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ヴィーナスの誕生を解説

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記事の要約
  1. 父殺しから生まれた女神
    →泡から誕生
  2. アネモネの花言葉
    →儚い夢、君を愛す
  3. 愛と悲しみは背中合わせ
    →数々の恋のエピソード

 

このシリーズでは1つの作品に
隠された時代背景や解釈、
メッセージ性を読み解いていきます。

第3回目はボッティチェリの
「ヴィーナスの誕生」です。

絵画を通して得た知見が
あなたの心のビタミンになれば
幸いです。


ヴィーナスの誕生を解説

 

Birth of Venus
作品概要

題名
ヴィーナスの誕生
制作者
サンドロ・ボッティチェリ
制作年
1483年
美術史では
フィレンツェ黄金時代
寸法
172.5cm×278.5cm
種類
キャンバスにテンペラ
所蔵
ウフィツィ美術館

今作は1483年に
イタリアの画家ボッティチェリに
よって描かれました。

ギリシャ神話の女神ヴィーナスが
海より誕生した場面を描いています。

 

あらすじは以下のとおりです。

大地の母ガイアと天空神ウラノスの間に
農耕神サトゥルヌスが生まれた。

サトゥルヌスは末っ子で兄弟も多かったが、
兄弟の中には醜悪な怪物もいた。

父であるウラノスはそんな醜い子どもたちを
嫌って大地の奥に閉じ込めてしまった。

それに怒った母ガイアはサトゥルヌスに
父ウラノスの殺害を命令。

サトゥルヌスはそれを実行すると同時に
鎌で父親の男根を切り落として海に捨てた。

切り落とされた男根は白い泡に変化し、
その泡の中からヴィーナスが誕生した。

つまりヴィーナスは
サトゥルヌスによる父殺しの果て
生まれた女神なのです。

 

ここでヴィーナスの顔に注目します。

ボッティチェリの描いたヴィーナスは
顔の右と左で表情が異なっています。

光が当たっている右側の顔は
嬉しそうな表情をしていますが、
影になっている左側の顔は
どこか沈んでいるようにも見えます。

この複雑な表情は父殺しという
罪から生まれた存在だからこそ
持ちえたものなのでしょうか。

ヴィーナスのその後

 

Venus and Adonis
ヴィーナスとアドニス

女神ヴィーナスには
数々の恋のエピソードがあります。

その中には神ではなく、
人間に恋をしたエピソードがあります。

ヴィーナスは生まれたばかりの
人間アドニスに一目惚れし、
幼い彼を木箱に入れて連れて帰ります。

その箱を冥府の女王プロセルピナに預け、
箱の中身を決して見ないように頼みました。

中身が気になった
プロセルピナが箱を開けると、
中にはとても美しい赤ん坊のアドニスが。

その姿を見て、プロセルピナも
アドニスに恋をしてしまいます。

アドニスが少年になった頃、
ヴィーナスは彼を迎えにきました。

しかし、彼を返したくないプロセルピナは
ヴィーナスと争いになり、
神々の裁判にまで発展しました。

その結果、アドニスは1年のうち
4ヶ月をヴィーナスと過ごし、
もう4ヶ月はプロセルピナと
過ごすことになりました。

残りの4ヶ月はアドニスの希望により、
ヴィーナスと過ごすことになりましたが、
プロセルピナはこれに激怒しました。

プロセルピナはヴィーナスの愛人アレスに
この事を告げ口しました。

怒ったアレスはイノシシに変身し、
狩りをしていたアドニスを
殺してしまいます。

この時アドニスが流した血から花が咲き、
後に「アネモネ」と名付けられました。

アネモネの花言葉は
「はかない夢」「君を愛す」。

 

実はヴィーナスの向かって右側にいる
精霊ホーラの足元にもアネモネの花が
描かれています。

メッセージ性

 

Birth of Venus

ここでもう一度
ヴィーナスの誕生を見てみましょう。

罪から生まれた愛と美の女神は
誕生のその瞬間から

「愛と悲しみは背中合わせ」

「愛欲には虚しさがついてまわる」

ことを悟っていたのかもしれません。

そのことを想うと
光と影のある複雑な表情も
より興味深く見えてきます。

あなたにはヴィーナスの誕生が
どのように見えますか?

また、その後のエピソードをも踏まえて
あなたが感じるメッセージ性には
どんなものがありますでしょうか?

是非、あなたなりのメッセージを
受け取ってください。

まとめ

 

sandro_botticelli
サンドロ・ボッティチェリ
まとめ

父殺しの罪から生まれた愛の女神

ヴィーナスの左右の顔が違う

アネモネの花言葉は儚い夢、君を愛す

最後に画家のボッティチェリについて。

ボッティチェリの本名は
アレッサンドロ・ディ・マリアーノ・
フィリペーピです。

ボッティチェリとは小さな樽という意味で、
兄が太っていたことから付いたあだ名です。

ギリシャ文化に傾倒した「春」
「ヴィーナスの誕生」などを描いた後、
400年ほど忘れ去られていた
ボッティチェリでしたが19世紀末に
受け入れられるようになりました。

ボッティチェリ再発見のきっかけとして、
19世紀のラファエロ前派の存在が
あったそうです。

最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。

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