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アルノルフィーニ夫妻像を解説

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記事の要約
  1. 当時のカトリック教での結婚
    →秘跡であり、内縁のようなもの
  2. 画家による秘跡の記録
    →様々なメッセージが隠されている
  3. 凸面鏡
    →緻密な描写が盛り込まれている

 

このシリーズでは1つの作品に
隠された時代背景や解釈、
メッセージ性を読み解いていきます。

第10回目はヤン・ファン・エイクの
「アルノルフィーニ夫妻像」です。

絵画を通して得た知見が
あなたの心のビタミンになれば
幸いです。


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アルノルフィーニ夫妻像を解説

 

Statue of Mr. and Mrs. Arnolfini
作品概要

題名
アルノルフィーニ夫妻像
制作者
ヤン・ファン・エイク
制作年
1434年
美術史では
北方ルネサンス
寸法
82.2cm×60cm
種類
油彩
所蔵
ナショナル・ギャラリー

 

アルノルフィーニ夫妻像は1434年に
ヤン・ファン・エイクによって
描かれました。

この作品はイタリアの商人だった
アルノルフィーニとその妻を、
2人の邸宅を背景に描いたものと
されています。

当時、結婚は誓いによって執り行われ、
その誓いは手を繋いだ状態で花婿が
腕を持ち上げることと決められていました。

つまり今作は結婚を描いたものなのです。

結婚の秘跡の記録

 

bible

今作は結婚式を描いたものですが、
肝心の司祭がどこにもいません。

それは当時のカトリック教での
結婚は両人による秘跡であり、
今でいう内縁関係のようなもの
だったからです。

ですのでしばしば一方が
「結婚なんてしていない!」みたいな
ことを言い出す事態が起きていました。

そんな混乱を避けるため、
1563年のトレント公会議によって
カトリック教での結婚は司祭と2人の証人が
必要だと取り決められ、今日に至ります。

今作はまだそうなる以前の結婚で、
画家によって結婚の秘跡の記録
しておこうと依頼されたものでした。

さまざまなメッセージ

 

Statue of Mr. and Mrs. Arnolfini

さて、今作は至る所に
メッセージが隠されています。

 

まずは2人の頭上にあるシャンデリア。

蠟燭が1本だけ付いていますね。
これは神の知恵を意味しており、
結婚式に神が同席したことを表しています。

 

足元にいる犬は貞操、
つまり結婚の忠誠を表しています。

 

寝台にある彫刻は
聖マルガレータが竜の腹から
無事に出てきた伝説から、
安産が祈念されています。

 

脱ぎ捨てられた履物は結婚式が
寝室という神聖な場所で行われたこと
表しています。

凸面鏡

 

今作には正面に凸面鏡が飾られています。

これは当時の富裕層が入手できたもので、
曇りない鏡と水晶の数珠はマリアの純潔
表すシンボルでもあります。

木枠にはキリストの受難伝の
10場面が鏡を取り囲んでおり、
結婚が聖なるものであることを
示唆しています。

鏡を見てみると、花婿・花嫁の他に
青と赤の衣装を纏った人物が見えます。

これは青い衣装が画家自身で、
赤い方は弟子とされています。

また鏡の上には、
Johannes de Eyck fuit hic 1434ヤン・ファン・エイクここにありき1434
記されています。

この署名により、
画家がこの場に同席したことが
保障されているのです。

メッセージ性

 

Statue of Mr. and Mrs. Arnolfini

ここでもう一度
アルノルフィーニ夫妻像を見てみましょう。

結婚の秘跡を記録した今作は、
2人の結婚が神聖であり、
神秘的であることを表現していますが、
あなたには今作がどのように
映って見えるでしょうか?

是非、あなたなりのメッセージを
受け取ってください。

まとめ

 

Jan van Eyck
まとめ

結婚の秘跡の記録のために描かれた

結婚に対するメッセージがたくさん隠されている

凸面鏡にまで細かな描写が盛り込まれている

最後に画家のヤン・ファン・エイクについて。

彼が確立させた油彩画技法は後に
ヴェネツィアにも伝わり、
絵画の歴史を大きく変えました。

油彩によってぼかしや重ね塗り、
絵具を混ぜ合わせることも可能に
なったからです。

そんな彼は15世紀の北ヨーロッパにおいて
最も重要な画家の1人とされています。

最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。

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