19世紀中頃から目の前の現実だけを
描くことに注力した画家達が出てきます。
これを写実主義と呼び、
同時期のフランス郊外では
バルビゾン派とよばれる
同じく目の前の風景を描くことに
こだわった画家達がいました。
まずはこの時代の作品を確認しましょう。





写実主義の特徴

18世紀後半に産業革命が起こり、
生活の利便性が向上しました。
また経営者と労働者の間では
貧富の差が生まれ、
公害などの新しい問題も発生しました。

写実主義は物語を主題とすることが多かった
新古典主義やロマン主義とは異なり、
あるがままの現実を芸術に昇華しようと
することを目指した芸術運動です。
その根底には社会主義思想の広まりや
増大する社会矛盾への問題意識があり、
下層労働者や農民を作品に積極的に
取り上げていきました。
一方で当時の社会に対する
肯定的なまなざしが反映されることもあり、
その感覚は後の印象派などに繋がります。
ギュスターヴ・クールベ

ギュスターヴ・クールベは
フランスのオルナンに生まれた画家で、
写実主義の代表的な人物です。

彼は1850~51年のサロンに
「オルナンの埋葬」を出品しました。
故郷オルナンの埋葬風景を、
あたかも歴史画のような構図と
異例の大画面で壮大に描いた作品です。
作中の村人たちも理想化されることなく、
あるがままに描かれています。
それまで歴史画が支配していたサロンに
確信犯のごとく現実を描いた今作は
画壇への挑戦と受け取られました。

1855年、クールベはパリの万国博覧会に
大作を出品しますが落選してしまいます。
そこで彼は会場近くに小屋を建て、
「クールベ作品展。入場料1フラン」
という看板を立てて個展を開催しました。
当時画家が個展を開催する習慣はなく、
これが世界初の個展となり、
後の印象派に影響を与えました。

- 生没年
→1819~1877年 - 代表作
→オルナンの埋葬など - なにをした人?
→写実主義の代表的人物で、世界で初めて個展を開催した画家。後の印象派に多大な影響を与えた
ジャン=フランソワ・ミレー

ジャン=フランソワ・ミレーは
当時のフランス国民の大半を占めた
農民の生活や姿を主題にした
作品を多く手掛けた画家です。

ミレーは詩情豊かな田園を背景に、
農民の労働の崇高さを表現しました。

- 生没年
→1814年~1875年 - 代表作
→落穂拾いなど - なにをした人?
→農民を描いた作品で人気を博した画家。バルビゾン派としても知られる - その他の記事
バルビゾン派の特徴

1830年頃から数人の画家が
パリ郊外にあるバルビゾンという
村に住みつきました。
そこで彼らは自然に基づく風景画を描き、
バルビゾン派と呼ばれる
新しい風景画を作りました。
フランスでは19世紀初めごろまで
実際の風景を描く風景画はあまりなく、
神話や物語の背景として理想化された
風景を描くことが大半でした。
テオドール・ルソー

バルビゾン派の中心となったのは
テオドール・ルソーです。
それまでのフランスは依然として
アカデミー主催のサロンが画家の登竜門で、
サロンで評価されるには歴史画や肖像画を
描くことが必須の時代でした。

しかしルソーは純粋な風景画にこだわり、
サロンへの入選を拒まれた不遇な時代にも
彼は志を変えることはありませんでした。
そして1848年にサロンの審査基準が変わり、
翌年のサロンで金メダルを獲得、
正統派の画家として復活を果たしました。

- 生没年
→1812~1867年 - 代表作
→フォンテーヌブローの森の小屋など - なにをした人?
→バルビゾン派の代表的な画家。歴史画や物語の背景ではない、純粋な風景画を確立しようとした
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー

カミーユ・コローは
詩情あふれる風景画を描いたことで
有名なバルビゾン派の画家です。
彼は生涯に3度イタリア旅行をしており、
イタリア絵画の明るい光や色彩に
影響を受けました。
そしてイタリアやフランス各地の
ありふれた風景を詩情ゆたかに描いた作品は
後の印象派にも影響を与えました。

- 生没年
→1796~1875年 - 代表作
→モルトフォンテーヌの思い出
→真珠の女など - なにをした人?
→詩情あふれる森や湖の風景画が有名な画家。「真珠の女」のような人物画にも名作がある
まとめ

✓産業革命を背景にクールベは
労働者や農民の姿をリアルに描いた
✓ルソーは純粋な風景画にこだわり、
サロンで金メダルを獲った
✓目に映るものを描いた彼らは、
印象派の先駆的存在となった
次回はラファエル前派の美術を解説します。





















→現実をあるがままに描く
→サロンへの挑戦と受け取られた
→印象派にも影響を与えた
→自然に基づく風景画を描いた