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アートがわかると世の中が見えてくるのレビュー

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どんな本?
  1. どんな内容の本?
    →日本で美術はなぜ難しいのか、
    日本美術の立ち位置が理解できる
  2. 印象に残ったこと
    →一般人に厳しい美術館、博物館
  3. オススメ度(5段階)
    →☆☆☆☆

 

見ようとしなければ、
見えないものばかり。
見える目を手に入れられるかどうかは
皆さんの努力次第なのです。
前崎信也

この記事ではIBCパブリッシング出版の
『アートがわかると世の中が見えてくる』を紹介し、レビューしたいと思います。


アートがわかると世の中が見えてくる

 

book cover
概要

出版社
IBCパブリッシング
発売日
2021/1/28
著者
前崎信也
本の長さ
207ページ

著者である前崎信也さんは
京都女子大学生活造形学科の准教授で、
工芸文化史や文化情報学を専門にしています。

キャッチーなタイトルですが、その内容は
現代で芸術を知りたい人がぶつかる壁や、
その壁の存在理由を
さまざまな歴史と共に
解説してくれるもの
になっています。

幅広く活躍されている前崎さんが語る
日本美術の歴史や現状はどれも教育機関では
伝えることができないものばかりで、
大変興味深い内容です。

美術がわかるということは感じることではない

 

美術を学ぶ

「私には感性がないので美術のことが
全然わからないんです」

本の冒頭は上の言葉から始まります。

前崎さんが授業で生徒から
よく耳にする言葉だそうです。

また、前崎さんが授業の中で
文化財は未来に遺すべきですかと生徒に
聞くとYESと答える人が大半なのに対し、
自分は文化財を遺すため何かしてますか
問うと大半がNOと答えるそうです。

続けて、
なぜ大切なのに何もしないのですか
問いには興味がない、高価すぎるといった
答えが目立つそうです。

私もそうですが、
きっとこの記事を読んで下さっている方も
生徒たちに共感できるのではないでしょうか?

このように考える日本人が多いのは
現代まで続くさまざまな美術界の壁や、
芸術文化の伝え方に問題が
あるから
だと前崎さんは語ります。

印象に残ったこと

 

本書の大見出しは以下のとおりです。

  1. 美術は誰のものか
  2. 作られた日本美術史
  3. 美術を支える科学技術とエリート
  4. 日本文化としてのお茶の話
  5. 美術館が建った理由
  6. 一般人に厳しい美術館・博物館
  7. 美術の見方

 

本書は日本が独自の美術・文化を強化し、
文化大国日本を造り上げるに至った経緯と、
それらは時代と共にどう変化したのかを
解説してくれます。

日本の美術界の歴史を知れば
なぜ美術を学ぼうとする人が少ないのか、
なぜ美術館は一般人にとって難解であるか
などもわかります。

言葉として適切でないかもしれませんが、
「日本の美術界の闇」が多く
語られているようにも感じました。

 

印象に残ったこと
  1. 日本の美術の歴史や現状がわかる
    →感性ではなく、理解ができる
    理解ができれば見方が大きく変わる
  2. 印象に残った章
    →一般人に厳しい美術館、博物館

オススメしたい人

 

本書を特にオススメしたいのは
以下の方です。

  1. 日本美術や伝統の歴史を知りたい方
  2. なぜ芸術が大切なのかを知りたい方
  3. 美術界の裏側を知りたい方

前崎さんは本の中で
「伝えたいのは感性を磨くことでは
ありません」と明言しています。

その内容通り、この本は多くの人が
感じている「美術には感性が必要」という
想いに寄り添うものではなく、
まずは日本の美術ってどんなものか理解しよう
という想いが込められています。

ですので、
感性を磨きたいという人は
他の本にしておきましょう。

レビュー

 

まとめ

 

book cover
まとめ

日本の美術・伝統の歴史がわかる

なぜ美術は難しいのか、
ハードルが高いのかがわかる

感性を磨くのではなく、
まずは理解すること

オススメ度(5段階)
→☆☆☆☆

個人的なオススメ度は4です。

理由として、
義務教育では教えられない
日本美術の裏側が知れて面白いのと、
まずは理解するという想いに
共感したからです!

☆-1の理由としては、
やや批判的な文章が多く感じられたので、
違う意見も知りたいなと感じたからです!

気になった方は
ぜひ手に取ってみて下さい。