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ロマネスクとは?特徴や代表作を解説【西洋美術史⑦】

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記事の要約
  1. ロマネスクの特徴
    →聖堂建築や聖遺物崇拝
  2. ロマネスク建築の特徴
    →石造りのヴォールト
    →列柱や柱頭彫刻
  3. タンパンの彫刻
    →古代末期以来の
    キリスト彫刻の復活

 

ロマネスクはローマ風という意味で、
石造りの重厚な修道院建築などが特徴的です。

また、聖遺物崇拝聖地巡礼
流行ったのもこの時代です。

まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。

Saint Foa's Reliquary pisa cathedral pisa-cathedral-construction tympan


美術史年表

初期中世美術⇒5世紀末~

ロマネスク⇒10世紀末~

ゴシック⇒12世紀~

ロマネスクの特徴

 

pisa-cathedral-facade
ピサ大聖堂

ロマネスクとは主に西ヨーロッパで
興った美術様式のことで、
この時代の建築には
半円アーチヴォールトなど、
共通した特徴があります。

古代ローマ建築の影響が
色濃く残っていることから、
ロマネスクローマ風という呼び名になりました。

聖女フォアの聖遺物容器

 

Saint Foa's Reliquary

11世紀の西ヨーロッパでは
聖遺物崇拝が盛んになりました。

聖遺物とは聖人の遺灰や遺髪、
衣服の断片などをさし、
納められた容器と共にそこには
聖なる力が宿ると信じられました。

 

Saint Foa's Reliquary

↑はサント・フォア修道院にある
聖女フォアの聖遺物容器です。

コンク近郊のアジャンで殉教した
聖女フォアをかたどったものであり、
中には修道士がアジャンから盗み出した
聖女の遺骨が入っています。

聖女の遺骸は次々と奇跡を起こし、
多くの巡礼者を集めました。
その後コンクは巡礼路に組み込まれて
発展を遂げます。

このように、
有名な聖遺物を所有することが
当時の教会にとっては重要でした。

 

聖なる盗み

聖人の遺骨などを盗むことはフルタ・サクラ聖なる盗みと呼ばれ、正当な行為とみなされました

ロマネスク建築の特徴

 

pisa cathedral
ピサ大聖堂(ロマネスクの代表建築)

ロマネスク建築の特徴には
以下のものがあります。

  1. 石造りのヴォールト
  2. 列柱
  3. タンパンの彫刻
  4. 柱頭彫刻

順に解説していきます。

 

石造りのヴォールト

 

stone vault
サン・セルナン聖堂内部

ロマネスク建築最大の特徴が
石造りのヴォールトです。

ヴォールトとは
アーチ型の天井様式をさします。

 

vault
筒型ヴォールト
cross vault
交差ヴォールト

ヴォールトは種類も様々で、
ヴォールトの違いによって
側壁と柱の作り方、光の取り入れ方、
装飾を施す場所などが変わります。

ロマネスク建築の多様性は
ヴォールトに由来しているといっても
過言ではありません。

 

列柱

 

pisa-cathedral-construction
ピサ大聖堂内部

列柱とは等間隔に並んだ
柱の列のことです。

その間のアーチと共に、
壁外側への荷重を減らす効果があります。

ヴォールトと列柱の技術発展が、
壁を薄く、採光などを更に向上させて
後のゴシック建築に繋がっていきます。

 

タンパンの彫刻

 

タンパン
扉上のタンパン(サント・マドレーヌ)

タンパンとは扉口を構成する
半円形の壁面のことです。

教会の内部を神の国とするなら
正面扉はまさに天国への入口でした。

そこでタンパンにも、
キリストや聖書をテーマにした彫刻
造られました。

タンパンのようなキリスト彫刻は、
偶像崇拝の禁止などで
古代末期以来失われていましたが、
ロマネスク時代に復活を遂げました。

 

柱頭彫刻

 

柱頭装飾(サント・マドレーヌ)

柱頭に装飾を施すのは
古代からの伝統でした。

しかしロマネスク時代からは
そこに人物像が登場して、
聖なる物語を語るようになります。

これらの柱頭彫刻を見ながら信者たちは
聖書の物語をイメージし、
理解することができました。

ゴシック建築になると、
この役割をステンドグラスが担うようになり、
柱頭彫刻はしだいに失われていきました。

まとめ

 

pisa cathedral
まとめ

✓ロマネスクはローマ風という意味

✓聖遺物崇拝や聖地巡礼が流行った

✓石造りのヴォールト、列柱、
タンパン彫刻等がロマネスク建築の特徴

次回はゴシック美術を解説します。

 

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