対話型鑑賞とは
美術作品を複数人で鑑賞しながら、
作品から感じた感想や想像を
話し合う鑑賞法です。
近年ではオンラインで行える機会も増え、
より手軽に行えるようになっています。
そこでこの記事では
オンライン対話型鑑賞の利点と課題を
ファシリテーターとしての経験と
論文をもとに整理したいと思います。
オンライン対話型鑑賞の利点

オンライン対話型鑑賞は
主にビデオ通話機能を使って
作品画像(または動画)を鑑賞者と共有し、
鑑賞を開始していきます。
美術館などに赴く必要がないので、
気軽に対話型鑑賞が行えます。
また参考論文¹によると
オンラインでも対面と同等の、
- 作品鑑賞後の多面的な意見共有
- 作品理解の深化
などの鑑賞学習があるとされています。
加えて意見共有の易化を利点とし、
議事録等もリアルタイムに共有することで、
他者の意見を踏まえた議論を
容易にする環境が構築できるとしています。
- 現地に赴く必要がない
- 対面と同等の鑑賞学習効果がある
- 意見共有(議事録等)が容易
オンライン対話型鑑賞の課題

一方でオンライン対話型鑑賞では
実施が難しいこともあります。
まず初めに現代アートや彫刻などの
立体作品は共有しにくいという点。
加えて展示されている作品だけでなく、
展示空間や環境も重要である場合は
オンラインで共有しきれないという
問題もあります。
個人的な感覚として、
現代アートを使った対話型鑑賞は
現地で実施するのが1番です。

また参考論文¹では、
インフォーマルな会話が難しい
という点も指摘されています。
現地の対話型鑑賞では、
ファシリテーターと対話する以外にも
鑑賞者同士で話し合ったり、
思ったことを1人でぼそぼそ話すような
場面も見受けられます。
そのようなインフォーマルな会話が
鑑賞者同士のファシリテーションや
思考の整理に重要だとされるのですが、
オンラインでは発言の場が画一化し、
困難なことが多いです。
- 立体作品の共有
- 展示空間や環境の共有
- インフォーマルな会話
オンラインで行える対策

参考文献¹ではオンラインでの
インフォーマルな会話に対して、
チャット機能などを併用することが
対策の1つとして挙げられています。
ファシリテーターなどが事前に
チャット機能の使い方を説明し、
チャットの目的を
- 思ったことを記録する場所
→思考を整理する場 - 印象的な意見を記憶する場
→メモ書きのような使い方 - チャットでの会話
→ファシリテーター以外との
インフォーマルな会話の場
などと補足するのもよいかなと思います。

まとめ

✓オンライン対話型鑑賞は
手軽といった利点もある一方で、
現代アートの共有困難などの問題もある
✓インフォーマルな会話は
対話型鑑賞の大切な要素の1つ
✓チャット機能の併用などが
対策として挙げられている
→手軽かつ対面と同等の効果
→インフォーマルな会話
→チャット機能の併用