この時代はフランス革命が起こり、
絶対王政と封建制度が崩壊しました。
理性を重視する啓蒙思想が広まり、
美術では新古典主義という
ギリシャ・ローマの復興をめざす
芸術運動が盛んになりました。
まずはこの時代の作品を確認しましょう。




新古典主義の背景

重税・物価高騰などの不満を背景に、
市民階級が王朝に対し革命を起こしました。
これをフランス革命といいます。
1789年のバスティーユ襲撃を契機に、
フランスはクーデターやテロリズムなど、
混乱の時代に突入します。

それに乗じてカリスマ的人気を誇ったのが
軍人ナポレオン・ボナパルトでした。
彼は1804年に皇帝に即位し、
第一帝政を開始します。
その後ヨーロッパ統一の野望は
実現しなかったものの、
戦争を通じて広まった革命思想は
ヨーロッパの近代市民社会の成立を
準備することに繋がりました。

これらの革命時代を倫理的に支えたものに
啓蒙思想という考え方があります。
啓蒙思想とはあらゆる事象を合理的・客観的に
捉え直していこうとする考え方です。
理性重視、人間解放、社会批判の精神を通じ、
旧来の権威からの脱却を促しました。
このことは後の
- ロマン主義(個人の感情、自由な表現)
- 印象派(日常や社会を主題にする表現)
にも繋がる重要な思想です。
新古典主義の特徴

この時代はポンペイ遺跡が
発掘されたことでも有名です。
考古学的発見は図集や版画となったり、
グランド・ツアーのような旅行を通じて
各地に広まりました。
それらは当時の人々の古代への関心を煽り、
各国の芸術家に強い影響を与えることで
古代ギリシャを模倣する風潮が生まれました。

パリにあるパンテオンは
幾何学形態を組み合わせることで
構造の美を追求しています。

ローマ時代のパンテオンと比較しても
原点を模倣している様子を感じ取れます。
新古典主義の特徴は簡潔さであり、
対称性や比例関係を重視し、
円や三角形などの幾何学形態を
組み合わせることで美を追求します。
それまでの装飾的なバロックやロココとは
大きく異なっています。
アントニオ・カノーヴァ

アントニオ・カノーヴァは
新古典主義を代表する彫刻家で、
ヨーロッパ全土で高い人気を誇りました。
新古典主義彫刻はギリシャ彫刻にならい、
表面を滑らかに磨き上げ、
均整のとれた理想の肉体美を表現します。
ブロンズよりも大理石を使った作品が
多いのもギリシャ彫刻由来です。

代表作「アモルとプシュケ」は
X字にまとめられており、
2人の手足がどの角度からみても
綺麗な輪郭を描くよう計算されています。

- 生没年
→1757~1822年 - 代表作
→アモルとプシュケなど - なにをした人?
→新古典主義を代表する彫刻家で、ヨーロッパ全土で高い人気を誇った
ジャック=ルイ・ダヴィッド

絵画ではジャック=ルイ・ダヴィッドの
「ホラティウス兄弟の誓い」が有名です。
隣国アルバとの戦いに挑む
ローマ三兄弟を描いた作品で、
筒形空間と半円アーチの反復によって
左右対称性を際立たせて、
明確な輪郭線や抑制的な色彩で
人物を古代彫刻のように仕上げています。
- 英雄的主題
- 簡潔な構図と対称性
- 明確な輪郭線
- 抑制的な色彩
- 入念な仕上げ
これらの特徴は
それまでのロココ絵画と対照的です。

彼はナポレオンの首席画家も務め、
フランス画壇に影響力を保ち続けました。

- 生没年
→1748~1825年 - 代表作
→ホラティウス兄弟の誓いなど - なにをした人?
→ナポレオンの首席画家で、新古典主義の代表的な画家
ドミニク・アングル

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル
はダヴィッドの弟子で、
新古典主義の伝統を守った人物です。

しかしアングルは単なる継承者ではなく、
ときに誇張した曲線美を描きました。
「グランド・オダリスク」はその代表作品で、
線の美しさを追求するアングル特有の
美意識に基づいて描かれています。
ちなみに東方世界を異国情緒豊かに
表現することをオリエンタリズムと呼びます。

- 生没年
→1780~1867年 - 代表作
→グランド・オダリスクなど - なにをした人?
→ダヴィッドの弟子で、世を去るまで新古典主義の伝統を守った
まとめ

✓革命による啓蒙思想の広がりは、
ギリシャやローマの芸術復興に繋がった
✓新古典主義の特徴は簡潔さで、
対称性や比例関係を重視する
✓ダヴィッドはナポレオンの首席画家で
英雄的主題を多く手掛けた
次回はロマン主義の美術を解説します。








→啓蒙思想
→ポンペイ遺跡の発掘
→簡潔さや対称性
→英雄的主題
→彫刻では大理石を使用