12世紀から始まるゴシック美術は
都市社会の中で発展しました。
建築技術の発展と共に形成され始め、
いわゆる「大聖堂時代」を迎えていきます。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。
ゴシック美術の特徴
ゴシックとはもともと、
「ゴート族による野蛮な様式」を
意味する蔑称でした。
これはゴシックの美術感覚が、
ギリシャ・ローマの美術と大きく異なり、
異質なものであったことを示しています。
また、ゴシック美術は一部の都市で
流行したのも特徴的です。
- ロマネスク
→西欧全域で栄える(人里離れた場所) - ゴシック
→パリを中心とした都市部で発展
↑はサン=ドニ大聖堂の内部です。
ゴシック建築がロマネスクと違うのは、
聖堂の壁が薄く、天井が高いことです。
また、そうすることで
ステンドグラスをはめ込むことができ、
明るく豪華な飾り立てが可能になりました。
ゴシック建築の特徴は以下の通りです。
- フライングバットレス
- 尖頭アーチ
- 交差リブヴォールト
- 人像円柱
- ステンドグラス
順に解説していきます。
フライングバットレス
フライング・バットレスとは、
壁の外側からつっかい棒のような梁で、
壁が外に開くのを防ぐものです。
これにより建物をより薄く、高く
することに繋がりました。
尖頭アーチ、交差リブヴォールト
尖頭アーチとは支柱間より直径の
大きな2本の円弧を交差させたものです。
これには空間が伸びていくような
上昇感を与える効果があります。
そこにリブをつけて構造を
視覚的に強調したのが
交差リブ・ヴォールトです。
これらにより天井を支える力が
アーチ帰結点の4つに集中します。
そうなることで壁面を薄くして
窓を設けることに繋がりました。
人像円柱
モニュメンタルな彫刻は
ロマネスク時代に復活しましたが、
まだその時代のものは
建築的枠組みと不可分なものでした。
ところがゴシック時代には
建築的枠組みから独立した彫刻
が造られ始めます。
↑は発展初期段階のもので
まだ円柱と一体のような感じですが、
ロマネスク時代の浮彫りとも違う
彫刻作品になっています。
それから約1世紀後に制作された
ランス大聖堂の彫刻は円柱から独立して
台座の上に立っています。
ギリシャ・ローマ彫刻に倣った
コントラポストの姿勢やドレイパリーの
表現も見て取れます。
ステンドグラス
数々の技術発展を経て、
設けることができたステンドグラスは、
それまでの壁画に変わる絵画芸術の
中心となりました。
美しいステンド・グラスには
聖書の内容などが記されており、
文字が読めない民衆に教義するための
重要な役割を担っていました。
また、色ガラスを通して差し込む神秘的な光は
神は光なりきと信じた中世の人々にとって、
信者の心を照らす光でもありました。
最後にゴシックとロマネスク、
両方の違いをまとめて確認しましょう。
- ロマネスク
→厚い石の壁
→小さな窓
→半円アーチ
→彫刻は建築的枠組みの中 - ゴシック
→薄くて高い壁
→大きな窓(ステンドグラス)
→尖頭アーチ
→人像円柱(独立した彫刻)
まとめ
✓ゴシック美術はパリを中心とした
都市部で発展した
✓フライングバットレス、尖頭アーチ、
交差リブヴォールトなどにより教会内を
明るく豪華に装飾することが出来た
✓人像円柱など建築的枠組みから
独立した彫刻も生まれた
✓ステンドグラスは字が読めない民衆に
聖書の内容を伝える役割があった
次回はプロトルネサンス
を解説します。
→都市部で発展した
→フライングバットレス
→尖頭アーチ
→人像円柱
→ステンドグラス
→聖書の内容を記す
→民衆に教義する役割