この記事では西洋美術史の
原始美術からルネサンスまでを
ざっくりと解説していきます。
大まかな流れの学習・確認に
活用してください。
西洋美術史をざっくりと解説②
→マニエリスムから印象派まで
目次
西洋美術史ざっくり解説
この記事では☆がついている
時代を解説していきます。
原始美術(紀元前30000年頃)
現存する最古級の絵は
ショーヴェ洞窟の壁画といわれています。
狩猟の時代に、
獲物が捕れることを祈って描かれました。
原始美術の特徴は、
祈りや願いを表現している点です。
メソポタミア美術(紀元前4000年頃)
人類は集団を作り、文明を生みます。
そして文明は他国との争いをも
生み出しました。
↑はメソポタミア文明で生まれた
ナラム・シンの石碑で、
戦争勝利を祝った記念碑です。
この頃から美術は
権力を誇示するツールにもなりました。
- 年代
→紀元前4000年頃 - 場所
→メソポタミア(現在のイラク) - 作られたもの
→彫刻や石像、大型建造物など - 特徴
→権力を誇示するためのもの
ギリシャ美術(紀元前1000年頃)
エーゲ海一帯で生まれたギリシャ文明。
人々は神の存在を信じ、
それはギリシャ神話として
現在まで語り継がれています。
神は人間の姿をしているという思想のもと、
理想的な人間の姿が表現されました。
↑の作品もヴィーナスという愛の女神を
人間の形で表現しています。
また、ギリシャ彫刻で大切なのは
コントラポストという方法を使って
作品に躍動感を与えたことです。
- 年代
→紀元前1000年頃 - 場所
→エーゲ海一帯 - 作られたもの
→彫刻や大型神殿など - 特徴
→神を表現した(理想的な人物像)
ローマ美術(紀元前27年頃~)
紀元前27年頃に誕生したローマ帝国は
地中海一帯を支配しました。
当初ローマ人はギリシャ美術に魅了され、
ギリシャ美術をマネした作品である
ローマン・コピーを大量に制作しました。
しかし帝政が末期になってくると、
ギリシャ美術の神話的な表現は衰退し、
かわりに権力者を誇示するような美術が
栄えていきます。
それまでの彫刻と違うのは
人物がより写実的になり、
精神性などを強調するために
デフォルメされている点です。
↑の皇帝の頭像も、
目が大きくデフォルメされています。
- 年代
→紀元前27年頃~ - 場所
→ローマ帝国(地中海一帯) - 作られたもの
→彫刻や神殿、大型建造物など - 特徴
→誇示するためにデフォルメした
初期キリスト美術(2世紀末~)
キリスト教の美術は
西暦200年頃から始まります。
ローマ帝国が統治する時代、
キリスト教はまだ容認されておらず
迫害を受けていました。
そんな中、信者たちは
弾圧者たちの目を誤魔化すために
あえてキリストを間接的に描きました。
↑の善き羊飼いは、
羊飼いに扮したキリストが羊(信者達)を
導いている場面が描かれています。
その後キリスト教は313年に容認され、
394年に国教化されます。
キリスト教が容認されると、
教会建築が盛んになっていきました。
また、教会建築に伴い内部を装飾する
モザイクや壁画も多く制作されました。
- 年代
→2世紀末~ - 場所
→ローマ帝国(地中海一帯) - 作られたもの
→カタコンベの絵/
(容認後は)教会、モザイクなど - 特
→間接的な表現/
(容認後は)キリストがテーマの壁画
ビザンティン美術(4世紀末~)
この時代は平面的で
動きの感じられない絵が多いです。
キリスト教が普及し始めると、
「神様を人間が描いていいのか…?」
という神学上の矛盾が指摘され始めて、
平面的な絵が増えていきました。
また、それまで栄えていた彫刻などは
3次元的な表現であることから
ほとんど制作されなくなりました。
一方キリスト教の更なる布教のため、
聖堂建設はどんどん進んでいきました。
キリスト教が強い権力を持ち、
非人間的な圧力が強かった中世は
暗黒の時代とも呼ばれ、
1000年ほど続きました。
- 年代
→4世紀末~ - 場所
→東ローマ帝国(ビザンティン帝国) - 作られたもの
→教会、モザイクなど - 特徴
→平面的な絵(彫刻などは破壊)
プロトルネサンス(13~14世紀)
暗黒時代には神と教会が中心で、
自然や人間性は重要視されませんでした。
しかしルネサンスに先駆けて、
芸術分野で人間性を追求したのが
チマブーエやジョットでした。
人物の感情や空間の三次元的な表現は
後世の美術に大きな影響を与えました。
- 年代
→13~14世紀 - 場所
→イタリア - 作られたもの
→テンペラ・フレスコ画など - 特徴
→人間的な感情、三次元的な空間表現 - 有名な芸術家
→チマブーエ、ジョットなど
初期ルネサンス(15世紀)
ルネサンスはイタリアの
フィレンツェから始まります。
遠近法の研究が進み、
画家たちは積極的に絵画に取り入れました。
ルネサンスとはフランス語で
再生を意味しており、
かつてのギリシャ・ローマの文化を
再興しようとする意味が込められています。
かつてのギリシャ・ローマの
古典研究も推し進められ、
人文主義と呼ばれる精神運動が始まります。
教会の権威や神中心の非人間的重圧から解放し、人間性の再興を目指した運動のこと
再び栄えた彫刻では、
ギリシャ神話をテーマにするなど、
芸術は再び人間らしい表現を可能としました。
- 年代
→15世紀 - 場所
→イタリア(フィレンツェ) - 作られたもの
→彫刻やテンペラ・フレスコ画など - 特徴
→ギリシャ・ローマ時代の復興 - 有名な芸術家
→マザッチョ、ドナテッロなど
盛期ルネサンス(1500~1530年)
ルネサンスの3大巨匠が活躍した時代を
盛期ルネサンスと呼びます。
この頃の芸術の中心は
フィレンツェからローマへと
移りました。
遠近法はさらに発展を遂げ、
スフマートや空気遠近法と合わせて
更にリアルな表現が可能となりました。
3大巨匠の活躍により画家や彫刻家は
芸術家という地位を確立しました。
- 年代
→1500~1530年 - 場所
→イタリア(ローマ) - 作られたもの
→彫刻やテンペラ・フレスコ画など - 特徴
→卓越した技術により、画家や彫刻家は芸術家の地位まで高められた - 有名な芸術家
→ダヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロなど
まとめ
原始美術(紀元前30000年~)
→生活から生まれた美術。祈りを形に。
メソポタミア美術(紀元前4000年~)
→文明が生まれ、権力者を誇示する美術
ギリシャ美術(紀元前1000年~)
→理想的な人間を表現。彫刻が多い
ローマ美術(紀元前27年頃~)
→彫刻は写実的で、デフォルメされた
初期キリスト美術(2世紀末~)
→迫害を避けるため間接的な表現を使用
ビザンティン美術(4世紀末~)
→キリスト教の権威が強い。平面的な絵
草創期ルネサンス(13~14世紀)
→人間味ある表情や3次元的な空間表現が生まれる
初期ルネサンス(15世紀)
→遠近法発見。ギリシャ・ローマの復興
盛期ルネサンス(1500~1530年)
→3大巨匠の時代。画家は芸術家の領域へ
次のまとめ記事では、
マニエリスムから印象派までを解説します。
→紀元前30000年頃
→ヨーロッパや東南アジア
→洞窟の壁画や遺跡など
→祈りや願いを表現