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美術を学ぶことに意味はあるのか

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記事の要約
  1. 科学と芸術
    →環境を変えるのは科学
    →環境に対する心を変えるのが芸術
  2. 答えがあるものとないもの
    →答えがある問題だけではない
  3. 芸術から学べること
    →感じる力
    →自分だけの答えをみつける力

 

芸術は人生の必要無駄
彫刻家 佐藤忠良

美術や芸術、アート。
あなたはこれらに
どんなイメージをもちますか?

  • 素敵なもの?
  • オシャレなもの?
  • 難しいもの?
  • あまり必要のないもの?

人それぞれだと思います。

ちなみに高校生くらいまでの私だったら
「よくわからないもの」
と答えていたでしょう。

小学校までは
絵を描くのがとっても好きでした。

でも中学くらいになると
「美術の授業をうける意味があるのか」
学ぶ意味を問うようになりました。

彫刻家の佐藤忠良さんは、
人は中学くらいになると、
自分のすることの意味を考え始める
と述べています。

著書「13歳からのアート思考」の中で
末永幸歩さんは、
中学生が嫌いになる教科の1位は美術
と述べています。

どうやら私だけでなく多くの人が
学ぶ意味を考えはじめた年齢から
美術と距離をおき始めたようです。

美術や芸術、アート。

これらって一体…
学ぶ必要性があるのでしょうか?




美術を学ぶことに意味はあるのか

 

問いに対する結論を先にいうと、

人それぞれです。

いきなり曖昧なことを言ってしまいました。

私は医療従事者なので医学を例にあげると、
医学には根拠や答えといったものが存在し、
それらを重視する学問なのに対し
美術や芸術には一定の答え
がありません。

ある人が好きだと感じた作品も
別の誰かには嫌いと感じることが
往々にあります。

科学が理性や正解を重視するのに対し、
美術や芸術は感性や多様性を重視します。

美術のもつ曖昧さは、
学ぶ意味を考えたときに
不必要と感じてしまう原因でもあります。

他の学問のように
これを学べばこれに活かせる。
この知識はこんな時に役立てられる。

のような利便性が、
美術にはないように感じてしまいます。

科学と美術

 

人類は科学を発展させて、
よりよい生活を手に入れてきました。

まさに科学には、
環境を変える力があります。

一方で美術に
環境を変える力はありません。

そんな美術を、
佐藤忠良さんはこのように
捉えています。

芸術というものは、科学技術とちがって、
環境を変えることはできないものです。
しかし、その環境に対する
心を変えることはできるのです。
彫刻家 佐藤忠良

人間には感じる力があります。
そして感じる力はみんな一定ではありません。

このみんな一定ではないものにも
大切なことがたくさんあります。

みんなが知っている知識や常識と同じように
大事にしなければいけないことです。

「どうすればお金を稼げるのか」

その問いに対して
人は株や仮想通貨の投資知識、
副業や節約などの情報

色んな知識を得ようとします。

一方、

「どうすれば幸せになれるのか」

このような問いに、
知識で答えることはできません。

みんな感じ方が違うからです。

つまり、いつも世界には
答えがあるもの答えがないもの
が存在していて、
答えがあるものが私たちの環境を
変えてきてくれました。

そして傍にはいつも
答えがないものがいて、
環境に対する考え方を
自問してくれています。

美術や芸術がその性質上、
曖昧なのは当然なんです。

美術から学べるもの

 

答えがないものからなにが学べるのか。

それは、感じる力
自分だけの答えを考える力です。

答えがあるもの(知識)は
みんなを同じ場所につれて行く力が
あります。

一方の答えがないものには、
自分だけの場所に進む力があります。

数学の答えは「変わらないこと」に
価値がありますが、
アートの答えはむしろ
「変わること」にこそ
意味があるのです。
末永幸歩

まとめ

 

絵
まとめ

✓人は学ぶ意味を考え始める頃から、
美術や芸術から距離をとりはじめる

✓科学には環境を変える力がある。
美術には環境に対する心を変える力がある

✓美術を学ぶと感性や自分だけの答えを
考える力が養われる

私は序盤で
「美術を学ぶことに意味はあるのか」
の問いに曖昧な答えを出しました。

その理由はお分かりいただけましたか?

美術を学べば○○ができる。

○○の部分は科学でないので
一定じゃありません。

その答えはきっと
あなただけのもののはずです。

美術や芸術、アート。

少しでも興味が湧いたら、
絵.cocoroの記事を覗きにきてくださいね。