風刺が面白い西洋絵画5選

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風刺が面白い西洋絵画

①ブリューゲル《ネーデルラントの諺》

 

この絵にはある海辺の村の日常生活と、
その中での騒ぎの様子が描かれており、
同時に100以上のことわざが込められています。

 

その一部を紹介すると↓

 

「悪魔でさえ枕に縛りつける」
意味→頑固さは何をも克服する

「頭を壁に向けて歩く」
意味→不可能なことを試みる

「悪魔の元へ懺悔に行く」
意味→敵に秘密を漏らす

「耳に息を吹く人」
意味→他人の悪口を言う人

「大きな魚が小さな魚を食べる」
意味→強い者が弱い者を犠牲にして富を得る

「風で鳥の羽を飛ばす」
意味→無計画で成果のない仕事

 

この絵画は世界は罪深く、邪悪で、
愚かしいものであるという
当時の画家の世界観を反映しています。

 

制作者

 

Pieter Bruegel
ピーテル・ブリューゲル
ピーテル・ブリューゲル

②《盲人の寓話》

 

こちらもブリューゲルの作品。

盲人が列になって歩いており、
次々と穴に落ちていきます。
元ネタは聖書の言葉で
「盲人が盲人を導けば、共に穴に落ちる」

つまり

  • 無知なリーダー
  • 盲目的に従う大衆

への強烈な風刺となっています。

③ボス《愚者の船》

 

作品には1人の修道士と2人の修道女、
その他に農民たちが描かれており、
船に乗って乱痴気騒ぎをしています。

船は葉をつけた木をマストにして、
あてもなく彷徨っており、
目的も指導者も無い社会を象徴しています。

 

画面中央には修道士と
リュートを弾く修道女がおり、
信仰も忘れて大きく口を開けて歌っています。

彼らの前にあるテーブルの皿には
サクランボがのっており、
中世以来しばしばサクランボは
「淫欲」の象徴とされてきました。

 

ガチョウの肉をナイフで切ろうとする者、
嘔吐している者は「大食」の罪を表します。

淫欲と大食は修道院での悪徳の代表とされ、
本作はこうした堕落した聖職者を風刺し、
彼らに対する画家の批判、告発となっています。

 

制作者

 

Hieronymus Bosch
ヒエロニムス・ボス
ヒエロニムス・ボス

④ホガース《当世風結婚》

 

こちらは18世紀イギリスの
超ブラックな風刺シリーズ(全6作品)。

今作が発表された当時、貴族や金持ちは
高潔な生活をしていると考えられていました。
それに対し画家は、若い新郎新婦と家族、
知人らの悪徳や堕落行為酒やギャンブルなどを連続絵画で
1つのストーリーにしました。

↑は第2場面で、結婚直後を表したもの。
ところが既に結婚生活の崩壊の兆しがあります。

 

子犬は夫のポケットから
レディースキャップを見つけて
取り出そうとしています。
これは夫が妻以外の女性と関係を
持ったことを意味しています。

 

夫の足元にある壊れた剣は、
彼が無気力となっていることを表しています。

 

使用人の手には請求書が握られており、
2人のだらしのない生活によって
請求書が増える一方であることを表しています。

 

妻の姿勢もまた不貞な様を表しており、
夫への興味・関心が既に失われています。

 

制作者

 

ウィリアム・ホガース
ウィリアム・ホガース
  • 生没年
    →1697~1764年
  • 美術史では
    ロココ

⑤ドーミエ《ガルガンチュア》

 

フランス国王ルイ・フィリップ
巨大な怪物として描いた政治風刺画です。

玉座に座る国王が貧しい市民から
金を吸い上げる様子を、
メタファーとして描いています。

構図は

  1. 国民が税金を運ぶ
  2. 王がそれを食べる
  3. 政治家に金が排泄される

という超ブラックな構図です。

この作品のせいで画家は
国王を侮辱した罪で禁固6か月、
罰金300フランの刑に処せられました。

 

制作者

 

オノレ・ドーミエ
ウィリアム・ホガース

まとめ

 

西洋風刺画の多くは、

  1. 人間の愚かさ
  2. 権力批判(王・政治)
  3. 宗教の腐敗
  4. 欲望(性・金)

をテーマにしており、

  • ピーテル・ブリューゲル
  • ヒエロニムス・ボス
  • ウィリアム・ホガース
  • オノレ・ドーミエ

は風刺絵画の四大巨頭といえます。