この記事はマニエリスムから印象派までの
西洋美術史を年表に沿ってまとめました。
大まかな流れの学習・確認に
活用してください。
西洋美術史をざっくりと解説①
→原始美術から盛期ルネサンスまで
美術史ざっくり解説【西洋美術史入門】
マニエリスムから印象派まで、
ざっくりと以下の時代を確認していきます。
- マニエリスム(1530年~)
- バロック(1580年~)
- ロココ(1730年~)
- 新古典主義(1770年~)
- ロマン主義(1790年~)
- 写実主義(1830年~)
- 印象派(1860年~)
マニエリスム美術
16世紀のイタリアは宗教革命や戦争など、
社会的・宗教的にも不安定な時代に入ります。
そんな時代にはルネサンスのような
調和のとれた、安定した構図ではなく
不安感や緊張の伴う作品が作られるように
なりました。
マニエリスムとはイタリア語で
様式や手法を意味するマニエラという
言葉からきています。
自然な比率を無視した極端な長身化や
遠近法の拡張、冷たく鮮やかな色調と
いった特徴があります。
- 年代
→1530年頃~1600年頃まで - 場所
→イタリア全域 - 作られたもの
→絵画や彫刻 - 特徴
→極端な長身化や冷たく鮮やかな色調など - 有名な芸術家
→エル・グレコ、ジュリオ・ロマーノなど
バロック美術
バロックは
ポルトガル語で歪んだ真珠を意味する
バロコが語源となっています。
この時代に起こった大きな出来事に
宗教革命があります。
ドイツのマルティン・ルターが
発端となり起こった宗教革命は、
カトリックとプロテスタントの
分派に繋がりました。
バロック美術の特徴を簡潔に言うと
ダイナミックな構図や明暗の強調などです。
ただしそれらは主にカトリック教が占めていた
国でいえる特徴であり、
プロテスタントの国では
異なる特徴を示しました。
- 年代
→16世紀末から18世紀初頭 - 場所
→ヨーロッパの大部分 - 作られたもの
→絵画、彫刻、建築 - 特徴
→ダイナミックな構図や明暗の強調など - 有名な芸術家
→カラヴァッジョ、ルーベンス、カラッチなど
ロココ美術
ロココの語源である
ロカイユは装飾用語で、
小石や貝殻をちりばめた装飾を
さす言葉です。
フランスではルイ14世が亡くなり、
フィリップ2世がまだ幼いルイ15世の
摂政となると、時代は享楽的な貴族文化へと
変化していきました。
貴族と上流市民によるサロンの文化から
生まれたロココ美術は、
装飾的かつ曲線的で、優雅な美しさ
が特徴です。
フランスなどの上流社会で行われた社交的集会のこと
- 年代
→1730年頃~1770年頃 - 場所
→フランスからヨーロッパ各国へ - 作られたもの
→絵画、室内装飾、家具、建築など - 特徴
→装飾的で曲線的、優雅な美しさ - 有名な芸術家
→ヴァトー、フラゴナールなど
新古典主義
18世紀の後半、フランス革命が起こり
それまでの絶対王政と封建制度が
崩壊しました。
それにより享楽的なロココ美術は衰退し、
ギリシャ・ローマを古典として復興を
目指した新古典主義が新たな芸術思潮と
なりました。
新古典主義の特徴は
直線的で左右対称など幾何学的で
秩序だった造形や構図です。
- 年代
→18世紀中頃から19世紀初頭 - 場所
→ローマからヨーロッパ各国へ - 作られたもの
→絵画、彫刻、建築など - 特徴
→直線的、左右対称、幾何学的 - 有名な芸術家
→ダヴィッド、アングルなど
ロマン主義
ナポレオンの敗北と共に
新古典主義が衰退してきた頃、
また新たにロマン主義という
芸術思潮がでてきます。
ロマン主義の特徴は
動きを出した筆致や動的な構図、
歴史上の出来事をテーマにするのではなく
今(時事的な出来事)を描いたことです。
新古典主義の特徴と大きく異なります。
また、この時代は風景画が
生まれたことも特徴的です。
実はそれまでの風景は
理想化して描かれることが普通で
見たままを描くことはありませんでした。
それまで絵画の主流であった
宗教画や神話画ではなく、
風景画などの異なるジャンルが
台頭してきた時代ともいえます。
- 年代
→18世紀末から19世紀前半 - 場所
→ヨーロッパ各国 - 作られたもの
→絵画など - 特徴
→動きのある筆致や構図など - 有名な芸術家
→ドラクロワ、ターナーなど
写実主義
19世紀中頃になると、
現実をあるがままに描くことを重視した
写実主義の画家達が誕生します。
その背景にはイギリスから始まった
産業革命があり、経営者と労働者の間に
貧富の差が生まれ、公害などの新しい問題が
増えてきた時代でした。
写実主義で有名な画家、
ギュスターヴ・クールベは
労働者や農民の生活に強い関心を示し、
産業革命の裏で苦しむ人々を描くことで
社会的な抗議を唱えました。
- 年代
→19世紀中頃~ - 場所
→フランスやイギリス、ロシアなど - 作られたもの
→絵画など - 特徴
→見たまんまを誇張せずに描く - 有名な芸術家
→クールベ、ミレーなど
印象派
印象派とは19世紀の後半に
フランスで発した芸術運動、
もしくはその運動を推進した
グループのことをいいます。
この時代、セーヌ県知事の
オスマン男爵によりパリの大改造が行われ、
パリは近代都市へと生まれ変わりました。
印象派の画家達はそんな
賑やかで活気に満ちたパリの姿を
屋外で鮮明に描こうと試みました。
印象派の特徴は以下のものがあります。
- 近代都市パリの風俗画や風景画を描いた
- 屋外で絵を制作し、パレット上で混色しない筆触分割の技法を用いた
- 1874年から独自のグループ展を開催した
また、この時代は5回にわたって
万国博覧会がパリで開催され
日本美術がヨーロッパに大きな影響を与え、
ジャポニズムと呼ばれる日本ブームが
起こったことでも有名です。
- 年代
→19世紀後半~ - 場所
→主にフランス - 作られたもの
→絵画など - 特徴
→パリの風景画などを筆触分割法で描いた - 有名な芸術家
→モネ、ルノワールなど
まとめ
マニエリスム(1530年~)
⇒極端な長身化や冷たく鮮やかな色調
バロック(1580年~)
⇒ダイナミックな構図や明暗の強調
ロココ(1730年~)
⇒装飾的で曲線的、優雅な美しさ
新古典主義(1770年~)
⇒直線的で左右対称、秩序だった構図
ロマン主義(1790年~)
⇒動的な筆致や構図、時事ネタをテーマに
写実主義(1830年~)
⇒見たまんまを誇張せずに表現
印象派(1860年~)
⇒パリの風景を筆触分割で鮮やかに表現
次のまとめ記事では、
ポスト印象派から現代美術までを解説します。
✓印象派までをざっくりと
✓時代と共に変わる表現方法
✓宗教画以外のジャンルの登場