アート作品を見るときは、
できるだけ多くの「理由(事実)」を
取り出すことが大切です。
岡崎大輔
この記事ではSBクリエイティブ出版の
『なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?』を紹介し、レビューしたいと思います。
なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?
出版社
SBクリエイティブ
発売日
2018/9/19
著者
岡崎大輔
本の長さ
154ページ
著者である岡崎大輔さんは、
対話を介した鑑賞教育プログラム
ACOP(Art Communication Project)を
企業内人材育成・組織開発に
応用する取り組みを行っています。
この本で紹介されている
VTS(対話型鑑賞)はアメリカで
開発されたアート鑑賞法のことで、
当初は子供向けに考案された鑑賞法でした。
しかし近年では大人でも楽しめる方法かつ
脳を鍛えることができ、アート思考が
身に付くことでも人気を博しています。
岡崎さんはそんな対話型鑑賞を
企業・行政を対象に行っており、
大人向けの対話型鑑賞を
発信している第一人者といえるでしょう。
本書はエリートが美術館に行く理由が
書かれているようなタイトルですが、
実際はVTSを行うポイントや、
効果などを解説したものです。
対話型というくらいですから、
本来はファシリエータ―と呼ばれる
進行役のもと、各々の鑑賞者が作品から
感じたことや意見を共有・深掘りする
ことで成り立つ鑑賞法です。
ですが本書では
1人の時も使える鑑賞のコツについても
解説されています。
印象に残ったこと
本書の大見出しは以下のとおりです。
- 初級編
①直感を言葉にする
②区切ってみる(対比する)
③要素を組み分ける - 中級編
①「立場」を変えてみる
②連想する
③抽象化する - 上級編
①喩える(置き換える)
②自分のモノの見方を疑う
本書はVTSのメソッドをもとに、
アートを鑑賞する際のポイントを
初級・中級・上級編に分けて
詳しく解説しています。
知識をもってアートを見るのとは
少し違う鑑賞法ですので、
最初戸惑う方もいるかもしれませんが、
こんな鑑賞法もあるんだ!と
新たな視点が得られるでしょう。
これからアートを見ていきたい、
初心者の方にもオススメです。
- VTS/1人VTSがわかる
→アートの新たな見方・楽しみ方
→感覚を言語化する方法 - 印象に残った章
→事実と解釈
→事実と解釈についてはコチラ
オススメしたい人
本書を特にオススメしたいのは
以下の方です。
- VTSを知りたい人
- 色んな鑑賞法を知りたい人
- 歴史や時代背景を学ぶのが苦手な人
オススメする人に③をあげたのは
VTSが人との対話や体験を
重視しているからです。
作品の背景を学ぶ・勉強することに
抵抗や苦手意識がある人でも、
VTSの方法を身につければ
アートの見方が深まります。
反対に、
作品の背景を知る鑑賞法が好きな人や
知識抜きで鑑賞するのに抵抗がある人は、
VTSを受け入れにくいかもしれません。
レビュー
「なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?」読了。アート鑑賞は、ビジネスや生活において、クリエイティブな活動を支えるための土台として、観察力、洞察力を身につけるために最適の題材。本書は、徹底的に作品を「みる」ための技術を実践的に解説してくれています。良書でした。 pic.twitter.com/UelGCcbatW
— かるび(主夫ライター) (@karub_imalive) October 23, 2018
岡崎大輔著「なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?」再読。アート作品は『もの』、アートはアート作品とみる人との『対話』。対話型鑑賞で抽象化したり、自分の考えを問い直したりするやり方が具体的に書かれている。すぐに図工の鑑賞を改善させるヒントになりそうです。 pic.twitter.com/xYkkkBwpq1
— たんぽぽ@UDL推進小学校教師 (@2020tampopo) August 13, 2020
『なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?』(岡崎大輔著)
美術鑑賞は観察力、批判的思考力、言語能力を伸ばす。その鑑賞法について。
自分で考えること、他の人の受け取り方を知ること。
多様性を受容し、自己を理解し他者を理解する。
面白すぎてあっという間に読了。#読了 pic.twitter.com/OZCr8NkSO6— サノ@接客の人 (@sanosano0726) March 10, 2022
まとめ
✓大人向けのVTS解説本
✓1人で鑑賞する際のポイントも解説
✓背景を学ぶのが苦手な人にもオススメ
オススメ度(5段階)
→☆☆☆☆
個人的なオススメ度は4です。
理由として、
新たなアートの楽しみ方を
わかりやすく解説してくれるのが◎
本を読むだけでなく、
実際の対話型鑑賞にも参加すると
より理解が深まるかと思います!
気になった方は
ぜひ手に取ってみて下さい。
→VTS(対話型鑑賞)を学べる
→どう鑑賞すればいいのか?
が体系的にわかる
→事実と解釈
→☆☆☆☆