今回は盛期ルネサンスの後半、
ミケランジェロの作品を中心に解説します。
彼の活躍により、
ルネサンス芸術は頂点に達した
ともいわれています。
まずは作品の
画像を確認していきましょう。






✓プレ・ルネサンス
⇒13‐14世紀
✓初期ルネサンス
⇒15世紀
✓盛期ルネサンス
⇒1500~1530年
ミケランジェロの特徴

16世紀に入ると教皇ユリウス2世は、
ローマを復興・発展させる目的で
サン・ピエトロ大聖堂の改築や
システィーナ礼拝堂の天井装飾などを
ブラマンテやミケランジェロ、ラファエロに
依頼します。
1517年にはドイツでマルティン・ルターが
ローマ教皇庁に対して贖宥状の
販売に抗議の声を上げ、
宗教革命が起きました。
ローマやカトリック教が大きく動いた時代に、
ミケランジェロは万能人と呼ばれる由縁となる
作品を多く残します。
ピエタ

ミケランジェロは1475年に
フィレンツェ貴族の家系に生まれます。
当時フィレンツェには14・15世紀の美術を
リードしたジョットやマザッチョの名品が
多く残っていました。

ミケランジェロは幼少期から
ルネサンス芸術の中核でもある
古典的な人体表現を学んでいき、
初期の頃の作品であるピエタにも
その影響を見ることが出来ます。
ダヴィデ

1501年にミケランジェロは
フィレンツェでダヴィデを
彫る仕事につきます。
ドナテッロなどは旧約聖書の記述に従って
ダヴィデを少年の姿で表現しましたが、
ミケランジェロは伝統的な図像を避け、
たくましい青年の姿でダヴィデの
英雄的な性格を表現しました。

さらにドナテッロのダヴィデ像が、
戦いに勝利を収めた瞬間の作品なのに対し、
ミケランジェロは戦いを前にした
瞬間を表現しており、緊張感と勝利への意思を
感じさせます。
システィーナ礼拝堂の天井装飾

ミケランジェロ作品の特徴の1つに
ひねりがあります。
現実にはありえないひねりを
体に施すことによって緊張感を生み出し、
複雑で高度な精神性の表現を図りました。

システィーナ礼拝堂天井画の1つである
アダムの創造にもひねりが施されています。
ちなみに人体の身振りによって
感情表現の可能性を探る
きっかけになったのは、
ニッコロ・デッラルカの作品であると
考えられています。


ミケランジェロはダ・ヴィンチより
23歳年下ですが、ダヴィンチが完成させた
線遠近法や空気遠近法などの
合理主義を乗り越えるために、
あえて主観的な人体表現を追求しました。
勝利

この作品でもミケランジェロの
特徴であるひねりが見られます。
更にこの作品は10頭身以上に
身体を引き伸ばしてもいます。
規範を破るような彼の行為は
自由(リチェンツァ)と称賛され、
後のマニエリスムに影響を与えました。
最後の審判

最後の審判はシスティーナ礼拝堂の
祭壇壁に制作されました。
ミケランジェロは伝統と違って、
キリストの姿を若々しく髭がない姿で
表現しました。
また、ミケランジェロの最後の審判は
左側の天国と右側の地獄が渦巻き状の
動きに沿って表現されています。
まとめ

✓ミケランジェロは幼い頃からジョットやマザッチョの作品を見て、古典的な人体表現を学んだ
✓ダヴィンチの合理主義を乗り越えるために、あえて主観的な人体表現を追求した
✓作品の特徴の1つにひねりがある
次回はヴェネツィア美術を解説します。
✓盛期ルネサンス後半
✓ミケランジェロ作品の特徴
✓ひねりと精神性