ルネサンス芸術は
ミケランジェロの活躍によって
16世紀前半に頂点へと達します。
15世紀末に完成された古典的理想美から
精神性を表出する芸術へと向かいました。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。
![pieta](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/458px-Michelangelos_Pieta_5450_cropncleaned-286x300.jpg)
![David by Michelangelo](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/360px-Michelangelos_David-225x300.jpg)
![Ceiling decoration of the Sistine Chapel](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/640px-Lightmatter_Sistine_Chapel_ceiling-300x225.jpg)
![victory](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/11/B2C2742F-5A87-4FA7-8119-4032422C9242-1-142x300.jpeg)
![last judgment](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/10/599px-Michelangelo_Giudizio_Universale_02-1-1-250x300.jpg)
![Michelangelo Buonarroti](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/415px-Miguel_Angel_por_Daniele_da_Volterra_detalle-259x300.jpg)
ミケランジェロの代表作や特徴
![Michelangelo Buonarroti](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/415px-Miguel_Angel_por_Daniele_da_Volterra_detalle-259x300.jpg)
ミケランジェロは1475年に
フィレンツェ貴族の家系に生まれます。
幼少期に石工のもとに預けられ、
13歳でフィレンツェの画家である
ドメニコ・ギルランダイオに弟子入りします。
その直後にメディチ家の彫刻庭園に通い始め、
豪華王ロレンツォが収集した古代彫刻を通して
芸術を学んでいきました。
加えてフィレンツェには
ジョットやマザッチョなど14・15世紀に
活躍した芸術家の作品が多く遺っており、
ミケランジェロは幼少期から古典芸術を
直接学ぶことのできる環境にいました。
![Domenico Ghirlandaio](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/11/Pala_degli_innocenti_ghirlandaio_autoritratto_dettaglio-1-273x300.jpg)
- 生きた年代
→1448~1494年 - 代表作
→最後の晩餐
→東方三博士の礼拝など - なにをした人?
→ミケランジェロが最初に師事した画家。フィレンツェで人気を博し、システィーナ礼拝堂の壁画制作にも参加している
ピエタ
![pieta](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/458px-Michelangelos_Pieta_5450_cropncleaned-286x300.jpg)
↑はミケランジェロ若き日の傑作です。
ピエタとは死して十字架から降ろされた
キリストを聖母マリアが抱きかかえる場面を
表現した彫刻や絵画のこと。
幼い頃から古典芸術を学んだ
ミケランジェロだからこその身体表現です。
ダヴィデ
![David by Donatello](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/320px-Florence_-_David_by_Donatello-200x300.jpg)
ミケランジェロは1501年に
フィレンツェでダヴィデを彫る
仕事につきます。
ドナテッロなどは旧約聖書の記述に従って
ダヴィデを少年の姿で表現しました。
![David by Michelangelo](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/360px-Michelangelos_David-225x300.jpg)
しかしミケランジェロは伝統的な図像を避け、
たくましい青年の姿でダヴィデの
英雄的な性格を表現しました。
![David by Michelangelo](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/11/david-ge80eac737_640-1-200x300.jpg)
さらにドナテッロのダヴィデが、
戦いに勝利を収めた瞬間の作品なのに対し、
ミケランジェロのダヴィデは
戦いを前にした瞬間を表現しており、
緊張感と勝利への意思を感じさせます。
システィーナ礼拝堂の天井装飾
![Ceiling decoration of the Sistine Chapel](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/640px-Lightmatter_Sistine_Chapel_ceiling-300x225.jpg)
ミケランジェロは1508年に
教皇ユリウス2世の依頼を受けて、
システィーナ礼拝堂の天井画を描き始めます。
天地創造や人類の創造と堕落、
ノアの箱舟など各々3つの場面をもって
9場面が描かれました。
![Creation of Adam](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/640px-God2-Sistine_Chapel-300x140.jpg)
天井の高さが20mあることを考慮して
白い背景に人物を大きく描き、
鑑賞者が見やすいように工夫されています。
また、各場面の仕切りには
トロンプ・ルイユを取り入れています。
ミケランジェロの描いた「ひねり」
![leonardo_da_vinci](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/308px-Leonardo_da_Vinci_-_presumed_self-portrait_-_WGA12798-1-193x300.jpg)
ミケランジェロはダヴィンチよりも
23歳年下の芸術家です。
ダヴィンチは多岐に渡り才能を発揮し、
合理的・理想的な芸術を開花させました。
ミケランジェロは
そんな合理性を乗り越えるために、
あえて芸術家の主観的な人体表現や、
感情表現を研究しました。
![victory](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/11/B2C2742F-5A87-4FA7-8119-4032422C9242-1-142x300.jpeg)
具体的な特徴としては、
身体の引き伸ばしとひねりです。
↑の作品では10頭身以上に体を引き伸ばし、
ひねりを加えることで緊張感や
複雑で高度な精神性の表出へと繋げています。
このような彼の規範を破る行為は
自由と称賛され、
後のマニエリスムにも影響を与えました。
最後の審判
![last judgment](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2022/10/599px-Michelangelo_Giudizio_Universale_02-1-1-250x300.jpg)
「最後の審判」は1533年に、
教皇クレメンス7世によって
制作を依頼されました。
ミケランジェロはそれまでの伝統とは違い、
キリストを髭のない若々しい姿で
描いています。
また、ミケランジェロの最後の審判は
左側の天国と右側の地獄が渦巻き状の
動きに沿って表現されています。
ディセーニョ
![](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/11/pencils-ga7d0567e8_640-1-300x200.jpg)
ミケランジェロの造形理論には
身体比例やひねりの他に、
ディセーニョという重要な概念があります。
16世紀のイタリアで特に注目を集めたのは
- ミケランジェロ
- ラファエロ・サンティ
でしたが前者はディセーニョ、
後者は優美さにおいて優れていると
称賛されました。
ディセーニョは本来、
素描を意味する言葉でしたが
16世紀になると芸術的意匠や、
創造理念そのものであるとみなされました。
![Accademia delle Arti del Disegno](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2023/05/540px-Palazzo_dellarte_dei_beccai_01-1-225x300.jpg)
後にフィレンツェでは
アカデミア・デル・ディセーニョという
素描アカデミーが創立されますが、
ディセーニョの価値を高める契機となったのが
まさにミケランジェロでした。
![Michelangelo Buonarroti](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/415px-Miguel_Angel_por_Daniele_da_Volterra_detalle-259x300.jpg)
- 生きた年代
→1475~1564年 - 代表作
→ダヴィデ
→最後の審判など - なにをした人?
→西洋美術史のあらゆる分野に影響を与えた芸術家。万能の人とも呼ばれている - その他の記事
→「最後の審判」皮を剥がれた男のナゾ
まとめ
![Creation of Adam](https://arttayousei.online/wp-content/uploads/2020/10/640px-God2-Sistine_Chapel-300x140.jpg)
✓ミケランジェロは幼い頃から
古典的な人体表現を学んだ
✓ダヴィンチの合理性を越えるため、
あえて主観的な人体表現を追求した
✓作品の特徴に人体比例とひねりがある
✓ディセーニョの価値を高めた芸術家
次回はヴェネツィア美術を解説します。
→ミケランジェロによって頂点へ
→人体比例とひねり
→マニエリスムにも影響
→本来は素描の意味
→16世紀に創造理念へ