まずは
「自分が何を好きかを知ること」
そこから始めましょ
大葉真由
この記事では講談社出版の
『ブルーピリオド第2巻』を紹介、徒然と感想を述べたいと思います。
ブルーピリオド 第2巻

第1巻で主人公の八虎は
第一希望を東京藝大の油画科に決め、
合格を目指して美術部に入部。
高校2年の冬には予備校の冬期講習にも
行き、そこで世田介君との出会いなどが
ありました。
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 13/196
2巻の冒頭は3学期、
親に大学の進路希望を伝える
ところから始まります。
第2巻のあらすじを簡潔にすると
以下の通りです。
- 母親に藝大に行くことを許してもらう
- 森先輩の卒業式を経て、3年生になる
- 予備校に通い始め、刺激を受ける八虎
- より良い表現のため、自分の好きを探す
- 世田介君との衝突
私の中での第2巻のテーマは、
自己理解、他者理解
でしょうか。
心から楽しいと思えた美術の世界に
飛び込んだ八虎。
ですがまだ藝大に受かるには
どんな絵を描けばいいのか、
自分の強みはなにか、
自分に必要なものはなにかなど、
表現者として自己理解の必要性に
気付きます。
さて、ここからは私の中での
ポイントを述べていきたいと思います。
自分の好きなこと
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 59/196
予備校に通い始めた八虎は
講師との最初の面談で、
「今のままじゃ藝大はキツイ」と
はっきり告げられます。
理由はただ目の前のものを
描いているだけだから。
藝大に受かるにはただ絵が上手い
だけでは足りない。
その人の目・個性・世界を
重視して合否を決めているので、
八虎にはまだその部分を表現する
術も想いもありませんでした。
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 65/196
自分の強みはなにか、
自分にしかできない表現はなにか。
それまで他人目線で生きていた
八虎の意識が自分の内面に向き、
さらに深いところを探ろうとする
きっかけとなりました。
意識が自分の内面に向くこと。
誰もが…とはいいませんが、
経験したことがある人も少なく
ないのではないでしょうか?
作中では自己理解というワードは
出ていませんが、個人的には
その言葉がポイントだと言いたい
場面です。
他人目線で生きてきた八虎が、より深く自己理解しようとするキッカケとなる場面が好き
美術館でのお話
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 69/196
自分の好きを探すため、
苦手意識のある美術館に
同じ予備校の世田介、橋田と一緒に
行くことにした八虎。
橋田は人の絵を見るのが好きで、
よく色んな場所の美術館に行っています。
そんな橋田と一緒なのもあってか
劣等感みたいなのも感じている八虎。
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 73/196
頑張って知識を吸収しようとする八虎。
個人的にここの部分がすごくリアルだなぁ
と感じました。
私自身、美術館に行くことには
最初から抵抗がなかったのですが、
「行ったからにはなにかを得たい」という
想いがあって、作品横のディスクリプションを
一生懸命に読んでいました。
(作品より解説文の方を見ているパターン)
知識は得れるかもしれないけれど、
「この作品のなにが良かったのか」
「どの作品が印象的だったか」
みたいなものが一切自分の中に残らない
鑑賞法(?)ですね。
(もっと言うと知識すら残ってない)
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 75/196
美術館に苦戦している八虎に
橋田が大切なことをいいます。
それは美術は
「食べられない食べ物」みたいなもの
だということ。
人によってスキ・キライがあって当然だし、
その好みも変わることがあるということ。
周囲が好きでも自分にはそうではない
ものもあるし、周囲に認められなくても
自分には大切なものだってある。
美術館の楽しみ方としても大切なことだし、
自分の好きを探す面でも重要な思考です。
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 79/196
(作品が)あなたにとってどうなのか。
①のポイントに続き、
この場面もとても好きなところで、
重要なポイントだと思っています。
美術館の楽しみ方を通して、自分にとっての好きとはなにかを考えさせる部分が好き
他者理解
最後は他者理解です。
自分の好きを探し始めた八虎だからこそ、
自分以外にも当然その人の好きがあり、
大事にしていることがあるのを感じます。
自己理解と同時に意識しておきたい
ことでもありますね
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 87/196
上は八虎の同級生で
東京藝大日本画科を志望している
鮎川龍二が男の子に振られた場面。
美術館の帰りに八虎は偶然、
その場面を目撃しました。
彼女にも大事にしているものがあって、
彼女にしかわからないものがある。
美術とはまた違う、
性的マイノリティの描写があるのも
ブルーピリオドの特徴。
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 147/196
こちらは世田介が
予備校をやめると言い出した場面。
受験絵画という、
大学に受かるための絵を教えられたと
憤慨しています。
ここにも彼のプライドだったり、
絵に対する想いを感じますね。
ブルーピリオドの2巻にはこういった
八虎以外のキャラクターの心情を
考えさせる描写があります。
八虎の自己理解から始まり、
他者の内面にも意識を向ける。
個人的にはこの辺もポイントです。
他人も自分と同じように好きなことや大切にしているものがあることを考えさせる部分
ベストシーン
私が選ぶ第2巻のベストシーンは
世田介君が憤慨して去ったあと、
八虎が美術について想うシーンです。
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 151/196
この言葉は社会人になっても
色々考えてしまいます。
要は勉強のような一定の評価尺度、
正解があるものってわかりやすいし
目指しやすいのが1つの特徴です。
一方の美術とか、人の内面とかって
一定の評価尺度がないからこそ
人によっては毛嫌いされるし、
無駄なものと決められたりします。
掴みどころのない不安。
掴みどころのない魅力。
みたいなのを考えさせられました。
解釈は人によって違う部分でもありますが、
私にとってのベストシーンです。
まとめ

✓自己理解の重要性を考えさせられた
✓苦手意識のある美術館に行く場面はとてもリアルに感じた
✓自分と同様、他人にも大切にしているものあることを考えさせられた
私の中での第2巻のテーマは、
自己理解、他者理解でした。
第2巻には他にも
親に藝大に行くことを
許してもらうまでの描写や
名画に関する構図の話も
触れられています。
引用:ブルーピリオド 2 kindle版 No. 113/196
あなたにとっての第2巻は
どのようなものでしたでしょうか。
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