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アメリカ美術/ニューヨークダダ/プレシジョニズムとは?【西洋美術史㉟】

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記事の要約
  1. ニューヨークダダ
    →デュシャンの渡米
    →アメリカでの前衛芸術
  2. プレシジョニズム
    →機械化された原風景
  3. アメリカン・シーン
    →大恐慌による社会不安
    →社会問題への関心を表明

 

アメリカでは1910年頃から
前衛的な芸術活動が始まっており、
マルセル・デュシャンの渡米により
ダダのような活動が始まりました。

まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。

large glass Young American Girl Nude american landscape The Passion of Sacco and Vanzetti

Marcel Duchamp
マルセル・デュシャン
Francis-Marie Martinez Picabia
フランシス・ピカビア
Charles Sheeler
チャールズ・シーラー
Ben Shahn
ベン・シャーン


美術史年表

・ニューヨークダダ⇒1910年半ば~

・プレシジョニズム⇒1920~1930年
・アメリカン・シーン⇒1920~1940年代

抽象表現主義⇒1946年~



ニューヨークダダ

 

DADAI

フランスのマルセル・デュシャンは
第一次世界大戦が始まると同時に、
アメリカへ渡ります。

そして彼は再度ダダのような
前衛的・実験的な活動を開始しました。

主なメンバーには

  • マルセル・デュシャン
  • フランシス・ピカビア
  • マン・レイ
  • モートン・シャンバーグ

などがいました。

彼らは自らをダダと名乗ることは
ありませんでしたが、
総称してニューヨークダダと呼ばれ、
アメリカの若い芸術家たちが
ヨーロッパの前衛芸術に触れる
キッカケを作りました。

 

large glass
大ガラス

↑はデュシャンの「大ガラス」です。

ニューヨークダダでもデュシャンは、
レディ・メイドの作品を制作して
芸術の価値を問いかけ、
既成の価値や概念を否定することを
続けました。

 

Marcel Duchamp
マルセル・デュシャン
マルセル・デュシャン
  • 生きた年代
    →1887~1968年
  • 代表作
    →泉
    →大ガラスなど
  • なにをした人?
    →ニューヨークダダの中心メンバー。渡米後はアメリカに住み続けた
  • その他の記事
    ダダ/シュルレアリスムとは?

フランシス・ピカビア

 

Young American Girl Nude
「若いアメリカ少女の裸体」1915年

もう1人の中心メンバー、
フランシス・ピカビア
機械をテーマにした絵を描きました。

しかし機械といっても
本来の実用的な機械としては
描かれてはおらず、
「役に立たない機械」と
なっているのが特徴です。

また、機械を女性に転用して
女性のイメージや愛欲行為も
単なる機械に還元するなどしました。

 

Francis-Marie Martinez Picabia
フランシス・ピカビア
フランシス・ピカビア
  • 生きた年代
    →1887~1968年
  • 代表作
    →若いアメリカ少女の裸体など
  • なにをした人?
    →ニューヨークダダの中心メンバー。アメリカとヨーロッパを行き来し、スタイルの異なる作品を制作した

プレシジョニズム

 

american landscape
チャールズ・シーラー「アメリカの風景」

1920年代からはプレシジョニズム精密派
呼ばれる動向が誕生しました。

工場や摩天楼の並ぶ景色を
アメリカの原風景として見出し、
直線的な構成や平明な質感で
対象を描いたことが特徴的です。

 

new york landscape
チャールズ・シーラー「ニューヨークの風景」

プレシジョニズムの由縁は
機械的な表現が精密で正確だと
形容されることになったこと。

プレシジョニズムの画家である
チャールズ・シーラーは、

われわれの工場は、
宗教的表現への代理物である

と語っています。

 

Charles Sheeler
チャールズ・シーラー
チャールズ・シーラー
  • 生きた年代
    →1883~1965年
  • 代表作
    →アメリカの風景など
  • なにをした人?
    →プレシジョニズムの画家。写真家でもあり、建造物や乗り物を主に撮影した

アメリカン・シーン

 

The Passion of Sacco and Vanzetti
ベン・シャーン「サッコとヴァンゼッティの受難」1931‐1932年

1920年代から30年代にかけて
退廃的な都市生活や厳しい労働環境、
社会の一断面を描く傾向がありました。

これをアメリカン・シーンと呼んでいます。

1929年の大恐慌による
アメリカ社会の経済的疲弊が深刻化し、
画家たちは差別や社会問題への関心を
表明するようになりました。

 

Ben Shahn
ベン・シャーン
ベン・シャーン
  • 生きた年代
    →1898~1969年
  • 代表作
    →サッコとバンゼッティの受難など
  • なにをした人?
    →アメリカン・シーンとして戦争、貧困、差別、失業などをテーマにした絵を描いた

まとめ

 

american landscape
まとめ

✓1915年にデュシャンが渡米し、
ニューヨーク・ダダが興った

✓1920年からはプレシジョニズムと
呼ばれる動向も生まれた

✓1920年代から30年代にかけて
社会の一断面をリアルに描いた傾向を
アメリカン・シーンと呼ぶ

次回は抽象表現主義を解説します。

 

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