ギリシャ美術の特徴は、
人間をいきいきと表現したことです。
その背景には神人同形説と呼ばれる
考え方がありました。
神は人間と同じ姿で、同じ感情を持っているとする考え方
その考え方をベースに、
理想的な人間を表現することで
神を称えようとしました。
また、立体的な作品の方がより
理想的な神を表現できると考え、
絵より彫刻の方が多いのも
ギリシャ美術の特徴です。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。
目次
ギリシャ美術の特徴
紀元前1000年中頃、
エーゲ海一帯でギリシャ美術が
生まれました。
ギリシャ美術では
神は人間の姿をしているという思想のもと、
理想的な人間を模した作品が作られました。
ギリシャ美術は以下の
4つの時代に分けられます。
- 幾何学様式の時代
- アルカイック時代
- クラシック時代
- ヘレニズム時代
順に確認していきます。
幾何学様式の時代(B.C.1000年頃~)
この時代はコンパスや定規を用いて、
円や曲線を陶器に合わせて配置した
作品が生まれます。
こうした特徴を原幾何学様式といいます。
ギリシャ人は美しいものが好きで、
幾何学様式を多用したのも、
美しさに魅了されたからともいわれています。
また、シンプルで倫理的な体系を
美しいと感じるギリシャ人の感性は
哲学などにも影響しました。
アルカイック時代(~B.C.500年頃)
アルカイック時代に現れたのが
大型の大理石立像です。
裸体男性立像をクーロス、
着衣女性立像をコレーと呼び、
それぞれ青年、少女を意味します。
ポーズは男女共に正面を向いており、
男性像は片脚を前に出した自然なものです。
女性像は両脚を揃えたものが多く、
腕の動きにバリエーションがあります。
男性像は解剖学的な正確さが求められ、
女性は衣服や衣服のシワの表現が
重視されました。
こちらはアルカイック・スマイルという
アルカイック期彫刻の特徴の1つです。
唇の両端を軽くあげて
微笑むような表情のことをさします。
石像をより人間らしくする要素の1つです。
この時代は神殿建築が
大型化したことも特徴の1つです。
↑のゴルゴンはギリシャ神話に
登場する3人の怪物姉妹です。
絵は陶器に描かれたものが残っています。
紀元前7世紀頃の黒絵式と呼ばれる
壺絵もこの時代の特徴です。
クラシック時代(~B.C.330年頃)
クラシック時代の像は直立したものでなく、
動きを感じさせるものが多くなります。
片方の脚に体重をかけて、
もう片方を脱力させるポーズのことを
コントラポストといいます。
この表現は正確な人体表現を
追求するだけでなく、
身体の動きやしぐさによって
内面や意志を表現する手段でもありました。
このコントラポストは
古典彫刻の最重要な特徴とされ、
後世まで引き継がれます。
ギリシャの都市国家アテネは、
この時代に外敵ペルシアを破って
政治的に最盛期を迎えます。
パルテノン神殿は、
ペルシア戦争で1度廃墟になっていますが、
彫刻家のフェイディアスが総監督となり、
15年の年月をかけて再建されました。
ヘレニズム時代(B.C.323~31年)
クラシック時代までの作品が
人間の理想美を表現したとするならば、
ヘレニズム時代からは
より人間らしく、時には荒々しい作風の
ものがでてきます。
↑のラオコーン像は
ヘレニズムを代表する作品の1つです。
こちらのペルガモンの大祭壇には
オリュンポスの神々と巨人族が戦う場面が
彫られています。
ミロのヴィーナスはギリシャ神話に出てくる
愛と美の女神アフロディテを
かたどった作品です。
螺旋状に身体を捻ってどの角度からも
美しく見えるように造形されています。
ヘレニズム時代には絵画技法の1つ、
モザイク画も大きな発展を遂げました。
モザイク画とは、
色石やガラスを並べて
作る画のことです。
アレクサンダー・モザイクは
アレクサンドロス大王とペルシア人との戦い
が写実的に表現されています。
まとめ
✓理想的・解剖学的に正しい
身体表現が用いられた
✓石像にアルカイック・スマイルや
コントラポストで生命感を表現した
✓クラシック時代には
パルテノン神殿が再建された
✓ヘレニズム時代にはダイナミックな
表現やモザイク画が発展した
次回はローマ美術を解説します。
→理想的な人間を表現
→絵より彫刻が多い
→コントラポスト
→ダイナミックな彫刻
→モザイク画が発展