現在、最古級の壁画と
いわれているのがフランスにある
ショーヴェ洞窟の壁画です。
先史時代に生まれた純粋な表現は、
祈りを表現しているといわれています。
まずはこの時代の作品の
画像を確認していきましょう。
・原始美術 ⇒B.C.30000年頃~
・古代美術 ⇒B.C.4000年頃~
・エーゲ海美術 ⇒B.C.3000年頃~
⇩
・ギリシャ美術⇒B.C.1000年頃~
原始・古代美術
現存する最古級の絵は
ショーヴェ洞窟の壁画です。
狩りを行う時代に獲物が取れることを
祈って描いたとされています。
特徴は願いの対象だけを描いており、
背景がないことです。
これらの壁画は、
ネオンデルタール人の作品であると
考える研究者もいます。
オーストリアの方では
女性の形をした小像なども
多く発見されています。
壁画と違うのは造形が写実的ではなく、
理想化されている点です。
胸や腹部、お尻を誇張し
多産や豊穣を祈願しているのでは
ないかといわれています。
また、この像は自立できないため、
鑑賞用ではなく携帯用に作られたのでは
ないかとも考えられています。
イギリス南部には巨大な石を並べた
ストーンヘンジがあります。
世界で最も有名な先史時代の遺跡です。
造られた理由として、
初期には魔術師が巨人に造らせたもの
といった解釈などもありましたが、
研究が進むと天体観測所や天体軌道の計算装置
としての役割があった説も出てきました。
メソポタミア美術
紀元前4000年頃から
メソポタミア文明が生まれます。
メソポタミア美術で有名なのは
ナラム・シンの石碑です。
これは戦争の勝利を祝ったもので、
記念碑としては世界最古のものになります。
この頃には人類の中に権力者が生まれ、
権力を象徴する美術も多く制作されました。
ハンムラビ王という人物は、
メソポタミア統一後に
人類最初の法律を作りました。
それはハンムラビ法典碑と呼ばれ、
目には目を、歯には歯をという
フレーズで有名です。
エーゲ海美術
エーゲ海美術は大きく3つに分類できます。
- キュクラデス美術
- クレタ美術
- ミュケナイ美術(ミケーネ美術)
紀元前3000年を過ぎる頃、
キュクラデス諸島から
美術が誕生していきました。
キュクラデス美術
キュクラデス美術の特徴は
白大理石を使った単純で抽象的な石造です。
現存する石造の多くが
30㎝程度の小さな女性像ですが、
150㎝近い大型の像や男性像も存在します。
これらの像は墓に副葬したり、
宗教儀礼に使われたと考えられています。
単純な形態をしてますが、
各部位に一定の比率が認められます。
クレタ美術
こちらはクノッソス宮殿の王座の間。
地中海の動植物が壁画や浮彫で
装飾されました。
ミュケナイ美術
ミュケナイ美術(ミケーネ美術)の
代表作は獅子の門です。
獅子の門は城の正門でした。
クレタ美術の建築物が
開放的であったのに対して、
ミュケナイ美術では強固な城門や城壁があり、
外敵に襲われる危険性が
あったことが考えられています。
当時の作品から、
その時代・場所の治安などが
推測できるのは面白いですね。
↑はもう1つの代表作、
アガメムノンの黄金のマスクです。
王族と思われる墓の中から発見され、
仮面のあった墓の人物は男性かつ戦士で
あったこともわかっています。
アガメムノンとはギリシャ神話に
登場する総帥のことであり、
実在していたかは定かではありません。
まとめ
✓祈りを表現した美術は
権力を象徴する美術へ
✓エーゲ海周辺の島で
様々な文明・美術が発展した
次回はギリシャ美術を解説します。
→祈りを表現している
→文明発達。権力の象徴
→宮殿やアガメムノンのマスク