sXkJfoY— 智葉哲三(ちばてつぞう)@哲学者・倫理学者 (@CTetsu) February 27, 2022
『アートがわかると世の中が見えてくる』読了。
面白くてあっという間に読んでしまった。
日本文化についての記述は、歴史を紐解くと、まさに!と思うところ多しです。
難しく考えすぎても入れないので、まずは美術や芸術を日常に取り入れ、自分の考え方や見え方を豊かにしていくことが大事。— Yu | 日本の観光を世界一に! (@yukono1017) March 22, 2021
まとめ
![book cover](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/07/514oQ7TTxkL._SX339_BO1204203200_-205x300.jpg)
✓日本の美術・伝統の歴史がわかる
✓なぜ美術は難しいのか、
ハードルが高いのかがわかる
✓感性を磨くのではなく、
まずは理解すること
オススメ度(5段階)
→☆☆☆☆
個人的なオススメ度は4です。
理由として、
義務教育では教えられない
日本美術の裏側が知れて面白いのと、
まずは理解するという想いに
共感したからです!
☆-1の理由としては、
やや批判的な文章が多く感じられたので、
違う意見も知りたいなと感じたからです!
気になった方は
ぜひ手に取ってみて下さい。
→日本で美術はなぜ難しいのか、
日本美術の立ち位置が理解できる
→一般人に厳しい美術館、博物館
→☆☆☆☆