この記事では今を生きる
アーティストの方に着目し、
インタビューさせて頂いた
内容を記していきます。
作品に込められた意図などを
解説するのではなく、
アーティストの方の生い立ちや
考え方を紹介していくものです。
第11回目は
アーティストの石倉真理さんです。
気になった方は是非応援、
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記事内の画像は全て掲載許可を頂いています
石倉真理とは?

- アーティスト名:石倉真理
- 年齢(インタビュー時):41歳
- 出身:東京
- 主に制作しているもの:水彩や鉛筆画
インタビューに至るまで

第2回目に登場して下さった
大谷浩一さんのご紹介で
繋がった石倉真理さん。
お忙しい中、
インタビューに応じて頂きました。
石倉さんの作品



鉛筆や水彩での作品が多い石倉さん。
彼女は詩人としての活動もあり、
今回詩を掲載するのも許可して
頂けました。
1つご紹介します↓
怒りが悲しみに変わるまで
あなたは静かに私の傍にいました
不安が怒りを呼び戻すまで
あなたは私の友人でした
そしてあなたの優しさが
私への要求に変わるまで
あなたは自分を語らなかった
いつしかあなたが求めるものは
私の心の中には全くないと気づいた
私がこのような人になりたいと
願っていた理想の人間像が
あなたが必要としている人間だった
それはあなた自身も
手の届かない生き方で
そうなれない自分を理性で抑え責めて
乗り越えようとするのが
あなたの正しさだった
私は心の中で怒りの石を投げていた
どうすることもできないことに
対する責任を持つことに戸惑い
相手がしてくれていた
沢山の気遣いを思い出し、
自分の限界に凍りついて奮い立ち
抱えきれないやるせなさから
我が身だけを深く思いやる
心境へと変化していった
私の心の根本は幼い頃、
両親から受けていた言葉の暴力で
それから逃れた今に至っても
私の心は同じ場所で留まり
光を求めながら病んでいたのだ
多くの人から与えられた
優しさけれどその裏側に潜む
罪悪感にも苦しみ
望まれる生き方ができないことへの
怒りで何かに突き動かされるように
絵を描くことが
生きていくための
大事な作業の実感となり
描き終わるとこれで良いのか
再び強い不安にとらわれた
それは芸術に対する志しではなく
なぜ私はこのような人間なのかという
自分の人生の歩みに対する不確かさ、
やり場のない強い感情
私はいったい何に対して怒りたいのか?
私が私を知るとはこの意識だけで
十分であると思って良いのか?
不安の中の心の痛みでしか人への
共感をできない私はネガティブで
自己中心的な考え方しか知らないのか?
私は怒りを内に秘めていても
光を浴びてきたから
人生を生きてこれたはずだ
そして心を閉ざしていたのは
周囲の人が私の内面の怒りに気づき
干渉してきて自分が全否定されることを
恐れていたからなのだ
しかし、私を罰しているのは他者ではない
人が私にくれた優しさの内側に
潜む厳しさと正しさを自分の解釈で
理解して気持ちを溜め込んでいたから
病むことは内面の表現だったのだ
病の理解を求めることは
人間としての誤りを傷つけることなく
気づかせて欲しいという
無意識からのメッセージ
白い画用紙をまるで汚しきるかのように
絵の具を重ねて描いていた絵は私の愛ではない
自分の内側の立ち込める怒りを
砕いて清らかな水で溶いて
鮮やかな絵の具と混色し
私の心に沿うようにした色彩と形
描くたびに蘇り変化する私の感情なのだ
人は言う、傷ついている人を見かけると
ありのままでよいと
けれどそれは変わるための言葉である
このままで良いと言われるのは
生き直して欲しいという
願いが込められている
何も言わないでいる人は
何もないままに時間が
流れていけば良いと思っているのではない
謝らなくてもよいから
自ら当たり前の幸せを得るために
自己反省に辿りついて欲しいという
思いを言葉にすることは
相手を傷つけると躊躇っている
人は誰しも自分の気持ちを
決めつけられた過去を持ち
それから出会った人達も
同じような目で自分を見ていると思い込む
それによって歪んだ解釈をしている
自分を正当化し、
自分を否定していると思う人を
心の中で攻撃する
無償の愛を考えるならば
真逆のことをしている自分が
自己否定という妄想にふけっている
妄想を作り出したのが自分自身であるなら
妄想と怒りの意味を紐解き
光の中へ解き放ってあげられるのも
自分なのだ
心を罪悪感で縛ったまま許すのは
もうここでやめよう
この罪悪感を狭いと認め手放し後に
心に残るのが
人としての本当の優しさで
それは他の人や誰かと比べて
素晴らしいものではない
ただ、気遣いが貧しくとも
偏ったものであっても
何の偽りもない私の内的な世界にある
白紙の画用紙のように
これから描いていける余地のある精神世界
自分の怒りも悲しみも受け入れて
それを生きる喜びに変えて行ける心持ち
あなたの中にも解決されてない
怒りが眠っているなら
それはあなたに紐解かれ
自らの中に受け入れられて
一枚の絵に表現されることを待ち望んでいるはず
あなたの両手に抱かれるのは
怒りを受け止めた後の希望で
自分に従わない人の内面まで
あなたの手で触れることは許されない
2024年12月12日
石倉真理、ペンネーム実月
石倉さんの生い立ち

「自分のことがわからない」
14歳の頃に精神を病み、
学校に通えなくなった石倉さん。
その原因の多くが父親に
あったとも語ってくれました。
精神的に不安定な中で
周囲とのギャップに苦しむ
石倉さんは
- どうして周りと同じように
できないのか - どうして何もできないのか
そんなことを考え、
ただ漠然と過ごす日々が続きました。

幼い頃から絵を描くのは
好きだったという石倉さん。
精神的な不調を抱えながらも、
とある造形教室に通うようになった
石倉さんは制作活動に励みました。

すると自分の絵が医療・福祉の施設で
飾られることになったのを機に
少しずつ体調が回復したといいます。
幼少期の心の病は今も
完全には癒えませんが、
石倉さんは自身にとっての絵について
このように話してくれました。
病んでいる自分を否定しない。
病んでいるままでも
生きていけるような
希望とか光です。
なにを考えながら描くのか

この問いに対して
石倉さんは以下のように答えました。
感情が押し寄せてくるので
それをそのまま絵にしています。絵を描き終えると
忘れてしまうんです。きっと描いたことで
なにか解消しているのだと思います。
最後に

インタビューに協力して下さった
石倉さんに厚く御礼申し上げます。
また、石倉さんを紹介して下さった
大谷さんが石倉さんについて
石倉さんの絵はいつまでも
「偉そうな絵」にならない。謙虚なところが好きです。
と仰られていたのが
印象的でした。
偉そうな絵…
世の中にはたにかに
そんな風に感じる絵もある気がします。
最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。