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オフィーリアを解説

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記事の要約
  1. オフィーリア
    →原作はハムレット
  2. モデルを務めたのはシダル
    →ロセッティの妻
  3. シダルにも悲劇的な死が
    →アヘンチンキを常習

 

このシリーズでは1つの作品に
隠された時代背景や解釈、
メッセージ性を読み解いていきます。

第2回目はミレーの
「オフィーリア」です。

絵画を通して得た知見が
あなたの心のビタミンになれば
幸いです。


オフィーリアを解説

 

Ophelia
作品概要

題名
オフィーリア
制作者
ジョン・エヴァレット・ミレー
制作年
1851~1852年
美術史では
イギリスのラファエロ前派
寸法
76.2 cm×111.8 cm
種類
油彩、キャンバス
所蔵
テート・ブリテン

今作は1851~52年に
ミレーによって描かれました。

オフィーリアはシェイクスピアの戯曲
ハムレットに登場する人物で、
歌を口ずさみながら川に身を沈める
場面が描かれています。

 

ここで簡単にハムレットのあらすじ
確認しておきましょう。

主人公はデンマークの王子ハムレット。

彼はある日、急死した父の亡霊から
「私は弟に毒殺された」
と告げられます。

ハムレットは、
父の弟であるコローディアスが
王座を奪うために父を殺したのだと
知るのです。

報復を誓うハムレットですが、
真意を悟られないように
あえて狂気を装います。

突然のハムレットの豹変に
戸惑う人々。

そんな中、王の右腕であるポローニアスは
「我が娘オフィーリアに恋心を抱く
ハムレットは、恋が実らないために
狂ってしまったに違いない」と勘違いし、
オフィーリアに探りを入れます。

思募の情を胸に
ハムレットを尋ねるオフィーリア。

ところが心の底を知られたくない
ハムレットに無下に扱われ、
心は深く傷ついてしまう。

一方、父の敵討ちに乗り出した
ハムレットでしたが
誤ってポローニアスを殺害。

立て続けの不幸にオフィーリアは
発狂し、自殺を企てる…

 

今作には草花がたくさん描かれています。

ケシは、ひな菊は無垢
バラは若さ、すみれは純潔
パンジーが空しい愛を象徴しています。

オフィーリアのモデル

 

Beata Beatrix
「ベアタ・ベアトリクス」(モデルはシダル)

オフィーリアのモデルとなったのは
同じラファエロ前派、ロセッティの
婚約者であるエリザベス・シダルです。

モデルを務めたときの年齢は19歳。

ミレーは作品を制作するにあたって
自身のアトリエに浴槽を持ち込んで、
実際にシダルを水に浮かべたそうです。

その際、冷たくないように
ランプで下から水を温めていましたが、
ある時ミレーはランプが消えていたことに
気付かずにシダルが風邪を引いてしまいます。

そのことに激怒したシダルの父親は
ミレーを訴えて治療費を支払わせたという
エピソードがあります。

悲劇的な死

 

シダルの自画像

実はモデルのシダルにも
悲劇的な死が待ち受けていました。

彼女を死に追いやった原因は
夫ロセッティの浮気です。

悲しみのあまりアヘンチンキを
常習するようになったシダルは
果てに死んでしまいます。

ミレーがシダルをモデルに選んだのは
彼女の中にオフィーリアに近いなにかを
見出したからかもしれません。

 

アヘンチンキ

アヘン末をエタノールに浸出させたもの。主な用法は鎮痛と咳止めだったが、麻薬成分が高い濃度で含まれているので現在は厳しく制限、管理されている

メッセージ性

 

Ophelia

ここでもう一度
オフィーリアを見てみましょう。

モデルのシダルは制作後、
本当にオフィーリアのような
悲劇的な死を迎えることになります。

ミレーはシダルの運命を
予期していたのでしょうか。

オフィーリアに近いものを
感じたからこそ、
儚くも美しい姿を描くことが
できたのでしょうか。

あなたにはオフィーリアが
どのように見えますか?

また、その後のエピソードをも踏まえて
あなたが感じるメッセージ性には
どんなものがありますでしょうか?

恋に破れた悲劇のヒロイン?

男に翻弄された哀れな女?

儚いからこそ輝いた「生」の灯?

 

是非、あなたなりのメッセージを
受け取ってください。

まとめ

 

John Everett Millais
ジョン・エヴァレット・ミレー
まとめ

原作はハムレット

モデルを務めたのはロセッティの妻シダル

シダルにも悲劇的な死が待ち受けていた

最後に画家のミレーについて。

盛期ルネサンス以前の中世や初期ルネサンス
の美術を模範とし、古典偏重の美術教育に
異を唱えるために結成されたラファエロ前派。

そのラファエル前派に思想的な面で
影響を与えたのが批評家のラスキンでした。

ミレーはこのラスキンの妻である
ユーフィミアと恋に落ちてしまいます。

結果的に2人は結婚するのですが、
ミレーの人生も色々と波乱万丈でした。

最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。

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