美術史とみていく技法について/モザイクやフレスコ、テンペラとは?

サムネ

 

記事の要約

✓技法によって費用が大きく変わる

✓時代によって主流が変わる

✓大きなものから小さいものへ

 

突然ですが、
あなたは美術館のディスクリプションに
書いてある「フレスコ」や「テンペラ」という
技法がどんなものかご存知ですか?

よくわからずにスルーしている人も
多いのではないでしょうか?

西洋美術史は絵画技法の歴史でも
あります。

知ってる人も知らない人も、
この記事で技法についての理解を
深めておきましょう。

ちなみにこの記事は
こちらの記事もあわせて読んでおくと
より理解が深まるかと思います。

サムネ


絵画の技法について

 

絵画技法は面白いことに
当時の経済と密接に関係してきます。

お金がある時代にはお金が掛かる
技法で作品を作り、
そうではない時代には極力コストを
抑えた方法で作品を作ります。

もちろん、科学的な進歩と共に
発展した技法もあります。

ここから順に技法をみていきましょう。

モザイクとは?

 

ユスティニアヌス帝と随臣
モザイクによる作品

まずはモザイクです。

モザイクとは色のついている石やガラスを
小さく砕き、漆喰を塗った壁に埋め込んでいき
模様を描く技法です。

石やガラスを砕いた欠片のことを
テッセラとよびます。

テッセラは発色がよく、太陽光にあたる
面積も少ないのであまり退色もしません。

模様の表面に金箔を貼って、更に
煌びやかにすることもありました。

ユスティニアヌス1世
拡大図

しかしこのモザイクは壁一面に
テッセラを1つずつ並べていくので
かなりの労力を使う技法です。

また、顔料となる色石を細かく
粉末状にしたりせず、欠片として
使うのでコストもかかります。

よってモザイクは皇帝や教会など、
注文主が莫大な財力をもっていた
時代によく使われた技法でもあります。

フレスコとは?

 

アテナイの学堂
ラファエロによるフレスコ画

先ほどのモザイクは
かなりの労力とコストが掛かる他に、
壁にテッセラを半分だけ埋め込む技法なので、
少しの地震でも崩れてしまう脆さが問題でした。

その点を克服できるのがフレスコです。

フレスコは色のついた石やガラスを
粉末状にし、それを水または石灰水で
溶かして漆喰を塗った壁に塗るという
技法です。

壁に塗った漆喰が乾ききらないうちに
顔料を塗らないといけないので、
漆喰がまだフレスコ(新鮮)という
意味でその名がついています。

この技法は漆喰が乾くときに顔料も
一緒に壁と一体化するので、
モザイクより定着力がある上に
筆で描くため細かな造形も可能でした。

また、石を粉末にして薄く伸ばして使うので
石のまま使うよりコストを大きく削減
できました。

難点としては、
漆喰が一度乾いてしまうと
やり直しができないことです。

よって制作者の高度な計画と
技術力を必要とする技法でした。

テンペラとは?

 

ヴィーナスの誕生
ボッティチェリによるテンペラ画

ここまで登場したモザイク、フレスコは
両方とも壁一面に漆喰を塗って描く技法で、
裕福なパトロンでないと注文できませんでした。

そこで誕生したのが板絵です。

板絵には漆喰ではなく、顔料を板に
定着させるための固定材を使います。

そして顔料と固定材を合わせるために
卵が使われ、ラテン語で「混ぜ合わせる」と
いう意味のテンペラが技法名となりました。

板は入手がしやすく、それまでの技法と違い
テンペラは塗り直しが可能でした。

ところが木の板は湿気に弱く、
表面が反り返って顔料が剥がれ落ちることも
ありました。

また、当時の板はまだ重量があり、
持ち運びも困難でした。

油彩とは?

 

ファン・デル・パーレの聖母子
ファン・エイクによる油彩画

油彩は顔料と固定材を合わせるのに
卵ではなく、を使った技法をさします。

油彩はフランドルのファン・エイク兄弟により
完成されました。

油彩絵具はテンペラよりも透明性が高く、
粘稠度も高いことから光沢のある画面を作る
ことができました。

油彩絵具
油彩絵具

また油彩は遅乾性であり、テンペラより
精緻な描写が可能でした。

この油彩は絵画技法に大きな発展を
もたらしたと言われています。

キャンバスの誕生

 

キャンバス
包み張りキャンバス

フランドルで油彩が完成された頃、
イタリアのヴェネツィアではキャンバス
生まれました。

港町のヴェネツィアでは船の帆に使う
布が溢れていたのです。

キャンバスは板よりも安く、
反り返ることもなく、持ち運びも
しやすかったので大人気となりました。

17世紀のオランダ

 

夜警
ルーベンスのキャンバスに油彩の作品

17世のオランダでは油彩画が
一般的になっていました。

そこにイタリアで生まれた
キャンバスが導入されると、
油彩+キャンバスという現代でも
主流な制作が盛んになりました。

当時のオランダは商人が力を持ち、
家の壁を飾りたいという彼らの要望に
持ち運びも楽で安価な油彩+キャンバスの
組み合わせは最高でした。

まとめ

 

まとめ

✓モザイクは莫大なコストと労力が掛かる

✓モザイク、フレスコは壁に絵を描く技法

✓油彩+キャンバスが手軽で最高な組み合わせ

ちなみに印象派の時代に入ると、
チューブ入り絵具が誕生して
屋外での制作が可能となります。

時代と共に移り変わる技法の歴史。

美術館にいく機会があればぜひ、
テンペラや油彩など
技法別に作品を比べてみても
面白いですよ。