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聖マタイの召命を解説

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記事の要約
  1. カラヴァッジョ初期の傑作
    →1600年頃に公開
  2. マタイによる福音書、9章9節の内容
    →収税所のマタイに声をかけた場面
  3. 誰がマタイなのか論争
    →現在も続いている

 

このシリーズでは1つの作品に
隠された時代背景や解釈、
メッセージ性を読み解いていきます。

第9回目はカラヴァッジョの
「聖マタイの召命」です。

絵画を通して得た知見が
あなたの心のビタミンになれば
幸いです。


聖マタイの召命を解説

 

Calling of St. Matthew
作品概要

題名
聖マタイの召命
制作者
ミケランジェロ・メリージ・
ダ・カラヴァッジョ
制作年
1599~1600年
美術史では
初期バロック
寸法
322cm×340cm
種類
油彩
所蔵
サン・ルイジ・デイ・
フランチェージ教会

画家のカラヴァッジョは
バロック美術の先駆者としてだけでなく、
後世にも多大な影響を与えた人物として
知られています。

彼の初期の傑作である聖マタイの召命は
1600年頃に公開されました。

この作品は当時のローマの人々に
大きな衝撃を与え、画家が有名になる
きっかけとなった作品です。

 

Church of San Luigi dei Francesi
サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会

作品右側からさすスポットライトの
ような光は、教会の窓から差し込む
現実の光とマッチするよう設計されています。

絵画世界と現実世界との境界を
取り払う工夫の1つです。

画家のカラヴァッジョは
作品の評判が高まり、裕福になるにつれて
飲み屋を渡り歩くようになり、
各地で問題を起こすことも増えていきました。

 

カラヴァッジョってどんな画家?

誰がマタイなのか?

 

Calling of St. Matthew

今作はマタイによる福音書、9章9節にある
イエスが収税所で働いていた
マタイに声をかけ、マタイが呼びかけに
こたえて付いて行ったという
内容をもとに描かれています。

この作品で現在も論争になっているのは
「誰がマタイなのか?」という問題です。

 

ひげを生やした男性

当初はキリストを見つめ、
「私ですか」と自分のことを指さす
人物がマタイとする見方が一般的でした。

 

お金を数える若者

ところが1980年代に、
左側のうつむく若者がマタイであると
指摘する美術史家が現れました。

ひげを生やした男性が指さすのは
自分ではなくお金を数えている
若者であるという見方をとったのです。

 

しかし1990年に入ると
若者=マタイ説に反論が出されます。

その理由はひげの男性の右手です。
(画像矢印)

テーブルの上で金貨を握っていて
テーブルを叩いているようにも見えます。

 

加えて男性の帽子にご注目下さい。
金貨が付いています。

このことからひげを生やした男性は
徴税人で、税金の支払いを渋っている
若者に対して支払いの要求をしている
と解釈したのでした。

スポットライトが照らすのは…

 

Calling of St. Matthew

ここでもう一度
全体像を見てみましょう。

マタイは一体誰なのか。

現在も続く論争ですが、
あなたはどのように思われますか?

ちなみに右側からさす光は
ひげを生やした男性の方を照らしている
ようにも見えますね。

とするとこの作品の主人公は…

まとめ

 

Caravaggio
まとめ

バロック時代の先駆けとなった作品

聖マタイは誰か、論争が続いている

ひげを生やした男性=マタイ説が優勢

最後に画家のカラヴァッジョについて。

2週間仕事をしたら、1,2か月は
ほっつき歩いたという証言が残っている
カラヴァッジョ。

名画を次々と生む一方で、
超喧嘩早い性格の彼は
作品数に比例するかの如く、
犯罪歴も増やしていきました。

殺人を犯して死刑判決まで受けた
画家もあまり例を見ません。

良くも悪くも、
歴史に名を残した人物かもしれませんね。

最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。

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