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初期ルネサンスとは?特徴や代表作を解説【西洋美術史⑩】

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記事の要約
  1. メディチ家の台頭
    →大銀行家一族
    →芸術家の地位を向上
  2. 初期ルネサンスの特徴
    →写実的な彫刻
    →遠近法の再発見
    →絵画史上初の3次元表現

 

ルネサンスとは14~16世紀のイタリアで
生まれた古代文化復興運動をさします。

初期ルネサンスはフィレンツェで始まり、
絵画に遠近法が使われるようになりました。

まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。

St George cathedral dome holy trinity by Masaccio Annunciation by Angelico Quadratura

donatello
ドナテッロ
brunelleschi
ブルネレスキ
Masaccio
マザッチョ
fra_angelico
フラ・アンジェリコ
Andrea Mantegna
アンドレア・マンテーニャ


美術史年表

プロト・ルネサンス⇒13世紀~

初期ルネサンス⇒15世紀

盛期ルネサンス⇒1500~1530年



初期ルネサンス美術の特徴

 

florence

ルネサンス発祥地のフィレンツェは
14世紀以降に近隣の都市国家を吸収し、
一大領域国家の都市となります。

都市の支配は貴族から
商人を中心とする市民の手へ移り、
その中で市民の現実感覚に根ざした
都市文化が開花します。

また、パトロンとして筆頭になったのが
大銀行家のメディチ家です。

メディチ家は金銭面だけでなく
人文学者と芸術家が交流する環境を設けたり、
芸術家の地位向上にも貢献しました。

 

Cosimo de' Medici
コジモ・デ・メディチ
メディチ家

ドナテッロ

 

St George
「聖ゲオルギウス像」1415‐1417年

芸術革新はまず彫刻から始まりました。

ドナテッロはいち早く古代彫刻を研究し、
写実的で迫真的な彫刻を発表した人物です。

↑の「聖ゲオルギウス像」は
武具馬具組合の注文で制作されたもの。

両脚に重心を置きながら
微妙なコントラポストにより動きを感じさせ、
遠景を薄く浮彫することで
遠近的な空間を演出しています。

 

donatello
ドナテッロの肖像
ドナテッロ
  • 生きた年代
    →1386~1466年
  • 代表作
    →洗礼者ヨハネ像
    →ダヴィデ像など
  • なにをした人?
    →初期ルネサンス期に写実的な新様式の彫刻を発表した

ブルネレスキ

 

cathedral dome
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のドーム

フィリッポ・ブルネレスキ
フィレンツェの象徴ともいえる
大聖堂のドームを設計した人物です。

その他にも都市の重要な
公共建築の設計を手掛けており、
ルネサンス最初の建築家とされています。

 

一点透視図法

そしてブルネレスキもう1つの貢献が、
視覚光学に基づいた遠近法
再発見したことです。

この遠近法はマザッチョによって
絵画で初めて応用されることになります。

 

brunelleschi
ブルネレスキ
  • 生きた年代
    →1377~1446年頃
  • 代表作
    →大聖堂のドームなど
  • なにをした人?
    →ルネサンス最初の建築家として活躍し、遠近法を再発見した人物

マザッチョ

 

holy trinity by Masaccio
「聖三位一体」1427年

↑は画家のマザッチョ
2次元平面に3次元的空間を再現した
絵画史上画期的な作品です。

先述したブルネレスキの協力を経て
この作品を仕上げたとされています。

 

tribute money by Masaccio
「貢の銭」1427年

↑の「貢の銭」では
遠ざかるにつれて色彩が薄くなる
色彩遠近法という技法も使われています。

また、人物たちの影は実際の窓からの光と
呼応するように描かれています。

マザッチョは短命な画家でしたが、
他の芸術家に多大な影響を与えました。

 

Masaccio
マザッチョ
マザッチョ
  • 生きた年代
    →1401~1428年頃
  • 代表作
    →聖三位一体
    →貢ぎの銭など
  • なにをした人?
    →絵画で遠近法を使った最初の人物。他の芸術家に多大な影響を与えた

フラ・アンジェリコ

 

Annunciation by Angelico
「受胎告知」1440年代前半

フラ・アンジェリコが描いた
「受胎告知」は遠近法を使いながらも
優美な雰囲気を醸し出しています。

フラ・アンジェリコ天使のような修道士というのは
のちに付けられた呼び名であり、
本名はグイド・ディ・ピエトロです。

アンジェリコは革新的技法と伝統を
融合させた祈りと瞑想の絵画を生みました。

受胎告知とは?【基本を解説】

 

fra_angelico
フラ・アンジェリコ
フラ・アンジェリコ
  • 生きた年代
    →1390~1455年頃
  • 代表作
    →受胎告知
    →最後の審判など
  • なにをした人?
    →ドメニコ修道士であり画家のアンジェリコは、革新と伝統を融合させた宗教画を描いた
  • その他の記事
    最後の審判を解説

アンドレア・マンテーニャ

 

Mantua
マントヴァ

15世紀の後半、
北イタリアのマントヴァという地では
宮廷画家のアンドレア・マンテーニャ
活躍しました。

 

crucifixion
「磔刑」1457‐1460年

マンテーニャの作品は
遠近法を使った厳格な画面構成と、
彫刻のような人物描写が特徴的です。

 

Quadratura
ドゥカーレ宮殿夫婦の間の天井

またマンテーニャは宮殿の天井に
トロンプ・ルイユだまし絵技法を駆使した
壮大なフレスコ画を描いたことでも
知られています。

この作品はバロック期に展開する
天井のイリュージョニズムの先駆的作品です。

盛期バロック美術を解説

 

Andrea Mantegna
マンテーニャの胸像
マンテーニャ
  • 生きた年代
    →1431~1506年頃
  • 代表作
    →磔刑
    →夫婦の間の装飾など
  • なにをした人?
    →北イタリアのマントヴァで活躍した画家。代表作に天井のだまし絵がある

まとめ

 

Firenze
まとめ

✓市民階級がいち早く台頭した
フィレンツェから芸術革新が起こった

✓彫刻ではドナテッロ、
建築ではブルネレスキ、
絵画ではマザッチョが活躍した

✓遠近法が再発見され、
絵画で3次元的表現が可能になった

✓マンテーニャの天井フレスコ画は
イリュージョニズムの先駆

次回は盛期ルネサンスを解説します。

 

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