アートや絵画に興味がある…
でも楽しみ方・鑑賞法がよくわからない!
そんな方いませんか?
アートの楽しみ方は人それぞれです。
作品の良さを測る「ものさし」も
人それぞれなので、気の向くままに
自由に楽しむべきだと私は思います。
しかし全く知らない方からすれば、
アートって敷居が高そう…
無知が美術館に行っても浮きそう…
なにをどう見ればいいのかさっぱり…
と感じてしまう人もいるはず。
そこで今回は
2種類の鑑賞法・ポイントを
解説します。
この記事を読めばざっくりとでも
アート/絵画はこう楽しめばいいんだ
ということが理解できるかと思います
2種類の絵画鑑賞法
絵画鑑賞には大きく2つの
楽しみ方があります。
概念的な大きな括りなのですが、
以下のようなものです↓
- 背景とのやりとり
- 作品とのやりとり
それぞれに利点や注意点があります。
順に詳しく解説していきます。
背景とのやりとり
背景とのやりとりとは
作品を作った人の意図や時代背景、
美術史における偉業など
作品に隠されたさまざまな背景を知り、
探りながら作品を見ていく鑑賞法のことです。
絵は見るものではなく、読むもの
という言葉もあるくらい
絵には知らなければ見えてこないもの
がたくさんあります。
日本人には馴染みのない
宗教画に関してもそうです。
宗教画は字を読むことができない人に
聖書の内容を伝え、人々の宗教心に
訴える働きがありました。
宗教画を鑑賞する際、
聖書の内容やその時代の宗教的背景、
画家自身の意図などを知っていれば
とても面白いのですが、
知らなければ面白さは大幅に減少する
ジャンルの1つともいえるでしょう。
近代になると宗教画以外のジャンルが
多く制作されるようになります。
↑の作品はモネの有名な睡蓮ですが
日本人にも比較的馴染みある作品にも
知らないから見えていないものが
たくさん存在しています。
私は「背景とのやりとり」を
人間関係に言い換えるならば、
その人(作品)をもっと詳しく知ろうと
歩み寄る行為で、知ることができれば
もっと仲良くなれるものだと考えています。
今では書店で美術史を解説したものや
画家の人生を綴ったものなど、
様々な書籍がありますが、その多くが
この背景とのやりとりを可能にするものです。
- 鑑賞法の概要
→作品に隠された背景を知り、探る鑑賞法 - この鑑賞法を深めるには
→美術館や書籍、ネットで「背景」の知識を集めたり、勉強すること
注意点
そんな背景とのやりとりには
いくつか注意点があります。
その1つがフィルターがかかることです。
知識を得ることは鑑賞を深めるうえで
重要な要素ですが、知識を得たために
強力なフィルターがかかり、
純粋な鑑賞ができなくなる危険性もあります。
例えば↑のような作品があります。
あなたはこれが何に見えるでしょうか?
人によってさまざまな意見がありそうですが
正式にこの絵のタイトルが「目」だと
発表されているとしたらどうでしょう?
もう目にしか見えてこないのでは
ないでしょうか?
この例は、人(特に大人)が持つ
知識による先入観や思い込みが、
純粋な鑑賞を邪魔する恐れがあることを
示しています。
そして2つめのデメリットが
単なる知識の確認作業になる恐れがある
ことです。
↑はゴッホの有名なひまわりです。
見たことある人がほとんどでは
ないでしょうか?
そして仮に、あなたがゴッホについて
とても詳しい人でゴッホの黄色い家の話や
彼がひまわりをたくさん描いた理由についても
知っているとします。
すると「あーゴッホのひまわりね」と
既に知っているからそれ以上見ようとしない
可能性がでてくるのです。
先ほど私は、背景とのやりとりを人間関係に
言い換えると「その人(作品)をもっと
詳しく知ろうと歩み寄る行為」と述べました。
実はこれには続きがあります。
それは「歩み寄った後、その作品のことを
知った気になり、フィルター越しでしか
見なくなる可能性や、それ以上詳しく
見ようとしない可能性がある」ということです。
この点を注意しておくと、
よりよい背景とのやりとりを楽しめると
思います。
- フィルターがかかる
→知識は重要だが、知識でしか作品を鑑賞できなくなる危険性も知っておくべき。純粋にその作品があなたにとってどうなのかや、フィルターを外した方が面白い場合もあるということ - 単なる知識の確認作業になる
→人は既に知っていることを軽視する可能性がある。そうなるとそれ以上の発見はないので、知識の確認作業になっていないか振り返ることも重要
作品とのやりとり
作品とのやりとりは、
上図で説明ができます。
アート作品というのは必ず制作者の
意図やなにかしらの思いが込められます。
図でいうなら緑の矢印の部分です。
しかし作品とのやりとりはそういった
制作者の意図したものとは別に、
アート作品を通して鑑賞者がなにを
感じたのかを重視します。
図でいうならオレンジの矢印の部分です。
作品とのやりとりでは
制作者の意図などは関係ありません。
大切なのは作品と鑑賞者との間で
やりとりができているかどうかです。
例えば↑画像のような作品があります。
当然制作者は色々とこの作品に
想いを込めているのですが、
作品とのやりとりではそこを探るのではなく
純粋にあなたはこの作品からなにを
感じたかを深掘りしていきます。
この作品はなにを描いていると思いますか?
どこからそう感じますか?
他に気になるところはありますか?
知識ではなく、鑑賞から得たあなた自身の
思考や価値観に焦点を当てていくのです。
- 鑑賞法の概要
→作品からあなたが何を感じたか、考えたかに焦点を当てていく鑑賞法 - この鑑賞法を深めるには
→まずは鑑賞法を学ぶ。一度学んだらあとはそれを繰り返す。また、複数人で鑑賞することも経験し、考え方や価値観の多様性を学ぶことも鑑賞を深くすることに繋がる
注意点
作品とのやりとりで注意すべきことは
しっかり見ることです。
背景とのやりとりでもしっかり見ることは
重要ですが、作品とのやりとりは
自身の鑑賞、感じ方により焦点を当てるので
しっかり見ることができていないと
鑑賞で得られる効果が大幅に減る可能性が
あります。
初心者の方はまず対話型鑑賞とよばれる
ファシリエーターが鑑賞の手引きをし、
複数人で鑑賞できるプログラムが
各地の美術館やオンラインで
開催されているので、
ぜひ一度体験してみて下さい。
- しっかり鑑賞すること
→しっかり見ることができていないと鑑賞で得られる効果が大幅に減る可能性がある
まとめ
✓背景とのやりとり
→作品の背景を知り、探る鑑賞法
→単なる知識の確認作業にならないように注意
✓作品とのやりとり
→作品から何を感じたか、考えたかに焦点を当てていく鑑賞法
→しっかり見ることができていないと鑑賞で得られる効果が大幅に減る可能性がある
是非、あなたのアート鑑賞を
より良くする参考にして下さい。
✓背景とのやりとり
✓作品とのやりとり
✓互いにメリットや注意点がある