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アートとデザインってどう違うの?

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記事の要約

自分目線他人目線

✓本来のニュアンスは再構成

応用芸術の台頭

 

今回この記事で解説するのは
アートとデザインの違いです。

まず序盤でその違いを簡潔に解説し、
中盤からは詳しく知りたい人に向けて
踏み込んだ解説を行っていきます。

この記事を読めば
アートとデザインの違いをはっきりと
説明できるようになるでしょう。


アートとデザインってどう違うの?

 

アートとデザインの違い。

それは
自分目線主観的他人目線客観的かです。

 

アートは自分の内なる感情などを
表現するものです。

その内なる表現欲求は
他人の評価や意見に左右されるもの
ではありません。

表現者自身の徹底した自分目線での
発信媒体がアートともいえます。

 

一方のデザインは
誰かの問題を解決するツールです。

誰かの意見を汲み取り、
ユーザーの利便性を考慮して
施されるのが基本で、
他人目線での発信がデザインになります。

 

ちなみに私たちの生活にある
ほとんどのものがデザインされています。

例えばコップ。

あれは液体状のものを
飲みやすくするために(問題解決)
デザインされています。

同様の理由で
箸もお皿も机も椅子も…
全てがデザインです。

よってアートとデザインの違いは
役に立つか、用途があるかないかでも
区別されることがあります。

 

アートとデザインの違い
  • アート
    →自分目線
    →誰かに認められなくてもいい
    →純粋な表現
  • デザイン
    →他人目線
    →ユーザーに認められる必要がある
    →問題解決のツール

 

以上が簡潔な解説です。
ここからは詳しく知りたい人に向けて
踏み込んだ解説を行います。

そもそもデザインとは?

 

美術

まずデザインの語源は
計画を記号に表すという
ラテン語のデジナーレからきています。

その言葉の解釈は

つまりデザインとは、
ある問題を解決するために
思考・概念の組み立てを行い、
それを様々な媒体に応じて
表現することと解される。
引用:wikipedia

となるので、
問題解決のツールという表現でも
大きな間違いではなさそうです。

しかしアートという言葉と比較する場合、
そこに至るまでの概念を知った方が
より理解が深まります。

 

フィレンツェ

デザインの概念はディセーニョという
イタリア語からきています。
(語源ではありません。概念です)

ディセーニョは線描写素描
意味する言葉です。

 

ディセーニョとは、
画家が模倣しようとするものに対して
与える形態のこと、

すなわち試行錯誤しながら
イメージを形にしていく
線の動きそのものを指す。
引用:アレティーノまたは絵画問答

また、ディセーニョには
断片的にある美を再構成する技量
という意味もあります。

つまり自然界に存在する
美しいもの(景色や花、顔のパーツなど)
を選りすぐって画面に再構成する技量です。

今日私たちが使うデザインという言葉も
素描というより再構成する方の意味に
近い感じがしますね。

ちなみにルネサンスで有名な
ミケランジェロの技量を表現したものに
こんな言葉があります。

 

(ミケランジェロは)
このように自然の中から美を選び出し、
まるで蝶が花々から蜜を集めるように、
それらを作品の中に用いたのである
引用:ミケランジェロ伝

ディセーニョにはもともと
「形を与えられるべきものを形にする行為、
およびその結果生み出されたもの」
という定義があります。

これはここで用いられる
美を再構成する技量という言葉の
より詳細な意味をあらわしています。

 

そもそもデザインとは?
  • デザインの語源
    →ラテン語のデジナーレ
    →計画を記号に表す
  • 概念はディセーニョから
    →線描写や素描の意味
    →断片的にある美を再構成する
  • 昔から再構成する技術が用いられた
  • ここでいう美の再構成とは
    →形を与えられるべきものを形にする行為、及びその結果生み出されたもの

応用芸術とは?

 

アヴァンギャルド

次に応用芸術についても解説します。

応用芸術とは純粋な芸術に
対置させる形で生まれたジャンルです。

例えば、

  • 自分目線での純粋な表現
  • 用途がないもの・役に立たないもの

が本来のアートでした。

 

ではポスターはどうでしょうか?

ポスターに純粋な表現を施しても

ポスターには
なにかを告知する、宣伝する

という立派な用途があります。
(しかも複製も簡単)

これはアートなのか?
という疑問が出ちゃいますね。

ここで用いられるのが応用芸術です。

 

応用美術とは
美術を日用品や行事などへ
応用することを指し、
この過程をデザインという
引用:wikipedia

つまり純粋な芸術に用途や機能を
与えたものが応用芸術です。

また、何かの役に立つものには
便利に用いられるための「ふさわしい形」が
あるはずだとする考えがあります。

つまり再構成です。

ディセーニョ由来の
形を与えられるべきものを形にする行為、
およびその結果生み出されたもの
という定義にもうまく呼応します。

ですのでwikipedia解説後半にある
「この過程をデザインという」部分には
ディセーニョ由来の再構成
意味が込められています。

 

秘儀荘

もともとアートには
役に立たないから純粋で偉い
とするようなヒエラルキーがありました。

ところが19世紀後半頃から
ポスターなどの商業広告の重要性が増し、
ロートレックやミュシャといった
応用芸術で台頭する芸術家が出てきます。

 

ディヴァン・ジャポネ
ロートレック「ディヴァン・ジャポネ」
JOB社の煙草
ミュシャ「JOB社の煙草」

産業革命以降の
大量生産・大量消費の時代に入ると、
大量生産ではない純粋な芸術は
一般人とは無縁の存在になり、
生活用品などの機械工業製品に
美を加えていこうする流れに入ります。

そこから身の回りには
機能美を追求したものが増え、
もともとあった純粋な芸術を
再構成する考え方が普及していくのです。

 

応用芸術とは?
  • 純粋な芸術に対置するジャンル
    →実用性、有用性をふまえた芸術
  • ここで使われるデザインとは
    →ディセーニョ由来の再構成
  • ヒエラルキーがあった
    →純粋な芸術>応用芸術
  • 応用芸術の重要性が高まる
    →大量生産・大量消費の時代
    →純粋な芸術は一般人とは無縁に
    →生活用品などに美を取り入れる
    →機能美を追求する流れになる

アートとデザインの関係性

 

ここまでの内容をもう1度振り返ります。
(不要な方は次の画像まで飛ばして下さい)

まずデザインの語源は
計画を記号に表すという意味の
デジナーレからきています。

それとは別に、
デザインの概念はディセーニョからです。

断片的にある美を再構成する技量という
意味を持つディセーニョは、
美術史に古くから存在している言葉で
もともとは
「形を与えられるべきものを形にする行為、
およびその結果生み出されたもの」
という定義がありました。

また、何かの役に立つものには
便利に用いられるための「ふさわしい形」が
あるはずだという考えも存在します。

それがディセーニョの定義に
上手く呼応したので概念として
あてはめられるようになりました。

 

このディセーニョ由来のデザインの概念は
応用芸術にもかなり重なります。

よく純粋な芸術にデザインを施したものを
応用芸術と表現することもありますが、
ここで使われるデザインとは
つまり再構成を意味しています。

で、もともとは純粋な芸術の方が
格上とする風潮があったのですが、
19世紀後半からは応用芸術の勢いが増し、
機能美を追求したものが
身の回りに溢れていきました。

よって現代の私たちからすれば
アート純粋芸術よりもデザイン応用芸術の方が
親しみがあるはずです。

 

冒頭でアートとデザインの違いは
自分目線主観的他人目線客観的だと述べました。

ではこの2つの関係性はどうでしょうか?

ここまで長々と解説させて頂きましたが、
ここまで読んで頂くと
アートとデザインは完全に別個のもの
というわけではなく、
アートの中にデザインがあるという
表現が正確だと考えています。

アートとデザインの違いは他にも、

  • 用途があるかないか
  • 自由な表現か商業的か
  • 報酬が発生するか否か

など様々な言い回しが
されていますが、

厳密に言うと
再構成されたものがデザインで
それを含む表現活動がアートである。

と言えるでしょう。

まとめ

 

まとめ

✓簡単に言えば自分目線他人目線

デザインの概念はディセーニョからきている

✓ディセーニョ→美を再構成する技量

再構成されたものがデザインで、それを含む表現活動がアートである。

今や空間デザインやキャリアデザインなど、
さまざまなところでデザインという言葉が
使われています。

アートとデザインの違いを
簡潔に説明すればデザインは
他人目線や問題解決で表現しても
よいと思うのですが、
本来のニュアンスは再構成です。

また、アートの流れを掴むと
なぜデザインの方が親しみやすいかも
理解できるように思います。

最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。

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