このシリーズでは1つの作品に
隠された時代背景や解釈、
メッセージ性を読み解いていきます。
第7回目は葛飾北斎の
「蛸と海女」です。
絵画を通して得た知見が
あなたの心のビタミンになれば
幸いです。
蛸と海女を解説
題名
蛸と海女
制作者
葛飾北斎
制作年
1820年
美術史では
江戸時代後期
蛸と海女は江戸時代後期に
葛飾北斎によって制作された木版画です。
彼が1820年頃に作成した
「喜能会之故真通」という艶本の1枚ですが、
かなりショッキングな内容ですね。
2匹の蛸と交わる1人の女性。
女性に嫌がっている素振りは見られず、
むしろ快楽に堕ちているかのよう。
背景には2匹の蛸と女性の言葉が
書き込まれており、その内容は…
中がふくれあがつて、アゝアゝ、ゆ(湯)のやうなゐんすい(淫水)、ぬらぬらぬら、どくどくどく。ヱゝ、モゝウ、くすぐつたくなって、ぞつぞつと、こしにおぼへ(覚え)がなくなって、フゝゝゝウ、フゝゝゝウ。きり(切り)もさかい(境)もなくの、ヲゝヲゝヲゝ、いきつづけ(行き続け)だアな。アゝアゝアゝ、アレアレ、ソレソレ、ウゝゝくゝゝ、フンムフウム、ウゝウゝ、いゝヨ。
(女性のセリフの一部)
どうやら連続で絶頂を迎えているようです。
中には「なぜ蛸と人間が…」と
嫌悪感だったり、空想的に思われる
人もいるでしょう。
しかしこのような動物と人間の性交は
獣姦と呼ばれ、確実に存在するのです。
昔からあった獣姦
実は獣姦は昔から存在していました。
例えば旧約聖書「出エジプト記」には
次のような記述があります。
全ての獣と寝るものは必ず処刑される
この記述は昔から人類の中に
獣姦をする者がいた証明とも
いえるでしょう。
ちなみに中世のヨーロッパでは
獣姦をした男女は、
その動物と共に処刑されるのが
決まりになっていました。
ギリシャ神話では、
ミノス王の妃パシフェが
牝牛に欲情して交わり、
牛頭人体の怪物ミノタウロスを産んだ
という話が有名です。
日本でも岩手県のオシラサマ伝説で
農家の娘と飼い馬が
性交して夫婦となった
という話が存在しています。
実はあまり知られていないだけで、
人間は獣とも簡単に一線を
超えてしまう存在なのかもしれません。
梅毒
性病の1つである梅毒は、
もとは豚の病気でした。
ところが人と豚が交わった結果
感染してしまい、
15世紀頃には世界中に
広まったという歴史もあります。
メッセージ性
ここでもう一度
蛸と海女を見てみましょう。
嘘のようなシチュエーションですが、
昔から確かに存在している獣姦。
あなたには蛸と海女が
どのように見えますか?
簡単に一線を越える人間の脆さ?
快楽は道徳にも勝ってしまう?
知られざる人間の本性?
是非、あなたなりのメッセージを
受け取ってください。
まとめ
✓人間が獣と交わることを獣姦という
✓昔から獣姦は存在していた
✓梅毒は獣姦によって広まった病気
最後に春画というジャンルについて。
春画とはいわゆる昔の性風俗画のこと。
枕絵や危絵とも呼ばれます。
春画の利用目的は様々で、
自慰の他に嫁入り前の指南書としての
用途もあったようです。
最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。
→喜能会之故真通の一枚
→人間の隠された一面
→ミノタウロスやオシラサマ伝説