ルネサンスとは14~16世紀のイタリアで
生まれた古代文化復興運動をさします。
初期ルネサンスはフィレンツェで始まり、
絵画に遠近法が使われるようになりました。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。
初期ルネサンス美術の特徴
ルネサンス発祥地のフィレンツェは
14世紀以降に近隣の都市国家を吸収し、
一大領域国家の都市となります。
都市の支配は貴族から
商人を中心とする市民の手へ移り、
その中で市民の現実感覚に根ざした
都市文化が開花します。
また、パトロンとして筆頭になったのが
大銀行家のメディチ家です。
メディチ家は金銭面だけでなく
人文学者と芸術家が交流する環境を設けたり、
芸術家の地位向上にも貢献しました。
- なにをした人?
→大銀行家一族。ルネサンス期に芸術家たちを庇護したパトロン。 - その他の記事
→パトロンで振り返る西洋美術史
→ルネサンスとはなにか
ドナテッロ
芸術革新はまず彫刻から始まりました。
ドナテッロはいち早く古代彫刻を研究し、
写実的で迫真的な彫刻を発表した人物です。
↑の「聖ゲオルギウス像」は
武具馬具組合の注文で制作されたもの。
両脚に重心を置きながら
微妙なコントラポストにより動きを感じさせ、
遠景を薄く浮彫することで
遠近的な空間を演出しています。
- 生きた年代
→1386~1466年 - 代表作
→洗礼者ヨハネ像
→ダヴィデ像など - なにをした人?
→初期ルネサンス期に写実的な新様式の彫刻を発表した
ブルネレスキ
フィリッポ・ブルネレスキは
フィレンツェの象徴ともいえる
大聖堂のドームを設計した人物です。
その他にも都市の重要な
公共建築の設計を手掛けており、
ルネサンス最初の建築家とされています。
そしてブルネレスキもう1つの貢献が、
視覚光学に基づいた遠近法を
再発見したことです。
この遠近法はマザッチョによって
絵画で初めて応用されることになります。
- 生きた年代
→1377~1446年頃 - 代表作
→大聖堂のドームなど - なにをした人?
→ルネサンス最初の建築家として活躍し、遠近法を再発見した人物
マザッチョ
↑は画家のマザッチョが
2次元平面に3次元的空間を再現した
絵画史上画期的な作品です。
先述したブルネレスキの協力を経て
この作品を仕上げたとされています。
↑の「貢の銭」では
遠ざかるにつれて色彩が薄くなる
色彩遠近法という技法も使われています。
また、人物たちの影は実際の窓からの光と
呼応するように描かれています。
マザッチョは短命な画家でしたが、
他の芸術家に多大な影響を与えました。
- 生きた年代
→1401~1428年頃 - 代表作
→聖三位一体
→貢ぎの銭など - なにをした人?
→絵画で遠近法を使った最初の人物。他の芸術家に多大な影響を与えた
フラ・アンジェリコ
フラ・アンジェリコが描いた
「受胎告知」は遠近法を使いながらも
優美な雰囲気を醸し出しています。
フラ・アンジェリコというのは
のちに付けられた呼び名であり、
本名はグイド・ディ・ピエトロです。
アンジェリコは革新的技法と伝統を
融合させた祈りと瞑想の絵画を生みました。
- 生きた年代
→1390~1455年頃 - 代表作
→受胎告知
→最後の審判など - なにをした人?
→ドメニコ修道士であり画家のアンジェリコは、革新と伝統を融合させた宗教画を描いた - その他の記事
→最後の審判を解説
アンドレア・マンテーニャ
15世紀の後半、
北イタリアのマントヴァという地では
宮廷画家のアンドレア・マンテーニャが
活躍しました。
マンテーニャの作品は
遠近法を使った厳格な画面構成と、
彫刻のような人物描写が特徴的です。
またマンテーニャは宮殿の天井に
トロンプ・ルイユ技法を駆使した
壮大なフレスコ画を描いたことでも
知られています。
この作品はバロック期に展開する
天井のイリュージョニズムの先駆的作品です。
- 生きた年代
→1431~1506年頃 - 代表作
→磔刑
→夫婦の間の装飾など - なにをした人?
→北イタリアのマントヴァで活躍した画家。代表作に天井のだまし絵がある
まとめ
✓市民階級がいち早く台頭した
フィレンツェから芸術革新が起こった
✓彫刻ではドナテッロ、
建築ではブルネレスキ、
絵画ではマザッチョが活躍した
✓遠近法が再発見され、
絵画で3次元的表現が可能になった
✓マンテーニャの天井フレスコ画は
イリュージョニズムの先駆
次回は盛期ルネサンスを解説します。
→大銀行家一族
→芸術家の地位を向上
→写実的な彫刻
→遠近法の再発見
→絵画史上初の3次元表現