紀元前27年頃ローマ帝国が誕生し、
ローマ帝国内ではギリシャ美術が
高い人気を誇りました。
あまりの人気で供給がおいつかなくなると、
ローマ人はローマン・コピーと呼ばれる
コピー作品を作り出すようになります。
また、この時代は皇帝を称える肖像彫刻や
歴史を記録する記念碑も作られました。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。
ローマ美術の特徴
紀元前8世紀末頃からイタリア中部で
エトルリア人と呼ばれる民族が
独自の美術を育んでいました。
後に大帝国となる都市国家ローマは、
紀元前6世紀にこのエトルリア系の王を退けて
領土をどんどん拡大していきます。
そしてポエニ戦争の戦利品として
ギリシャ美術が大量に入ってくると、
ローマの人々はその美しさに目を奪われ、
ギリシャ風に生きることが流行しました。
ローマ人たちは競って
ギリシャ風の建物等を作り、
クラシックやヘレニズム様式の
作品が並びました。
ローマが西地中海の強国であったカルタゴを撃破した戦争
プリマ・ポルタのアウグストゥス
アウグストゥスはローマ帝国最初の皇帝です。
秩序と安定を重視した
アウグストゥスは都市に水道を引いたり、
娯楽施設として公共浴場や劇場、
闘技場、広場や神殿などを建設したり、
高度な都市計画を実行しました。
↑は皇帝を称える彫刻で、
ギリシャ美術を手本としています。
ギリシャ彫刻と異なるポイントは、
表現がより写実的になり、
像の表面も凸凹していることです。
コロッセウム
コロッセウムはローマ時代に
建設された有名な闘技場です。
壁に掛かる重圧を分けるアーチ構造や
強度に優れたローマンコンクリートを使い、
ローマ人の技術を結晶させた闘技場です。
このような建造物が建てられた背景には
皇帝の権力を誇示する目的もありました。
古代ローマ壁画
ナポリ近郊のポンペイ遺跡には
古代ローマ壁画の遺例があります。
壁画は鮮やかな赤色を下地に描かれていて、
その色をポンペイの赤と呼んでいます。
ポンペイは火山の噴火で埋没しますが、
1748年に始まる発掘調査で再発見され、
当時の美術に大きな影響を与えます。
パンテオン
ギリシャ語で万の神々を意味する
パンテオンは、ローマすべての神々を
祀ってある神殿です。
床と天井までの高さ・内径が共に43.3mで、
球体を内包する完璧に秩序だった空間です。
一角には巨匠ラファエロの墓所があります。
戦勝記念碑
トラヤヌス記念柱は戦争の勝利を
記念したモニュメントです。
初代アウグストゥスの時代から
100年ほどしか経っていませんが、
トラヤヌスはローマ帝国14代目の皇帝です。
トラヤヌス記念柱は18個の
大理石ブロックを重ねたもので、
ローマ帝国の勝利や皇帝の英雄伝を
図像で記録しています。
まとめ
✓ギリシャ美術が持ち込まれると、
ローマ人はギリシャ美術の虜になった
✓ローマ彫刻はギリシャ彫刻より
写実的で表面も凸凹している
✓広大な領域を統治するために、
皇帝を称える肖像彫刻や、
モニュメンタルな記念碑などが作られた
次回は初期キリスト美術を解説します。
→ローマン・コピーを作る
→ギリシャ美術をまねした
→写実的で表面が凸凹
→皇帝を称えるために作られた
→広大な土地を統治するため
→コロッセオや記念柱