美術検定2~3級合格のためには
大まかな美術史の流れを
把握しておく必要があります。
特に美術検定2級は出題範囲が広いので
効率の良い勉強法を学んで
しっかり対策したいところです。
そこでこの記事では
美術史を勉強する際のポイントと、
効率の良い過去問の活用法を解説します。
美術検定2~3級の勉強法
美術検定の公式テキストは
原始・古代美術から始まり、
現代アートまでの美術史を
流れに沿って解説しています。
公式テキストの活用手順としては
以下のパターンがあります。
- 美術史の流れに沿って勉強
- 好きな時代から勉強
どちらが良いかは人それぞれですが、
各々メリット・デメリットが存在します。
- 美術史の流れに沿って勉強
→時系列・体系的に勉強できる
→興味のない分野が苦痛 - 好きな時代から勉強する
→モチベーションを保ちやすい
→勉強法にコツがいる
オーソドックスなのは
美術史に沿っての勉強法ですが、
試験範囲がとても広いので
興味の薄い時代も当然出てくるはずです。
印象派が好きな人がいたとして、
印象派の時代に至るまで勉強の
モチベーションを保てればいいですが、
ギリシャ、中世の時点で勉強が苦痛…
という人もいますよね。
そんな方は好きな時代からの
勉強法がオススメです。
こんな感じです↓
例)印象派が好きだったとすると…
まずは印象派から勉強
→印象派の前後の時代を確認
(写実主義やポスト印象派の時代)
→同時代の日本を確認
(ペリー来航、高橋由一が
近代絵画の基礎を作る)
この時のポイントは
好きな時代を軸に勉強する範囲を
増やしていくこと。
順番を工夫しながら
モチベーションを維持する勉強法です。
オススメ勉強法
個人的にオススメする勉強法は
先ほど紹介した勉強法の掛合わせです。
(勉強期間は3カ月程度を想定)
- まずはテキストを通しで勉強
→このとき理解度は5割程度で〇 - 好きな時代に戻って復習
→理解度をあげていく - 好きな時代を軸に範囲を広げる
- 過去問に取り組む
→活用法は後述
最初にざっくりと美術史を
通しで勉強します。
この時は完全に理解しなくてもよく、
悩んで止まらないことを意識して
勉強を進めていきます。
一通り済んだら、
好きな時代を軸に知識を固めます。
あとは過去問で知識の確認・補強です。
本番1か月~2週間前に
過去問に取り掛かれていたら◎です。
オススメ副読本
まず美術検定2級を受験する際に
必須のテキストは以下のものです。
↑の本だけでも合格は目指せますが
良くも悪くも教科書的な内容なので、
堅苦しいと感じる人もいると思います。
そこで副読本として
役に立った本をご紹介します。
- リベラルアーツ西洋美術
→レビュー記事はコチラ - 西洋美術は「彫刻」抜きには語れない
→レビュー記事はコチラ - めくるめく現代アート
- 日本美術史 美術出版ライブラリー
①は西洋美術を生活と紐づけてくれるので、
理解しやすく興味が湧きやすい内容です。
②は西洋彫刻がテーマの珍しい内容の本。
体系的に理解できるので勉強に最適。
③は現代アートの理解に役立つ本。
イラストでわかりやすく解説されています。
④は公式でも推奨されている日本美術史の本。
日本美術が苦手だった私は重宝しました。
気になる本があれば是非。
美術検定過去問テキストの活用法
ここからは過去問テキストの
活用法を解説します。
過去問はコツ1つで
理解度を大幅に上げることができます。
2級問題集はコチラ↓
答えを探すだけでは×
それでは実際に美術検定2級のような
選択形式の問題をやってみましょう。
例題①
Q13.「初期ルネサンス」とほぼ同じ意味で
使われる用語はどれですか。
- ノヴェチェント
- クアトロチェント
- トレチェント
- チンクエチェント
引用:もっと深める美術の歴史
一問一答2級練習問題 p14
このような問題を解く場合↓
- 答えを知っている
⇒2の選択肢を選んで次に進む - 答えを知らない
解答を見て、次に進む
とするのが多いと思いますが、
それだと効率が悪いです。
設問に対して
答えを1つ選ぶもしくは
答えを暗記して進んでいると、
同じような問題が出された時しか
対応出来なくなります。
ですので効率よく学ぶ場合、
選択肢全てを確認する
という作業が重要です。
- ノヴェチェントは1900年代のこと
だから初期ルネサンスではない - クワトロチェントは400の意味。
転じて1400年代=15世紀だから
初期ルネサンスのこと - トレチェントは14世紀のこと、
ゴシック時代だから違う - チンクエチェントは…?
このように選択肢全てを考えていきます。
例えばここで、
④の選択肢が分からなかったとします。
設問の答えは②なので、
④の選択肢を知らなくても
得点には関係しません。
しかし今回の方法では④の選択肢も
分からなかったこととして
調べて勉強します。
そうすることで
単に設問の答えを学習するより、
知識を多く得ることができます。
この勉強法を身につけると仮に本番で↓
「盛期ルネサンス」とほぼ同じ意味で
使われる用語はどれですか。
- チンクエチェント
- トレチェント
- クアトロチェント
- ノヴェチェント
のような変則パターンの問題が
出されても対応することができます。
もし先程の問題で初期ルネサンスの
意味しか暗記してなかったら、
この問題の選択肢を絞れませんよね。
例題②
Q27.図の作者について、
正しい記述はどれですか
- フスマートや空気遠近法などの技法を発展させ、建築や科学にも秀でた芸術家である。
- ルネサンス三大巨匠のひとりとされ、「キリストの変容」をはじめとした祭壇画も多く描いた。
- 出身地ペルージアやフィレンツェ、ローマで活躍し、宗教画を得意とした画家である。
- ルネサンスの巨人とも呼ばれ、生涯最後の作品は「ロンダニーニのピエタ」である。
引用:もっと深める美術の歴史
一問一答2級練習問題 p20
図はラファエロの代表作の1つ
「アテナイの学堂」です。
今回も答えを探すのではなくて、
選択肢全てを確認していきます。
①はスフマートや空気遠近法、
建築や科学にも秀でているとあるので
万物の天才と呼ばれた
レオナルド・ダヴィンチです。
②は三大巨匠のひとりで
「キリストの変容」が有名といえば
ラファエロです。
ここで答えは②と分かりましたが、
続けていきます。
③は出身地がペルージアとあるので
「ペルージア 出身 画家」でググると
ルネサンス期のイタリアの画家
ピントゥリッキオであると分かりました。
ピントゥリッキオは
ローマなどで宗教画を多く手掛けています。
④はルネサンスの巨人と、
生涯最後の作品が
「ロンダニーニのピエタ」
であることからミケランジェロですね。
これで全ての選択肢の
確認が終わりました。
こうすることでこの問題では
以下の知識を学ぶことが出来ました↓
- スフマートや空気遠近法を使い、
建築や科学にも秀でている
→レオナルド・ダヴィンチ - 「キリストの変容」をはじめとした
祭壇画も多く描いた
→ラファエロ - ペルージア出身で
ローマ・フィレンツェで活躍した画家
→ピントゥリッキオ - ルネサンスの巨人と呼ばれ、
ロンダニーニのピエタが最後の作品
→ミケランジェロ
過去問の活用法として
参考になれば幸いです。
まとめ
✓美術史を勉強する順番を変えても〇
✓副読本も上手く活用する
✓過去問は選択肢を1度全て
考えてみるのがポイント
私は今回紹介した方法で、
2016年に1発で2級に合格できました。
是非、参考にしてみて下さい。
→通史で勉強する
→好きな時代から勉強する
→テキストだけでは小難しい
→選択肢は全て考える