5/24 10:30~ 対話型鑑賞体験会を行います!

TJ The Lion-Tiger Man/ナラティブ・アプローチ

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この記事では今を生きる
アーティストの方に着目し、
インタビューさせて頂いた
内容を記していきます。

作品に込められた意図などを
解説するのではなく、
アーティストの方の生い立ちや
考え方を紹介していくものです。

第14回目は
アーティストの
TJ The Lion-Tiger Manさんです。

記事内の画像は全て掲載許可を頂いています


TJ The Lion-Tiger Manとは?

 

プロフィール
  • アーティスト名:TJ The Lion-Tiger Man
  • 年齢:おっさん
  • 出身:東京
  • 主な制作:音楽Rap、Remix、小説

インタビューに至るまで

 

TJ The Lion-Tiger Manさんは
インタビューの12年程前に、
MOTOと同じ職場で働いていた方です。

当時は医療従事者だったのですが、
現在はアーティストとして
活動していたのを知り、
お声掛けさせて頂きました。

TJ The Lion-Tiger Manさんの作品

 

主に音楽と小説を手掛け、
VRapperとしても活動している
TJ The Lion-Tiger Manさん。

Rapに関しては全て英語で仕上げ、
スラングや放送禁止用語を
連発しているのが特徴的です。

またアニソンやゲームのサントラを
サンプリングしたものを
多用しているのも拘りです。

小説は全4巻構成(現在も執筆中)。
自伝とファンタジーが半々の感じだそうです。

 

TJ The Lion-Tiger Manさんの生い立ち

 

本人の言葉をそのまま使用しています

父がチンピラ、母がメンヘラという
家庭で育ったTJさん。

父の兄伯父は本物の反社でしたが、
TJさんの父は本物とまではいかない、
中途半端な人だったといいます。

虐待、ネグレクト…
劣悪な環境の幼少期だったそうです。

 

普段からよく父の職場(建築現場)に
連れてこられていたTJさんは、
そこで外国籍の人と関わるようになり、
80~90年代の音楽RAP、HipHopを教わりました。

その影響もあり、
ほとんど不登校だった中学時代も
その年代のCDやレコードを集めたり、
Rapの練習を重ねたりしたそうです。

 

TJさんが通信制高校を卒業したのは20歳。
普通高に入学したこともありましたが、
周りと全く馴染めずにすぐに自主退学。

それからは独学でRapの練習、
CDやレコードを買い漁るために
バイト三昧の日々だったそうです。

あの頃はバイクか音楽かでしたね

とTJさんは当時を振り返っていました。

 

そんなある日、
いつものようにバイクを走らせていた
TJさんでしたが車と交通事故に遭います。

骨折をしたTJさんは入院し、
そこで出会ったリハビリ職員に
「君も医療従事者になってみれば?」
と提案されました。

その提案を受けた時、
TJさんの心の中には

  • 社会的には認められている仕事だし
  • 音楽じゃ食べていけないし
  • 音楽を諦めるためにもいい選択かも

と逃げ口上も含む
様々な気持ちがあったといいます。

 

結局、医療従事者となる道を選んだTJさん。
その中でMOTOとも出会いました。

TJさんとMOTOが同じ職場で
働いていたのは1年程。
その後2人は別々の職場に変わっていました。

そんなある日、
久しぶりに連絡を入れてみると、
TJさんは医療職を辞めていました。

理由はPTSDの悪化でした。
両親から受けた虐待の体験が、
仕事中にもフラッシュバックするように
なってしまったそうです。

 

現在は片田舎で静かに療養中のTJさん。
そして精神科医と相談したうえで、
治療の一環としたのが音楽、小説による
ナラティブ・アプローチです。

ナラティブ・アプローチとは

 

ナラティブ・アプローチとは
自分の人生を物語として語り、
それを誰かと共有することで
自分や他者の心の傷を
同時に回復できるという治療法です。

一人称の語りによって紡がれる物語DominantStory
を通じて被治療者の抱える問題が
外在化される事で、
安全が保障された空間の中で
他者とそれを共有、
するとDominant Storyは
別の可能性を示唆する物語AlternativeStory」へと分岐し
自分自身だけでなく物語を共有した
他者にとっても新たな視点の獲得や
新たな解決手段の発見、
新たな人生の始まりへと繋げていくことが
可能となるものです。

ナラティブ・アプローチが治療として
最終的に成立するためには、
「他者との共有」が不可欠です。

よって「語り」で紡がれた作品は、
発表し他者に届くことにより
治療として完結することができます。

*本来はセミクローズドな小集団内で、
病院や施設などの心身の安全が
保証された環境の中で実施されるもの

TJさんの場合

 

ナラティブ・アプローチの定義の通り、
「他者との共有」のために
音楽や小説を発表しているTJさん。

そしてその共有は自己治療以外の
個人的な意図・目的も含まれています。

 

それは児童虐待を生き延びた経験をもつ
TJさんが医療従事者としての医学的知識や
臨床経験と照らし合わせながら、
被虐待児童当事者の思いや状況を可能な限り
的確に表現した歌詞や小説として発表し、
一般の人にも手が届く様にすることで、
虐待に今も苦しんでいる子供たち、
かつて虐待を受け今もなお
心身に苦しみを抱えている大人たちにも
TJさんの作品が届き、その人達にも
何らかの治療効果が波及することを
願っているからです。

最後に

 

インタビューに協力して下さった
TJ The Lion-Tiger Manさんに
厚く御礼申し上げます。

インタビュー終盤で
ナラティブ・アプローチに関して、

過去を思い出して言語化してみると、
忘れていた記憶や、埋もれていた経験に気付く

それらを解釈し直して、
ゆっくりと成仏させている感覚です

と教えてくれました。

最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。