この記事では美術検定対策として、
ルネサンス美術の
学習ポイントをまとめました。
美術史の記事とは違い、
要点を絞った解説と
途中に確認問題を挟んでいます。
是非、美術検定の学習に
役立てて下さい。
目次
美術検定対策(ルネサンス美術)
まずルネサンスとは「再生」を
意味しており、ギリシャ・ローマの
復興と人間性の回復をさしています。
また、ルネサンスは大きくわけて
3つの時代に分類できます。
- プレ・ルネサンス(13‐14世紀)
- 初期ルネサンス(15世紀)
- 盛期ルネサンス(1500~1530年)
このあたりから時代背景や画家のこと、
作品の情報や技法など
問題の種類も多岐にわたります。
この記事では頻出問題である
以下の項目に絞って解説します。
- 各時代の有名画家・代表作品
- 技法について
- 宗教画のテーマについて
- ウフィッツィ美術館について
それではやっていきましょう。
プレ・ルネサンス
プレ・ルネサンスで、
それまで無表情だった人物の顔に
人間らしさを与えたのがジョットです。

彼の代表作は「ユダの接吻」です。

初期ルネサンス
初期ルネサンスは
イタリア語で400を意味する
クワトロチェントを用いて
表現されたりします。
この時代の画家でまず覚えたいのが
ジョットを受け継ぎ、
初めて正確な遠近法を使って作品を
描いたマザッチョです。

代表作は「貢の銭」、「聖三位一体」などです。


そしてマザッチョの他にも
遠近法の研究に明け暮れた2人の
人物がいました。
1人目がブルネッレスキです。

彼はフィレンツェ大聖堂のドームを
設計したことで有名です。
また、礼拝堂の東側門扉レリーフの制作者を
選ぶコンクールでギベルティと
争ったエピソードも有名なので
覚えておきましょう。

2人目は
ピエロ・デラ・フランチェスカです。

彼は15世紀イタリアの画家で、
晩年に幾何学や遠近法の研究に
没頭しました。
代表作に「キリストの洗礼」、
「聖十字架伝説」などがあります。


その他この時代に有名な
芸術家にはフラ・アンジェリコ、
ドナテッロなどがいます。

アンジェリコの代表作は
「受胎告知」です。

ドナテッロの代表作は
「ダヴィデ像」です。

盛期ルネサンス
盛期ルネサンスは3大巨匠の時代です。
- レオナルド・ダ・ヴィンチ
- ラファエロ・サンティ
- ミケランジェロ
また、その背後にはメディチ家と
呼ばれるパトロンの存在がありました。
ダヴィンチはモナリザのほか、
聖書をテーマにした絵画を
いくつも手掛けています。



ただし、
最後の審判だけは描いていません。
ぜひ覚えておきましょう。
ラファエロの代表作は
「ベルヴェデーレの聖母」や
「アテナイの学堂」です。



最後にミケランジェロの
代表作には「ピエタ」や
「アダムの創造」、「最後の審判」
があります。



技法について
技法についても時代順に
遡って理解していきましょう。
まずプレ・ルネサンスでジョットは
人間味を感じさせる表情や重量感を
表現しました。

ジョットを継いだマザッチョは
それらに加えて線遠近法や色彩遠近法
を使って奥行ある空間を表現しました。


盛期ルネサンス期には
ダヴィンチが更に卓越した
技術を駆使しました。
スフマートや空気遠近法です。

ここで用語の意味を
しっかり復習しておきましょう。
- 線遠近法
⇒画面に直交すると想定される平行線を一点(消失点)に集束させて描く技法 - 色彩遠近法
⇒遠方の対象物ほど青味がかって霞んで見えるという現象を描く為に、遠景になるにつれて青味を帯びた薄い色調にして描く技法 - スフマート
⇒深み、ボリュームや形状の認識を造り出すため、色彩の透明な層を上塗りする絵画の技法 - 空気遠近法
⇒遠方の対象物ほどぼやけて見えるという現象を描く為に、細部を省略したり描線を細くしたりする技法
宗教画のテーマについて
ここからはこの時代の
作品を用いて頻出のテーマを
復習していきます。
まずは受胎告知です。



大天使ガブリエルが聖母マリアのもとへ
神の子を身籠ったことを伝達しにきた
場面です。
次はキリストの洗礼です。


ヨルダン川で洗礼者ヨハネからイエスが洗礼を
受ける場面です。
次は聖三位一体です。

神と神の子(イエス)と聖霊は
本来一体であるという教理を
表現している場面になります。
ウフィッツィ美術館について

ウフィッツィ美術館はイタリアの
フィレンツェにあり、ルネサンス期の
作品が多く収蔵されていることで有名です。
その他にも古代彫刻やゴシック、
バロック、ロココなどの作品も展示されています。
確認問題
Q1,ルネサンスとは再生を意味しますが、なんの再生だったのでしょうか。
- ロマネスク
- ギリシャ・ローマ文化
- ケルト文化
- オットー朝文化
Q2,ルネサンス期のフィレンツェを実質的に統治し、ドナテッロ、ダヴィンチ、ミケランジェロらのパトロンとなった家系はどれですか。
- ハプスブルグ家
- メディチ家
- ブルゴーニュ家
- ボルジア家
Q3,初期ルネサンスとほぼ同じ意味で使われる用語はどれですか。
- ノヴェチェント
- クアトロチェント
- トレチェント
- チンクエチェント
Q4,1401年頃に行われたフィレンツェ、サン・ジョヴァンニ洗礼堂門扉レリーフのコンクールでギベルティに敗れ、後にこの時代のもっとも重要な建築家となったのはだれですか。
- アルベルティ
- ブルネレスキ
- ミケランジェロ
- ブラマンテ
Q5,上図の絵の主題はなんですか。
- 受胎告知
- マリアの昇天
- 悲しみの聖母
- 聖母マリアの教育
Q6,「聖十字架伝説」「キリストの洗礼」などを描き、晩年は幾何学や遠近法の研究に没頭した15世紀イタリアの画家はだれですか。
- ドナテッロ
- フラ・アンジェリコ
- マザッチョ
- ピエロ・デラ・フランチェスカ
Q7,上図はQ6の作者の作品です。題名はなんですか。
- キリストの復活
- この人を見よ
- 聖三位一体
- キリストの洗礼
Q8,ダヴィンチが描いていないテーマはどれですか。
- 受胎告知
- 最後の審判
- マギの礼拝
- 岩窟の聖母
Q9,花の都フィレンツェにある建築はどれですか。
- サン・ピエトロ大聖堂
- システィナ礼拝堂
- ウフィッツィ美術館
- コロッセウム
Q10,次のうち、ウフィッツィ美術館が収蔵している作品はどれですか。
- ダヴィンチ「岩窟の聖母」
- ジョルジョーネ「嵐」
- マンテーニャ「死せるキリスト」
- カラヴァッジョ「バッカス」
最後に

イタリアルネサンス期の
問題は多めに出題されるので、
少なくとも今回復習したポイントは
必ず覚えておくようにして下さい。