このシリーズでは1つの作品に
隠された時代背景や解釈、
メッセージ性を読み解いていきます。
第14回目は歌川国芳の
「みかけハこハゐが とんだいゝ人だ」です。
絵画を通して得た知見が
あなたの心のビタミンになれば
幸いです。
みかけハこハゐが とんだいゝ人だを解説

題名
みかけハこハゐが とんだいゝ人だ
制作者
歌川国芳
制作年
1847‐1852年
美術史では
江戸時代末期
寸法
34.5cm × 25.3cm
種類
木版多色刷
今作は江戸時代末期の浮世絵師、
歌川国芳によって描かれました。
描かれているのは髷を結った男性の顔。
しかしよく見ると顔のパーツなど、
1つ1つが裸の男性によって構成されています。

なんとも奇妙な絵ですが、
このような何かを寄せ集めて
描かれたものを寄せ絵と呼んでいます。
今作は1847~1852年頃の作品であり、
天保の改革後に描かれています。
また信憑性は乏しいのですが、
国芳は弟子たちに実際にポーズを
取らせて描いたという説もあります。
歌川国芳

役者絵や美人画、風景画や戯画など
さまざまなジャンルの作品を手掛けた歌川国芳。
しかし12代徳川家慶の時代に
天保の改革によって質素倹約が叫ばれ、
役者絵や美人画が禁止、弾圧されました。
国芳はそんな時期に
女性や役者の顔を動物に似せて描き、
「これは動物の絵だ」と言って反抗しました。
さらに法の目をくぐって
幕府を批判する風刺画を描き、
民衆から高い人気を得ました。
添えられた文章

今作には次のような文章が
添えられている。
大ぜいの人がよってたかつて
とふといゝ人をこしらへた
とかく人のことハ 人にしてもらハねバ
いゝ人にはならぬ訳:大勢の人が寄ってたかって、
とうとういい人をこしらえた。
とかく人のことは、人にしてもらわねば、
いい人にはならぬ
これには
いろんな人との関わり合いによって、
人間性が形成されるのだ
という国芳の想いが込められている。
メッセージ性

ここでもう一度
みかけハこハゐが とんだいゝ人だ
を見てみましょう。
質素倹約が叫ばれた時代の弾圧にも
負けなかった国芳のユーモラスな寄せ絵。
あなたにはどのように見えますか?
是非、あなたなりのメッセージを
受け取ってください。
まとめ

✓何かを寄せ集めて
描かれたものを寄せ絵という
✓幕府を批判する風刺画を描き、
民衆から高い人気を得た国芳
✓いろんな人との関わり合いによって、
人間性が形成されるのだ
という国芳の想いが込められている
西洋画への関心も高かった歌川国芳は、
なんらかの形でアルチンボルドの絵を
見たか、噂に聞いていたのではないかと
考える研究者は少なくありません。

奇想の絵師ともいわれる国芳は、
トリックアートのパイオニア的存在
といえるでしょう。
最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。






→寄せ絵と呼ぶ
→質素倹約が叫ばれた時代
→人との関わり合いで生まれる